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名探偵朱雀 軽井沢ホテル殺人事件

#19

ファイル17 ”owner”の降伏

そうさ.......。俺が殺した。あのクソ野郎どもを排除した。あいつらは排除されても文句なんか言えねぇ、そこら辺のゴミと等しい存在でしか無かった............」
「何故殺した?」
玄武は静かに問う。
「何故!?なぜだって?お前本当に頭悪りぃな、ガキ!教えてやろうか、馬鹿野郎!そうさ、あいつらは俺を裏切った!」
「...........」
沈黙が流れる。
「.................俺の娘...............御瀧月結は、あいつらに殺されたんだ!」
「ええっ!?」
既に客として訪れた”御瀧月結”、”穂波正樹”が偽物であることに気づいていた朱雀と玄武を除き、全員が驚き、小さく声を出した。
「そして穂波正樹は娘の婚約者だった。しかし、今回客として、この2人の真似をしていた”皇楓夏”と、”卦中祐也”に昔、この 2人は殺されたんだ!!!!!」
「[漢字]偽者[/漢字][ふりがな]ペテン師[/ふりがな]!?」
「ああ!皇楓夏は穂波に恋してた。そしてまた、卦中祐也も月結に恋してた。そんななか、卦中と皇は手を組むことにした。しかし、そんな計画がバレ、言い争いになり、ついに月結と穂波を殺してしまった.........」
静かな部屋に、重々しい声が響いている―――。
「[太字]俺は許せなかったんだッ[/太字]」
後悔と苦しみが混ざったこの悲痛な叫びは、大きく部屋に響いた。
「俺も娘も......娘の幸せも、未来も............全部アイツらに殺られた!」
さっきまで獣のような顔つきをしていた”owner”だったが、今や目から涙をぼろぼろと流していた。
[小文字]「俺は.........たすけてやれなかった...............」[/小文字]
小さくか弱い叫びが、外の風の音に揺られ、消えてゆく。
「娘も........。穂波も.............。手首を切られ、死んでた。死んでたんだ...........。そして、俺はある物をみつけた」
そして、ポケットに手を入れ、カードのようなものを出した。
「それは............」
「[太字]卦中祐也と皇楓夏の身分証明書[/太字]だよ。これが暖炉に放り込まれていたんだ。きっと、自分たちの存在をなくすためだろう............」
津雲は続ける。
「あいつらは整形手術をして、俺の娘と穂波に化けた。そして、周りに殺された、と悟られないよう、恋人同士のフリをしていたんだ」
津雲はぎゅっと手を握った。
「俺はあいつらをおびき寄せてなぶり殺すため、この屋敷を作った。大学教授だが、それなりに収入はあったから、これくらいは作れた。家系も金持ちだったしね」
津雲は建物の壁を撫でる。
「そして、スミスくん。君は僕の[漢字]身代わり[/漢字][ふりがな]スケープゴート[/ふりがな]のハズだった。君は唯一の外国人だし、元警察というのもあって、”怪しまれる存在”にピッタリの人材だったからね」
そして、朱雀の方に目を向ける。
「君は、探偵役として呼ばせてもらった―――」
津雲はそこで一息ついて、そして吐き出すように言った。
「もうこれで俺の話は終わりだ。さ、スミスくん。俺をさっさとケーサツにつれていきな」
「まって」
そこで、よく通った声が聞こえた。
それは、静だった。
「静、さん..........?」
「あたし、たまたまここに来たって言ってたけど、本当は違ったの」
「ええっ!?」
「私、警察の者なのよ」
そう言って、静は警察手帳を見せつけた。
「そうか.........」
津雲ははぁっと息を吐き出し、そして諦めたように言った。
「さぁ、これで俺も逃れられないな。じゃあケーサツさん、連れて行っちゃってくださいな」
津雲は手錠をかけやすいように、手を突き出した。
その瞬間、静は津雲を抱きしめた。
「........!?」

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2024/05/23 13:30

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