お師匠がヤバい人だった件
気がついたら今までの常識が全く通じない異世界に転生してた。
言っておくけど、私は死んだ覚えが全く無い。
最後に覚えてるのは会社帰りに駅の路線に落ちて、電車の正面の顔が目の前にあったこと。そして殺しきれなかった勢いが私にぶつかって全身が焼き切れるようで、酷く寒かった。体はぴくりとも動かずに聴覚が仕事をしなくなった。
やがて、視界は真っ黒になって、いわゆるブラックアウトをした。
あっ、つまりこれが死か。じゃあ、さっきの嘘だわ。訂正、訂正。
死んだと思ったら、剣と魔法のファンタジーな異世界に転生してた。
なるほど、これは最近流行りの『トラ転』か……いや、轢かれたのはトラックじゃなくて電車だし『電転』になるのか?
まぁ、どっちでも良いや。
「お師匠。野菜とってきたよ」
「あんがと、ヴィー」
ヴィーは愛称だ、ちゃんとした本名はヴァイオレット・ローウェル。
これが今の私の名前である。聞いての通り、日本人ではない。そもそもここは異世界なので日本人も何も無いのだが。一応、前世の基準で言ったらヨーロッパ人ぽい感じ。
そして日々の習慣である、「庭で育ててる食材を取ってくる」を達成して、洗面所に向かう。
なんで剣と魔法の世界にこんな現代的なものがあるのかと思ってお師匠に聞いたら一冊の本を差し出してきた。
本の題名は“伝記 ケンタ・ヤマダの一生”
本内容はまんまで人々の暮らしを大きく発展させたケンタ・ヤマダという偉大な発明家の一生涯を書いた伝記である。
ケンタ・ヤマダは10歳の時に人々の衛生を保つために水路の作り方を各地に伝えて、全身を洗える“お風呂”を発明した。更に顔を洗う“洗面所”に、美味しいご飯を作るための調理器具などなど………………
様々な分野で便利な道具を発明し、人々の暮らしの質を向上させた偉人だ。
ケンタ・ヤマダ、聞くから日本人の名前で前世で身近にあった物を発明しているあたり私と同じ転生者なんだろう。
まあ何にしろ衛生面を向上させてくれたヤマダさん、マジでありがとう。
勝手に感謝の心を抱きつつ、顔をパシャパシャ洗う。
洗い終わってちょっとボロめのタオルで顔を拭いていると、鏡に映った自分をみて一瞬動きを止める。
……やっぱり、何度見ても見慣れない。
私が不可解そうに目の前のクリーム色の髪の女の子を見つめると、女の子も同じ表情をする。ほっぺたに手を当てると女の子もノータイムで同じ動作をする。
こいつ、できる……いや、できるも何も目の前にあるのは鏡なので出来てくれなければただのホラーなのだが。
陶器のような白い肌や、すっと通った高い鼻。空のように澄んだ青い瞳にふわふわのクリーム色の髪。
名前もそうだが、明らかに日本人ではないことが分かる色彩に転生した当初はビビった。いやもうマジで、鏡に天使が映った!って本気で思ってたもん。
まあ、言ったら確実にナルシスト認定されるので誰にもこの話をするつもりはないが。
「ヴィー、朝ごはん出来るぞー」
「もうすぐ行くから待ってー」
「オッケー、待たない。いただきまーす!」
「待っててっ、言ってるでしょ食い意地時張りまくり師匠!」
「ふはははは!なんとでもいいたまえ!」
今は私の外見の話をしている場合じゃない。
早く自分の朝食を確保しなければ私の分は[漢字]巨大な胃袋[/漢字][ふりがな]ダークホース[/ふりがな]を持つお師匠によって無くなってしまう。
急いで朝食を確保しなくては…………そう決意し、勢いよくリビングルームに駆け込む。
そこにあったのは大皿3枚全てを食べようとする師匠の姿である。
勿論、お師匠が大皿3枚も食べたら私の朝食は無くなってしまうので、お師匠との朝食の攻防戦が開幕する。
言っておくけど、私は死んだ覚えが全く無い。
最後に覚えてるのは会社帰りに駅の路線に落ちて、電車の正面の顔が目の前にあったこと。そして殺しきれなかった勢いが私にぶつかって全身が焼き切れるようで、酷く寒かった。体はぴくりとも動かずに聴覚が仕事をしなくなった。
やがて、視界は真っ黒になって、いわゆるブラックアウトをした。
あっ、つまりこれが死か。じゃあ、さっきの嘘だわ。訂正、訂正。
死んだと思ったら、剣と魔法のファンタジーな異世界に転生してた。
なるほど、これは最近流行りの『トラ転』か……いや、轢かれたのはトラックじゃなくて電車だし『電転』になるのか?
まぁ、どっちでも良いや。
「お師匠。野菜とってきたよ」
「あんがと、ヴィー」
ヴィーは愛称だ、ちゃんとした本名はヴァイオレット・ローウェル。
これが今の私の名前である。聞いての通り、日本人ではない。そもそもここは異世界なので日本人も何も無いのだが。一応、前世の基準で言ったらヨーロッパ人ぽい感じ。
そして日々の習慣である、「庭で育ててる食材を取ってくる」を達成して、洗面所に向かう。
なんで剣と魔法の世界にこんな現代的なものがあるのかと思ってお師匠に聞いたら一冊の本を差し出してきた。
本の題名は“伝記 ケンタ・ヤマダの一生”
本内容はまんまで人々の暮らしを大きく発展させたケンタ・ヤマダという偉大な発明家の一生涯を書いた伝記である。
ケンタ・ヤマダは10歳の時に人々の衛生を保つために水路の作り方を各地に伝えて、全身を洗える“お風呂”を発明した。更に顔を洗う“洗面所”に、美味しいご飯を作るための調理器具などなど………………
様々な分野で便利な道具を発明し、人々の暮らしの質を向上させた偉人だ。
ケンタ・ヤマダ、聞くから日本人の名前で前世で身近にあった物を発明しているあたり私と同じ転生者なんだろう。
まあ何にしろ衛生面を向上させてくれたヤマダさん、マジでありがとう。
勝手に感謝の心を抱きつつ、顔をパシャパシャ洗う。
洗い終わってちょっとボロめのタオルで顔を拭いていると、鏡に映った自分をみて一瞬動きを止める。
……やっぱり、何度見ても見慣れない。
私が不可解そうに目の前のクリーム色の髪の女の子を見つめると、女の子も同じ表情をする。ほっぺたに手を当てると女の子もノータイムで同じ動作をする。
こいつ、できる……いや、できるも何も目の前にあるのは鏡なので出来てくれなければただのホラーなのだが。
陶器のような白い肌や、すっと通った高い鼻。空のように澄んだ青い瞳にふわふわのクリーム色の髪。
名前もそうだが、明らかに日本人ではないことが分かる色彩に転生した当初はビビった。いやもうマジで、鏡に天使が映った!って本気で思ってたもん。
まあ、言ったら確実にナルシスト認定されるので誰にもこの話をするつもりはないが。
「ヴィー、朝ごはん出来るぞー」
「もうすぐ行くから待ってー」
「オッケー、待たない。いただきまーす!」
「待っててっ、言ってるでしょ食い意地時張りまくり師匠!」
「ふはははは!なんとでもいいたまえ!」
今は私の外見の話をしている場合じゃない。
早く自分の朝食を確保しなければ私の分は[漢字]巨大な胃袋[/漢字][ふりがな]ダークホース[/ふりがな]を持つお師匠によって無くなってしまう。
急いで朝食を確保しなくては…………そう決意し、勢いよくリビングルームに駆け込む。
そこにあったのは大皿3枚全てを食べようとする師匠の姿である。
勿論、お師匠が大皿3枚も食べたら私の朝食は無くなってしまうので、お師匠との朝食の攻防戦が開幕する。
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