あの春の日、手に取った花 回想
#1
桜の花
“具は何にしようか”
味噌汁を作っていた義母の姿を今でもよく覚えている。
“シンプルなのがいい”
かなり甘えた口調だったはずだ。このときは熱を出していたから。バカだよな。僕さ、冷たい川に落ちたんだ。義母に桜の花を渡したくて、枝から枝にしがみついていたら、足を踏み外した。それで…川に落ちて風邪を引いた。
春なのに、その川は冷たかったーー。
“食べさせて”
我ながら、恥ずかしいことを言った。でも意外だったのが、義母も顔が赤かったことだ。なんだか恥ずかしそうだった。
“はい。口開けて”
僕は遠慮なく、口をスプーンに近づけていった。
味噌汁を作っていた義母の姿を今でもよく覚えている。
“シンプルなのがいい”
かなり甘えた口調だったはずだ。このときは熱を出していたから。バカだよな。僕さ、冷たい川に落ちたんだ。義母に桜の花を渡したくて、枝から枝にしがみついていたら、足を踏み外した。それで…川に落ちて風邪を引いた。
春なのに、その川は冷たかったーー。
“食べさせて”
我ながら、恥ずかしいことを言った。でも意外だったのが、義母も顔が赤かったことだ。なんだか恥ずかしそうだった。
“はい。口開けて”
僕は遠慮なく、口をスプーンに近づけていった。
このボタンは廃止予定です
/ 1