シュン『じゃあやっぱり新しい人を探そう。』

秋葉『とは言っても誰がいるのよそんな新しい人が！！』


シュン『う〜ん…。どうだろうね。どこかの町に、強そうな人が隠れてそうだけどね。実際僕みたいに、ね。』

シュンが遠回しに自分のことを自画自賛する。どこかの町と言われても、シュンでもAランクなのにそれ以上強い人がいるなら、今のうちに騒がれているところだろう。都会のエリアにはとりあえずいないと思われる。強い人は、どこかに隠れて生活しているイメージがある。
都会で私たちより強い人がいるイメージが湧かない。

ヴィンディン『じゃあ一体どうすればいいんだ。』

光輝『とりあえず、手当たり次第探してみよう。女神、異空間の方に強い人が乗ったリストはないの？』

女神『えぇ！？でも、そういう異世界人の情報に関しては、許可を取らないとみれません！しかも、その許可を取るのには時間がかかりますし…。』

ヴィンディン『…はあ、どうしたものか。』


？『じゃあ、私を頼ってみたらいいと思います。』


女神『！？』

突然後ろから声をかけられた。誰もいなかったはず、おかしい。まるで瞬間移動でこちらにきたかのように、彼女は突然現れた。

彼女は、透き通った茶色の髪をしていて、目の瞳の色が白色で美しい。服は真っ黒のシンプルなワンピースで、肌寒そうな格好をしている。

シュン『…気配が全くしなかった。君は一体、どうやって俺らに近づいてきたんだ？それに、初対面の相手に突然"私を頼れ"と…。』

ヴィンディン『貴様、何様のつもりだ？いきなり現れて、その図々しさはなんだ？シュンの言う通りだ。貴様は、俺様らの何を狙っている？』

光輝『まあまあまあ！！二人とも落ち着いて。内容を聞いてみる価値があるんじゃないかな。わざわざ話しかけるぐらいだから、きっと気になった話なんだろう。』

シュンとヴィンディンは、突然現れた彼女に強い口調で攻めよる。だが、光輝は嫌な雰囲気を作りたくないのか、二人を一旦止めた。

[漢字]乙鳥[/漢字][ふりがな]つばめ[/ふりがな]『名乗るのを忘れていました。私は、[漢字]乙鳥[/漢字][ふりがな]つばめ[/ふりがな]。私は燕…海渡に会ったことがあります。いや、詳しくはその姿を見ただけなのですが…。』

乙鳥『…あの人は不思議な人です。"私たちの世界"に意図せずに入り込んでくるなんて…。』

秋葉『私たちの世界？』

乙鳥『はい。いろんな動物が住む、異世界とは違ったまた別の世界なのです。私たちはその世界を[太字][下線][大文字]神界[/大文字][/下線][/太字]と呼んでいます。』

乙鳥『神界というほどなので、いろいろな神が住んでいます。私も[下線][太字]燕の神[/太字][/下線]です。』

私はそんな世界聞いたことがなかった。なんせ、女神がここにいるのに、神だけの世界というものは不要だからだ。実際、女神と神しか立ち入ることができない異空間があるのにも関わらず。

女神『そんな世界、聞いたことがないですね…。なんで、異世界に来たんですか？』

乙鳥『…神界という世界は、とても醜く汚い世界です。あの世界は、最悪の世界でしょう。私はあの世界にある結界を破り、脱出しました。』

秋葉『でも、それに比べてはとても貧しそうだったりには見えないけれど、あなたは力弱そうで、結界を破られそうにもないわ。第一、世界に張る結界はほとんどがとても強力な結界よ。何かそんなに神界に不満があるの？私は行ったことがないからわからないけれど。そもそもそんな世界あるの？』

乙鳥『あります。神界は、密かに神が暮らす自然豊かな世界でした。』

乙鳥『…でも台無しにしたのは、その世界を支配している支配人のせい…。』

乙鳥はそう言って、悲しそうな顔で私たちを見ていた。よほど好きな世界じゃないんだろう。一回その世界を見てみたいほどだ。けれど、その世界になんで海渡様が…？


ヴィンディン『一人で来たのか？』

乙鳥『…いいえ。正確には二人。』

乙鳥『私は、とある一人の男に取り憑きながら、異世界に来ました。』