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名探偵朱雀 軽井沢ホテル殺人事件

#13

ファイル12 ファイナル・ミステリー


[中央寄せ]🏨[/中央寄せ]



「う.........これは酷い」
青龍と朱雀、玄武と白虎は、ダイニングルームの天井を見つめていた。
朱雀は顔を覆い、青龍は朱雀の肩を叩きながらため息を付き、玄武は黙りこくり、白虎は無表情で天井からぶら下がる[太字]モノ[/太字]を見つめていた。
そこからぶら下がっていたのは、..............[太字]卦中祐也の死体だった。[/太字]
口から流れ出る真っ赤な鮮血は、彼がこの世からすでに消えていることを、朱雀たちに伝えていた。
手はだらしなくたれ、髪からは血が滴っていた。
「................撲殺、のようね」
玄武は祐也の頭部を見つめ、そう言った。
「頭蓋骨にかなりヒビが入っている様子だわ。きっと、頭部にかなりのダメージを食らったはず」
玄武は頭を抱えた。
「皇楓夏の死因は、床に汚物が溜まっていたことからみて、絞殺だった。それも、首吊り状態での絞殺」
「待って!どういうこと?」
朱雀は首を傾げる。
「首吊り状態で死ぬのって、床に汚物がでちゃうの?」
「ええ。皇楓夏の首吊り死体の真下に汚物が溜まっていたでしょ?水たまりみたいに。首吊りってね、体全体の血液をはじめ、尿や便、その他の体内の廃棄物が全て外に出されるの」
朱雀は感心した。専門的な説明ができる幼なじみを、改めてすごいと感じることができた。
「今は午後3時50分。死亡推定時刻は私とスミスさんで調べるから、[漢字]ふたり[/漢字][ふりがな]・・・[/ふりがな]は自分の部屋で、犯人に襲われないようにこもっておきなさい」
青龍は玄武の発言を疑問に思い、こうたずねた。
「僕らは三人ですけど...........」
「朱雀は残ってもらわなきゃ」
朱雀はハッとして、大きく頷いた。
「真犯人、”owner”に犯人役に選ばれちゃったんだよね、私。じゃ、白虎くん、襲われないように気をつけてね」
そう言って、朱雀は白虎の肩をトンッと叩き、玄武についていった。
白虎は朱雀を見送り、少し微笑んで青龍の顔を覗き込んだ。
青龍は女性のような整った顔立ちに少し戸惑ったが、
「朱雀に手ぇ出すなよな」
と言って、自分の顔を覆った。
「...........そうしなくてはならない理由でも?」
白虎は意味ありげに言った。
「!?」
青龍は驚き、そして白虎を睨みつけた。
「どういう意味なんだよ」
「意味って................、文字通りですが?手を出さなくてはいけない、と、貴方が私に口出しをする権利はありません」
白虎は続ける。
「貴方には玄武さんという想い人が居るのでは?ならば良いではありませんか。貴方は何も関係がないでしょう」
「お前ッ!」
「私はお前という名ではありませんよ、”青い龍”さん、でしたっけ?」
「..................」
青龍は黙りこくる。
「私は、朱雀さんを諦めるつもりはありません。彼女は、”使える存在”。玄武さんを超える、凄まじい知力と推理力が感じられます。私は常に、そのような人に惹かれる。私はただ、この世界の中でもトップクラスに知力の高い人についていくだけです」
「俺は糞みたいなお前の考えについていけねぇな」
「それはこちらも同じです。何故、貴方は朱雀さんを潔く諦めることができないのです?」
青龍は再び静かになった。がしかし、すぐに言い放った。
「俺は............朱雀が馬鹿だと思うからだ」
白虎は、「ほう........」と目を見開く。
「朱雀とは仲が良い。俺はある程度、アイツのことを知ってる。少なくともお前よりは、な。お前、後悔するぞ。あんな奴、賢くなんてねぇ。やめとけ」
青龍は小さくため息を付き、そして笑って白虎の方を見た。
「これはお前への宣戦布告にもなるだろうな」
白虎は青龍の朱雀への気持ちに触れ、また小さく笑った。
「謎が解明されたら、勝負開始ですね」
青龍と白虎は笑いあった。
泥臭い事件が続く間も、甘い雰囲気は漂っていた。
しかし、その雰囲気に紛れているのは、ふたりを殺害した真犯人、”owner”。
朱雀と玄武は、その真犯人の正体を、少しずつ、少しづつあらわにしていった。

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2024/04/15 22:12

ムラサメ ID:≫1pobWwHbm6Rws
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