完全読み切り恋愛短編集
今でも時々思い出す。
[漢字]卯月[/漢字][ふりがな]うづき[/ふりがな]の...好きなヤツの、これでもかってくらいに歪んだ表情を。
『横田くん...すき、ですっ.....!』
そうだ、あの時俺は______
[水平線]
『そういうの、もうやめてほしい。』
俺がそう言うと、目にうっすらと涙をため、キレイな顔をこれでもかと言うほどに歪めて足早に去っていく卯月。
.....正直、こんな形で卯月から「好き」という言葉を聞きたくなかった。
『おい...お前ら。』
俺がそう言うと、裏庭のしげみ側からがさりと物音が聞こえる。
...本当に、胸糞が悪い。姿を表したそいつらは、クラスの女子の数人。
割と見た目も派手めなグループで、いかにもといった感じたった。
『あれーっ、バレてた?』
『ごめんって[漢字]成也[/漢字][ふりがな]せいや[/ふりがな]〜!』
軽々しく、俺の名前を呼ぶな。お前らに呼ばれると自分の名前が嫌いになる。
何が「ごめん」だ、卯月にあんな事させておいて....
『お前ら、ふざけるのも大概にしろよ。』
怒りを最大限に込めた鋭い視線をこいつらに送り、軽蔑するように見た。
こいつらは少し肩をビクッと震わせ、「そんな睨まなくてもいいじゃん...」とコソコソ話し出す。
『卯月に嘘告させるとか、お前ら一体何がしたいんだよ。』
あの卯月が...俺の事を本気で好きな訳が無い。
卯月が俺に好きだと言ってくる前からこいつらはここに待機していたから、確定犯。
もういい、金輪際こいつらとは関わりたくない。
そう思いその場から去ろうとした瞬間、数人の中の誰か1人が、「は?」と声を上げた。
『いや、確かに卯月さんが告ってるの見てたのは悪いと思ってるけど...嘘告って何?意味分かんないんだけど。』
......は?
何を、言っているんだ。
『え、待ってまさか成也、嘘告だと思って卯月さんの事フッたの?』
『うちらが卯月さんにそんな事するわけないじゃーん!あの卯月さんだよ?うちらが話しかけるだけでも精一杯なのにさあー!』
『卯月さんは高嶺の花なんだからね!』
卯月の事を褒めているのか、「ねー!」と口々に言い出す女子たち。
『....本心、だったのか....?』
自分の口から漏らしたのは、そんな情ない声。
ああ、もう...最悪だ。
勢いに任せて、すぐさま校門の外まで全速力で駆け抜ける。
『......いない....』
気がついた頃には、もう遅かった。
ごめん、卯月。本当に本当に、本当にごめん。
今度は俺から伝えさせて。
卯月の事が好きだって。誰よりも1番、大好きだって....
[水平線]
1年後
「あんたってば本当、バカな男ね。」
俺は激動の日から1年後、高校を卒業し大学生になった。
4月のあの日、卯月は俺に本心の気持ちを伝えてくれた。
それを無下にした俺は...その親友の[漢字]白雪[/漢字][ふりがな]しらゆき[/ふりがな]に、そう投げ捨てられても何も文句を言えない。
一応売れてるアイドルの白雪は、帽子とサングラスで顔を覆っているため表情はよくわからないが。
「あのあとなよなよしてなかったらまだチャンスはあったかもしれないけど...[漢字]風浦[/漢字][ふりがな]かざうら[/ふりがな]にかっさらわれちゃったわね。」
俺が卯月の事をフッたあの日、どうやら悲しむ卯月を駅で見かけた俺の親友...風浦[漢字]春[/漢字][ふりがな]しゅん[/ふりがな]が、つっきりで卯月を慰めていたらしい。
その事があってか俺が知らないうちに2人はどんどん親密な関係になっていき、今では立派な恋人だ。
俺はこのおしゃれな雰囲気もカフェには合わないほどの辛気臭い顔をしていたのか、白雪ははあっとため息をつく。
「でも[漢字]胡桃[/漢字][ふりがな]くるみ[/ふりがな]ちゃん、あんたに感謝してたわよ。」
「......卯月が、俺に...!?」
驚きのあまり、大きな声を出してしまう。
「うるさいわね」と俺を睨みつけた白雪だが、そのまま言葉を続けてくれた。
「胡桃ちゃん、高校生の間ほぼずっとあんたの事好きだったから。『高校生活が楽しかったのは、横田くんのおかげだよっ!』って。本当、胡桃ちゃんらしい。」
「......う、づき....」
俺はきっとあの日の事を、一生後悔し続けると思う。
でもそれはなにがあっても消える事じゃないし、おこってしまった事実は変えられない。
....なあ、卯月。今からでも俺にしないか。
きっと今の俺なら...お前の事を、1番に大切にできる。
「胡桃ちゃんね、風浦と付き合い始めてから、どんどん幸せそうな表情が増えたの。」
白雪が突如サングラスをはずし、おだやかな顔でそう言いながら窓の外へ視線をうつす。
そしてその視線の先を追うと、カフェの外に手を繋いで仲睦まじく歩く若いカップルの姿があった。
それは見間違えるはずのない、卯月と春で。
卯月は俺に一度だって見せたことのない、無邪気で美しい笑みを浮かべている。
ああ...やっぱり俺には、卯月からあんな笑顔を引き出せない。
「ん、わたしそろそろライブのリハ始まっちゃうから帰るわね。」
「ああ、今日はありがとう白雪。奢るよ。」
何年...いや何十年経っても、俺は生涯お前に恋い焦がれ続けるだろう。
______でもそれは、何があっても言うつもりはない。
[漢字]卯月[/漢字][ふりがな]うづき[/ふりがな]の...好きなヤツの、これでもかってくらいに歪んだ表情を。
『横田くん...すき、ですっ.....!』
そうだ、あの時俺は______
[水平線]
『そういうの、もうやめてほしい。』
俺がそう言うと、目にうっすらと涙をため、キレイな顔をこれでもかと言うほどに歪めて足早に去っていく卯月。
.....正直、こんな形で卯月から「好き」という言葉を聞きたくなかった。
『おい...お前ら。』
俺がそう言うと、裏庭のしげみ側からがさりと物音が聞こえる。
...本当に、胸糞が悪い。姿を表したそいつらは、クラスの女子の数人。
割と見た目も派手めなグループで、いかにもといった感じたった。
『あれーっ、バレてた?』
『ごめんって[漢字]成也[/漢字][ふりがな]せいや[/ふりがな]〜!』
軽々しく、俺の名前を呼ぶな。お前らに呼ばれると自分の名前が嫌いになる。
何が「ごめん」だ、卯月にあんな事させておいて....
『お前ら、ふざけるのも大概にしろよ。』
怒りを最大限に込めた鋭い視線をこいつらに送り、軽蔑するように見た。
こいつらは少し肩をビクッと震わせ、「そんな睨まなくてもいいじゃん...」とコソコソ話し出す。
『卯月に嘘告させるとか、お前ら一体何がしたいんだよ。』
あの卯月が...俺の事を本気で好きな訳が無い。
卯月が俺に好きだと言ってくる前からこいつらはここに待機していたから、確定犯。
もういい、金輪際こいつらとは関わりたくない。
そう思いその場から去ろうとした瞬間、数人の中の誰か1人が、「は?」と声を上げた。
『いや、確かに卯月さんが告ってるの見てたのは悪いと思ってるけど...嘘告って何?意味分かんないんだけど。』
......は?
何を、言っているんだ。
『え、待ってまさか成也、嘘告だと思って卯月さんの事フッたの?』
『うちらが卯月さんにそんな事するわけないじゃーん!あの卯月さんだよ?うちらが話しかけるだけでも精一杯なのにさあー!』
『卯月さんは高嶺の花なんだからね!』
卯月の事を褒めているのか、「ねー!」と口々に言い出す女子たち。
『....本心、だったのか....?』
自分の口から漏らしたのは、そんな情ない声。
ああ、もう...最悪だ。
勢いに任せて、すぐさま校門の外まで全速力で駆け抜ける。
『......いない....』
気がついた頃には、もう遅かった。
ごめん、卯月。本当に本当に、本当にごめん。
今度は俺から伝えさせて。
卯月の事が好きだって。誰よりも1番、大好きだって....
[水平線]
1年後
「あんたってば本当、バカな男ね。」
俺は激動の日から1年後、高校を卒業し大学生になった。
4月のあの日、卯月は俺に本心の気持ちを伝えてくれた。
それを無下にした俺は...その親友の[漢字]白雪[/漢字][ふりがな]しらゆき[/ふりがな]に、そう投げ捨てられても何も文句を言えない。
一応売れてるアイドルの白雪は、帽子とサングラスで顔を覆っているため表情はよくわからないが。
「あのあとなよなよしてなかったらまだチャンスはあったかもしれないけど...[漢字]風浦[/漢字][ふりがな]かざうら[/ふりがな]にかっさらわれちゃったわね。」
俺が卯月の事をフッたあの日、どうやら悲しむ卯月を駅で見かけた俺の親友...風浦[漢字]春[/漢字][ふりがな]しゅん[/ふりがな]が、つっきりで卯月を慰めていたらしい。
その事があってか俺が知らないうちに2人はどんどん親密な関係になっていき、今では立派な恋人だ。
俺はこのおしゃれな雰囲気もカフェには合わないほどの辛気臭い顔をしていたのか、白雪ははあっとため息をつく。
「でも[漢字]胡桃[/漢字][ふりがな]くるみ[/ふりがな]ちゃん、あんたに感謝してたわよ。」
「......卯月が、俺に...!?」
驚きのあまり、大きな声を出してしまう。
「うるさいわね」と俺を睨みつけた白雪だが、そのまま言葉を続けてくれた。
「胡桃ちゃん、高校生の間ほぼずっとあんたの事好きだったから。『高校生活が楽しかったのは、横田くんのおかげだよっ!』って。本当、胡桃ちゃんらしい。」
「......う、づき....」
俺はきっとあの日の事を、一生後悔し続けると思う。
でもそれはなにがあっても消える事じゃないし、おこってしまった事実は変えられない。
....なあ、卯月。今からでも俺にしないか。
きっと今の俺なら...お前の事を、1番に大切にできる。
「胡桃ちゃんね、風浦と付き合い始めてから、どんどん幸せそうな表情が増えたの。」
白雪が突如サングラスをはずし、おだやかな顔でそう言いながら窓の外へ視線をうつす。
そしてその視線の先を追うと、カフェの外に手を繋いで仲睦まじく歩く若いカップルの姿があった。
それは見間違えるはずのない、卯月と春で。
卯月は俺に一度だって見せたことのない、無邪気で美しい笑みを浮かべている。
ああ...やっぱり俺には、卯月からあんな笑顔を引き出せない。
「ん、わたしそろそろライブのリハ始まっちゃうから帰るわね。」
「ああ、今日はありがとう白雪。奢るよ。」
何年...いや何十年経っても、俺は生涯お前に恋い焦がれ続けるだろう。
______でもそれは、何があっても言うつもりはない。