名探偵朱雀 軽井沢ホテル殺人事件
ジー―――...........
ビデオがフロントのTVに入り、音が鳴る。
スミスと客は、みな固唾をのんでビデオ画面を見守る。
すると、ぱっとある部屋が映された。
部屋はたった1つのランタンで映されていたため、暗くてよく見えない。
「これは.......ダイニングルーム!?」
津雲が声を上げる。皆、ビデオ画面をまじまじと見る。暗くてうっすらだが、たしかに椅子と机が見えるのである。
「一体何が....................」
正樹は呆れて見ていたが、ビデオの中であるものを見つけた途端、腰を抜かしてしまった。
「ま、まさか!?つ、月結!?」
正樹の驚きの声に、客とスミスは改めてビデオを見つめ直した。
ランタンの暗闇の中に首吊りの状態で浮かび上がっていたのは...............そう、正真正銘、御瀧月結の死体だった。
長い髪は、生きていたそのときこそ美しかったが、絶命した今、死体にかかるその髪は、いっそう”死”のブキミさを感じさせていた。
美しい顔の真っ赤な唇には、口紅の代わりに鮮血が滴っており、手と足は力なくたれていた。
彼女の茶色い目には光がなく、果てしなく続く「闇」が宿っていた。
「きゃああああああああああ」
静は顔を覆い、叫ぶ。
「ぅぅ、ぅぅ.........................」
正樹は力なく呟き、ヨロヨロと倒れる。
「.........ちっ」
鍛治本は、死体を見て吐く真似をしながら、舌打ちをした。
「南無阿弥陀仏.........南無阿弥陀仏..........」
津雲は手を合わせ、こう呟いていた。
「........まてよ?」
正樹は立ち上がり、そしてこう叫んだ。
「これ、月結のいたずらじゃねぇか?」
「は!?」
正樹以外のHOTELの者たちは皆、顔をしかめる。
「だって、わざわざビデオを見せつけるなんて、どうかしてる!今すぐ月結の部屋へ行こうぜ!」
スミスに合鍵をもらい、皆、月結の部屋へ駆け出す。
月結の部屋の前につくと、正樹はドアをどんどん叩き、
「月結!今なら許してやっから、出てこい!」
月結は出てこず、何も返事をしなかった。
正樹は無言でドアを蹴破り、ずかずかと部屋の中に入っていった。
部屋には誰もいなかった。
床のカーペットには、点々と血のしみが滲んでいる。
正樹は血痕が続いている方へと歩いた。バスルームで血痕は途切れていた。
「ったく、なんだよ、月結、いるんだろ!!」
閉じているバスルームの扉を開けると、正樹は棒立ちになった。
「どうしたんですか!?」
朱雀と玄武が駆け出し、バスルームを見た。
そして、叫んだ。
[太字]「きゃああああああああああああああああああ」[/太字]
静も一緒になって、悲鳴をあげる。
「つ.......月結さんが!」
ビデオと全く同じ形で、御瀧月結の首吊り死体が、そこにはあった。
しかしビデオと違ったのは、現実で味わう”死”という恐怖だった。
冷たく青いその頬には、この世のものとは思えない―――”あの世”を感じさせるものがあったのだ。
「し、死んでる」
「本物!?」
「いやああああああ」
静は部屋を飛び出し、どこかへ駆けていってしまった。
「―――これだったのね。ownerが見せたかったものは。」
玄武は一人でうなずき、朱雀にささやいた。
「このHOTELのownerからのメールで、『探偵役をしてください』とか、『目撃者役をお願いしたい』とか、あったでしょう。最初は私もなにかの劇かもしれないと思ったけれど、違う。そう、これは本物の殺人事件よ。犯人の『owner』は、あなたに探偵役をしてほしいと言った。だから、あなたがこの事件の謎を解かなきゃならないのよ」
朱雀は困った。自分は探偵でもなんでもない。しかし、ownerの言う通りにしなければ、犠牲者が増えてしまうかもしれない。
「きっと、今も『owner』は見ている。この殺人劇を見、楽しんでいるはず。ownerは、あなたに推理合戦をしたいと宣言したのよ。受けて立たねばならないわ!!」
玄武は立ち上がり、朱雀を引っ張っていった。
ビデオがフロントのTVに入り、音が鳴る。
スミスと客は、みな固唾をのんでビデオ画面を見守る。
すると、ぱっとある部屋が映された。
部屋はたった1つのランタンで映されていたため、暗くてよく見えない。
「これは.......ダイニングルーム!?」
津雲が声を上げる。皆、ビデオ画面をまじまじと見る。暗くてうっすらだが、たしかに椅子と机が見えるのである。
「一体何が....................」
正樹は呆れて見ていたが、ビデオの中であるものを見つけた途端、腰を抜かしてしまった。
「ま、まさか!?つ、月結!?」
正樹の驚きの声に、客とスミスは改めてビデオを見つめ直した。
ランタンの暗闇の中に首吊りの状態で浮かび上がっていたのは...............そう、正真正銘、御瀧月結の死体だった。
長い髪は、生きていたそのときこそ美しかったが、絶命した今、死体にかかるその髪は、いっそう”死”のブキミさを感じさせていた。
美しい顔の真っ赤な唇には、口紅の代わりに鮮血が滴っており、手と足は力なくたれていた。
彼女の茶色い目には光がなく、果てしなく続く「闇」が宿っていた。
「きゃああああああああああ」
静は顔を覆い、叫ぶ。
「ぅぅ、ぅぅ.........................」
正樹は力なく呟き、ヨロヨロと倒れる。
「.........ちっ」
鍛治本は、死体を見て吐く真似をしながら、舌打ちをした。
「南無阿弥陀仏.........南無阿弥陀仏..........」
津雲は手を合わせ、こう呟いていた。
「........まてよ?」
正樹は立ち上がり、そしてこう叫んだ。
「これ、月結のいたずらじゃねぇか?」
「は!?」
正樹以外のHOTELの者たちは皆、顔をしかめる。
「だって、わざわざビデオを見せつけるなんて、どうかしてる!今すぐ月結の部屋へ行こうぜ!」
スミスに合鍵をもらい、皆、月結の部屋へ駆け出す。
月結の部屋の前につくと、正樹はドアをどんどん叩き、
「月結!今なら許してやっから、出てこい!」
月結は出てこず、何も返事をしなかった。
正樹は無言でドアを蹴破り、ずかずかと部屋の中に入っていった。
部屋には誰もいなかった。
床のカーペットには、点々と血のしみが滲んでいる。
正樹は血痕が続いている方へと歩いた。バスルームで血痕は途切れていた。
「ったく、なんだよ、月結、いるんだろ!!」
閉じているバスルームの扉を開けると、正樹は棒立ちになった。
「どうしたんですか!?」
朱雀と玄武が駆け出し、バスルームを見た。
そして、叫んだ。
[太字]「きゃああああああああああああああああああ」[/太字]
静も一緒になって、悲鳴をあげる。
「つ.......月結さんが!」
ビデオと全く同じ形で、御瀧月結の首吊り死体が、そこにはあった。
しかしビデオと違ったのは、現実で味わう”死”という恐怖だった。
冷たく青いその頬には、この世のものとは思えない―――”あの世”を感じさせるものがあったのだ。
「し、死んでる」
「本物!?」
「いやああああああ」
静は部屋を飛び出し、どこかへ駆けていってしまった。
「―――これだったのね。ownerが見せたかったものは。」
玄武は一人でうなずき、朱雀にささやいた。
「このHOTELのownerからのメールで、『探偵役をしてください』とか、『目撃者役をお願いしたい』とか、あったでしょう。最初は私もなにかの劇かもしれないと思ったけれど、違う。そう、これは本物の殺人事件よ。犯人の『owner』は、あなたに探偵役をしてほしいと言った。だから、あなたがこの事件の謎を解かなきゃならないのよ」
朱雀は困った。自分は探偵でもなんでもない。しかし、ownerの言う通りにしなければ、犠牲者が増えてしまうかもしれない。
「きっと、今も『owner』は見ている。この殺人劇を見、楽しんでいるはず。ownerは、あなたに推理合戦をしたいと宣言したのよ。受けて立たねばならないわ!!」
玄武は立ち上がり、朱雀を引っ張っていった。
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