新羅大輝26歳。今日のいつものように真夜中、人が少ないコンビニでバイトをしていた。駅の2階にあるフロアの一角にあるコンビニは、残業帰りのサラリーマンか、家を抜け出してきた高校生、お酒に酔った大学生くらいしか来ない。

26歳になっても、いまだに仕事が見つかって居ないのは良くないことだ。ほんとにまずい。こう見えても内心激焦っている。

「はあ、だるい。眠い。」

そうやってレジに立ち、だるそうに文句を言う。ほぼ毎日やっている。まだ生まれて26年人生の半分も生きて居ないが、俺の人生はテトリスで例えると、残り4マスというところか

「もうそろそろ帰れるかな」コンビニを出て、駅の裏の駐車場から黄色い原付バイクで真っ暗な道路を走らせる。だんだん見えてくるどこにでもありそうなコンクリの白いアパートの駐車場で止まる。

家賃7〜8万で、ワンルーム。ほんとどこでもある様なアパートだ。
誰も待っていないドアを開けて中に入る。大学から一人暮らしで、可愛い彼女がいるわけでもない。

買ってきた弁当を温めて小さな机に置く。床に直座りでしなしなのエビフライを口に入れて左手のスマホでYouTubeをみる。

そして部屋の角にあるテレビをつけてニュースを流す。

『次のニュースです。え〜、A市の4区で行方不明者が出ました。
行方不明になったのは中学2年生の女の子で佐野葵さん。
午後8時くらいから家に帰ってこないと警察に通報がありました。』

「ふ〜ん、色々あるんだな世の中。」そんな独り言をしてテレビを消した。

「風呂入るか」

1日の汚れを落として、ゆっくりお湯に浸かっている。体を拭き、服を着て電気を消し引いてある布団に倒れ込んだ。

仰向けでスマホ画面を意味もなく見つめる。そしてゆっくり目を瞑って眠った。

[水平線]

「あれ、もう朝か？」そう言っておきあがり、周りを見渡したら白い空間にいた。床がひんやりしている。なんだか頭がくらくらする。

ここにいると、何かに飲み込まれてる感じがして、気持ちが悪い。

「夢…？」

どこまでも続く白いフラットな世界だ。歩いても歩いても終わりがない。夢なのにに五感がしっかりと感じる。

「夢にしては少し気持ち悪すぎだよな」

あたりを見渡すが、本当に何もない。座り込んで少し深く考えるが、何も浮かばない。


[太字]一つの黒いドアが現れる。[/太字]

「ドア…？開けていいのか？」
3mの黒いドアは、まがまがしく感じるが肩とは非常にシンプルだ。
開けるか開けないか悩んでいる。この状況開けないと終わらないやつだとわかる。

「開けるか…」

嫌そうにドアに近づきドアを開けようとした瞬間、ドアが開いた。

「うおっ！」

そしてドアから、ものすごい勢いで吸い込まれていく。

「うおお、やばいやばい！これ俺、死ぬのかあ！？」

ドアは新羅を完全に吸い込んだ。

[水平線]

なんだこれ…声が出ない…目が…

なにも見えない…何も聞こえない…

こわい……こわい…こわい…こわい…こわい…こわい…あれ、俺って誰だ…？

どこ…だれ…僕は？

[水平線]

「あれ、ここは？」

目の前にはキレイな花畑が広がっていた。黄色、青、赤、緑、たくさんの色の花が咲いて、心地よいが吹いてくる。

「声が…出る？僕は誰だっけ…？」

そう言って4歳くらいの茶髪の男の子はなぜか泣いていた。大粒の涙を流した。

「ティア！1人で勝手に行動しないの！」

声をあげて近寄ってきた女性は耳が大きくとがっていた。身長は167、8くらいだろうか。綺麗な銀髪で長髪の25〜6歳といったところ。

困った顔をしながら僕は抱きしめられた。

「お、お母さん？」

僕はまた涙が溢れ出た。どういう感情で泣いているのかわからないが泣いていた。彼女が母親だってこともわかった。

僕はここは二度目の人生だってことがわかる…なぜだかそう思う。でも前世の記憶が思い出せない。不思議な感覚だ。

だけどわかる。これは異世界に転生したのだと。