救いようがない今日
[明朝体]
オレの腹の上に座る彼女は言う。
「私ね、カカシのこと、殺したくて殺したくて堪らないんだよ」
彼女はこらえる様に自らの首を絞める。
「でも、あなたは強い。私なんかじゃ無駄に壊してしまうかもしれない。だから、その強く美しいあなたを隣に置いておきたいの」
●●がオレを殺さない理由は本音のようにも思え、命乞いを誘うようでもあった。
彼女の右手が俺の上半身をなぞる。そして顔に戻ってくるといつかと同じように口布を溶かそうとする。しかし、今回は首の布から。
不意に動いたオレの両手は細い●●の首をしっかりと捕らえる。
「何? カカシ」
些かうれしそうな彼女は布を溶かし切った首を俺と同じように触れる。
「相打ちだねぇ」
そう言うと●●は優しく、でも少しずつ喉を絞める。
それに呼応するかのようにオレも力を込める。
●●の頬が紅潮する。
苦しいのかうれしいのか小さい呻きが漏れる。
「は、じめてっ…あなたを見、たときも今と…同じ、かが、やきをしていた」
二人は暁の空から注ぐ光に照らされた。
オレは一層強い力で●●を絞める。
彼女は彼の銀の髪を末端まで染めてしまうかのように力を加えた。
オレはまだ余力があるうちに彼女の下から脱することを考えた。
こんな考えでは教え子から、らしくないと笑われるかもしれない。その時はたっぷりと理由を並べよう。
「わ、たし以外を…かんが、えたね」
彼女は全体重を彼の首に集中させた。
△▼△▼
今までと同じ朝、窓から入る光に照らされたカカシはいつも通りきれいだ。
「死ななくてよかった」
あんなに望んでいたことなのに、私の手は生を求めた。
彼もまた、生に手を伸ばしていたのかもしれない。
生々しい首の痕は確かに私がつけたもので、カカシも私の首に確かな意志を残した。私の方が少し薄いのは彼のほんの少しの優しさか。
茄子の味噌汁を用意すれば、喜んでくれるだろうか。
朝の挨拶を期待して台所に立つ。
彼はまだ起きない。
[/明朝体]
オレの腹の上に座る彼女は言う。
「私ね、カカシのこと、殺したくて殺したくて堪らないんだよ」
彼女はこらえる様に自らの首を絞める。
「でも、あなたは強い。私なんかじゃ無駄に壊してしまうかもしれない。だから、その強く美しいあなたを隣に置いておきたいの」
●●がオレを殺さない理由は本音のようにも思え、命乞いを誘うようでもあった。
彼女の右手が俺の上半身をなぞる。そして顔に戻ってくるといつかと同じように口布を溶かそうとする。しかし、今回は首の布から。
不意に動いたオレの両手は細い●●の首をしっかりと捕らえる。
「何? カカシ」
些かうれしそうな彼女は布を溶かし切った首を俺と同じように触れる。
「相打ちだねぇ」
そう言うと●●は優しく、でも少しずつ喉を絞める。
それに呼応するかのようにオレも力を込める。
●●の頬が紅潮する。
苦しいのかうれしいのか小さい呻きが漏れる。
「は、じめてっ…あなたを見、たときも今と…同じ、かが、やきをしていた」
二人は暁の空から注ぐ光に照らされた。
オレは一層強い力で●●を絞める。
彼女は彼の銀の髪を末端まで染めてしまうかのように力を加えた。
オレはまだ余力があるうちに彼女の下から脱することを考えた。
こんな考えでは教え子から、らしくないと笑われるかもしれない。その時はたっぷりと理由を並べよう。
「わ、たし以外を…かんが、えたね」
彼女は全体重を彼の首に集中させた。
△▼△▼
今までと同じ朝、窓から入る光に照らされたカカシはいつも通りきれいだ。
「死ななくてよかった」
あんなに望んでいたことなのに、私の手は生を求めた。
彼もまた、生に手を伸ばしていたのかもしれない。
生々しい首の痕は確かに私がつけたもので、カカシも私の首に確かな意志を残した。私の方が少し薄いのは彼のほんの少しの優しさか。
茄子の味噌汁を用意すれば、喜んでくれるだろうか。
朝の挨拶を期待して台所に立つ。
彼はまだ起きない。
[/明朝体]
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