- 閲覧前にご確認ください -

登場人物が死ぬ描写があります。
そして、話が進むにつれて過激な表現が含まれますのでさらにご注意ください

文字サイズ変更

果実戦争

#20

ep20 盗賊の『暴走』

木造の一軒家の近く、静かに戦いが始まった。
エイキチの後ろでは仲間のキョウビンが倒れていた。

戦わざるを得ない。
仲間を撃たれて、道に迷わされて、風のように吹き荒れる怒りが心に火を灯していた。
「やるしかねェ!!」
思わず男の方へ駆け出したエイキチ、その拳は固く握られている。
ただ真っ直ぐ、イノシシのように。

しかし、男は動かない。
ただ黒い瞳で、じっと向かってくる者を見ている。

だがすでに、エイキチは男の懐へ潜り込んでいた。
「喰らえッ!」怒りを露わにしながら、男の顔へ横から拳を撃ち抜いた

[太字]『ドゴッ』[/太字]鈍い音が鳴る。男は血を噴き出しながらよろける。

しかし、次の瞬間だった。

[水平線]

「はッ…!?」


ついさっきまで、男を殴れるぐらい近い距離にいたはずだった。
それなのに、今現在真っ直ぐと[太字]駆け出す寸前の位置[/太字]に戻っていた。
まるでワープしたかのような現象だった。

何が起こったのか。頭をフル回転させる。脳のページをパラパラとめくるように考え込んでいると、さっき仲間のキョウビンが言っていたことが脳に浮かんだ。
[太字](……時間が戻っているじゃないか?)[/太字]

「……そういうことか」
頭に浮かんだ1つの可能性は、確信へと変化する。
時間を巻き戻したということは、男を殴ったという事実も元々なかったことになる。

前方を見てみれば、殴られた男が何も無かったかのように立ち尽くしていた。

「…実に面白い動きだ……だが今のキミでは私を倒すことはできない」
眉間に深いシワを浮かばせて、圧迫感を押し出す男の声。

その[漢字]黒檀[/漢字][ふりがな]こくたん[/ふりがな]のような、黒く見えるが白い光を含んでいる瞳は、一体何を見ているのだろうか?
一手先の未来か、それとも、一手前の過去か。

強力な圧迫感を平気な顔で受け止めるエイキチ。
その目には、すでに[太字]黒いもの[/太字]が宿っていた。口元には薄ら笑いを浮かべている。

「どうなるかは分からねェ……だけど、試す価値はある」
エイキチは右手の親指を口の中に入れた。
「……痛そうだけど、しょうがねェ〜……」

すると、顎に力を入れて親指に噛みついた。
血を吹き出しそうなぐらい、全力で噛みついている。

そのときだった。
エイキチの体に異変が起こる。
体の温度が徐々に上がる、そして皮膚が赤くなり白い蒸気が湧き出てくるのだ。

異常すぎる熱波を放ちながらその場で悶え苦しんでいたが、その異常に向き合うためか、大量の汗を流しながら無理やり体を真っ直ぐにさせる。

苦痛を声にかえて叫んだ。
「力が火山みてェに湧いてくるッ!! 今のオレなら殺れる……!」

この光景を見ていた男は、珍しいものを見るかのようにその目を見開かせた。
しかし、その次の瞬間だった。

[水平線]

また時間が戻った。

「…やっぱり戻したか」
自分の読みが当たったかのような口ぶりを見せるエイキチ。
「それじゃあもう一回…やらせてもらうぜ」

流れ作業のように親指を力強く噛みしめた。またも体から大量の蒸気が溢れてくる。
そう、これが作戦だった。
エイキチが持つ能力には時間制限があった。それは[太字]『10秒間』[/太字]

時間が戻るたびに能力を発動する前の状態になる、ということは時間制限を気にせず能力を使えるということだ。

「オマエが何回時間を戻そうとも……オレはブチのめすまで止まらねェからな…………」
その目には、殺意がこれでもかと映し出されていた。


※ダブルクリック(2回タップ)してください

作者メッセージ

また難しいことが起きてる…

今回の敵のプロフィール↓
名前:錬凱(レンガイ)
突如、戦いを申し込んできた男。
その目的とは……

能力名:エヴァネッセンス
    手首に衝撃を加えたとき、時間を3秒だけ戻すことができる。
    再び発動させるためには3秒以上待たないといけない。

2024/06/29 17:29

ドレミファ・ソラティド ID:≫4pM7EL77DoodU
続きを執筆
小説を編集
/ 30

コメント
[4]

小説通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

※できるだけ具体的に記入してください。
特に盗作投稿については、どういった部分が元作品と類似しているかを具体的にお伝え下さい。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
小説のタイトル
小説のURL