完全読み切り恋愛短編集
「縦ソロで、猫耳ポーズお願いします!」
わたしがポーズを調整してカメラ目線になった瞬間、チェキのシャッターを切る音が聞こえる。
「ユキにゃんありがと〜!!今日はねー、多分あと8周する!」
「えーっ、あおと今日太っ腹じゃん何かあった?」
「いやねー、今日たまたま給料日で...」と、わたしのファンの1人あおとが話を続ける。
あいづちもしっかり、表情管理は百点満点で。それがわたしのモットー。
「チェキ印刷完了しましたー、もう一度並ぶ場合はチェキ券購入後最後尾にお並びくださーい。」
そう言ってチェキスタの人がわたしの猫耳チェキをあおとに手渡して、椅子から立ち上がらせる。
ちらっと見えたチェキを見て、我ながらだけど今日のわたしのビジュもかわいい。最高。と1人思った。
「すぐ来るから待っててね!」
「はーい、待ってるね。」
わたしは「Milky♡Ribbon」略してみるりぼの絶対的センター・シラユキ。
メンバーやファンの人たちは、わたしの事をこの猫目の感じや語呂の良さなどから「ユキにゃん」と呼んでいる。
本名は[漢字]白雪[/漢字][ふりがな]しらゆき[/ふりがな][漢字]小冬[/漢字][ふりがな]こと[/ふりがな]で、実はとんでもなく普通の高校に通う高校3年生。
今は眼差し愛ホビ系が売りだけど、高1なりたての頃にめちゃくちゃ量産フリルひらひらーな格好で親友の[漢字]胡桃[/漢字][ふりがな]くるみ[/ふりがな]ちゃんと歩いているところをスカウトされたのがはじまり。
正直アイドルなんて興味もなかったし、お金も実家が太かったから別にどうでもよかった。
____でも、誰かから熱血的に思われたい。
その一心で、親の同意だとか周囲の目だとか、そういうのは一切視野に入れずにその場でスカウトをすんなり受け入れてしまった。
もうそこからは苦難の始まりのなんのって、グループは伸びないし収入もゼロ、メンバーの熱愛バレでファン離れもひどいし衣装代やメイク代なんてわたしたちアイドル自身が出し合っていた。
過去にはそれくらいしんどかった時期もあったけど、今は収入も安定してきているし、ファン年齢層にもばらつきがあることから調子はかなり良好的だ。
「ユキにゃん、一緒にはーとぽーずしようっ」
「いいよ〜!のあちゃんまたおっきくなったねえ。」
ファンの中には、まだ小学生なりたてくらいのちいさーな子もいるし、
「どうしよう、もう今日100連しようかなあ~?」
「ごう、前は95連で止まってたよね?無理しないでいいよ〜!」
お金もちで遠慮なく財力を振るってくれるおじさんファンの人もいる。
さっきのあおとなんかはわたしと同じくらいかみたいなレベルの人だから、本当に年齢層はバラバラだ。
「ユキにゃんありがとうっ!次の現場また来る〜!」
「ミレイ今日もありがと〜!」
いかにも過去のわたしと同業者の地雷量産で重め愛の子に、いつものホビ笑顔で手を振った。
と同時に、隣のメンバーの列に並んでいたであろうファンから声が聞こえる。
「ユキにゃんってマジですごいよね、固定ファンいるしファンサえぐいし、ファン全員把握してんのかな。」
「ね、思った。話してるの聞こえるけど、毎回名乗ってないのに名前読んでるしね。」
その会話が聞こえてきて、自然と広角が上がった。
多分元々、わたしは視力と暗記力だけは昔から飛び抜けてよかったのが関係していると思う。
視力は2.0近くあるし、暗記力が良いため社会科全般と理科一部だけは昔からテストでも点数はトップだった。
なにはともあれ、わたしは応援してくれているファンの人にできるだけ最大限の恩返しをしたい。
その一心で、わたしは活動している。
「横2人で、ツーショ風でお願いします。」
1人で色々と瞑想していると、とても聞き馴染んだ声が聞こる。
「あーーっ!」
「ユキ。」
軽く笑って手を振る彼___レオ。
「レオ久しぶり〜、元気してた?」
「うん、全然現場通えてなくてごめん。」
レオは、わたしがデビュー当初からのファン。
キャパ数が一桁だった頃から一途にわたしのファンでいてくれて、それでいてなんと年齢が同じ、高3なのだ。
「全然だよ、この時期ってば受験だもんねえ。」
「ごめんね本当、受験もうちょっとで落ち着くから待ってて。」
ずーっと待ってる!と言い、わたしとレオは自撮り風ポーズをしてチェキにうつった。
レオとは、話したい事がたくさんありすぎる。
「ユキは受験とか大丈夫なの?俺と同い年だよね?」
「わたしはねえー、内部進学だから大丈夫。」
チェキの印刷中は、自由に話せるフリータイム。
アイドルとファンとの間にある透明フィルムのせいで不鮮明なレオの顔を頑張って見つめがら、わたしとレオは話を続けた。
「内部進学なんだ、俺の受験する大学も付属系の大学なんだよね。」
「えーそうなの!もしレオが大学の入学式に居たら察するよ、察するだけね」
話しかけちゃだめなんだ、と笑みをこぼすレオ。
わたしがアイドル活動をここまで続けられるのは本当に...レオのおかげだから、感謝しかない。
「チェキ印刷完了しましたー、もう一度並ぶ場合はチェキ券購入後最後尾にお並びくださーい。」
色々話していると、チェキの印刷が完了してしまった。
基本的に、レオはチェキの周回はしない。
他メンとも撮らないし、ライブが終わってわたしの特典会に一度参加したらすぐに帰ってしまう。
あーあ、もう少しレオと話したかったなあ。
「...ユキ大丈夫?疲れちゃった?」
「あ...う、ううん、大丈夫!じゃあね、またねレオ!」
貼り付けたような笑みを浮かべて、わたしはレオに手を振った。
レオは受験もあるし...次会えるのは3月下旬頃になるのかなあ...
「あと3周するから、また来るよ。」
えっ.....?
もっかい会えるの...!?
「えー、レオが周回なんて珍しい!待ってるねえ!!」
レオは笑ってブースを抜け出す...かと思ったら、チェキを受け取り忘れて戻ってきた。
そんなところもかわいい...わたしのおたく、レオです♡
[水平線]
『ご入学、おめでとうございます!』
桜の花びらが舞い、買いたてのローファーがよく映える。
「ユキ。」
「......レオ!」
「また会えて、嬉しい。」
「....わたしも!」
桜の木の下、いつもはチェキスタが近くにいるけど、今日だけは__2人だけの特別な、甘い時間。
わたしがポーズを調整してカメラ目線になった瞬間、チェキのシャッターを切る音が聞こえる。
「ユキにゃんありがと〜!!今日はねー、多分あと8周する!」
「えーっ、あおと今日太っ腹じゃん何かあった?」
「いやねー、今日たまたま給料日で...」と、わたしのファンの1人あおとが話を続ける。
あいづちもしっかり、表情管理は百点満点で。それがわたしのモットー。
「チェキ印刷完了しましたー、もう一度並ぶ場合はチェキ券購入後最後尾にお並びくださーい。」
そう言ってチェキスタの人がわたしの猫耳チェキをあおとに手渡して、椅子から立ち上がらせる。
ちらっと見えたチェキを見て、我ながらだけど今日のわたしのビジュもかわいい。最高。と1人思った。
「すぐ来るから待っててね!」
「はーい、待ってるね。」
わたしは「Milky♡Ribbon」略してみるりぼの絶対的センター・シラユキ。
メンバーやファンの人たちは、わたしの事をこの猫目の感じや語呂の良さなどから「ユキにゃん」と呼んでいる。
本名は[漢字]白雪[/漢字][ふりがな]しらゆき[/ふりがな][漢字]小冬[/漢字][ふりがな]こと[/ふりがな]で、実はとんでもなく普通の高校に通う高校3年生。
今は眼差し愛ホビ系が売りだけど、高1なりたての頃にめちゃくちゃ量産フリルひらひらーな格好で親友の[漢字]胡桃[/漢字][ふりがな]くるみ[/ふりがな]ちゃんと歩いているところをスカウトされたのがはじまり。
正直アイドルなんて興味もなかったし、お金も実家が太かったから別にどうでもよかった。
____でも、誰かから熱血的に思われたい。
その一心で、親の同意だとか周囲の目だとか、そういうのは一切視野に入れずにその場でスカウトをすんなり受け入れてしまった。
もうそこからは苦難の始まりのなんのって、グループは伸びないし収入もゼロ、メンバーの熱愛バレでファン離れもひどいし衣装代やメイク代なんてわたしたちアイドル自身が出し合っていた。
過去にはそれくらいしんどかった時期もあったけど、今は収入も安定してきているし、ファン年齢層にもばらつきがあることから調子はかなり良好的だ。
「ユキにゃん、一緒にはーとぽーずしようっ」
「いいよ〜!のあちゃんまたおっきくなったねえ。」
ファンの中には、まだ小学生なりたてくらいのちいさーな子もいるし、
「どうしよう、もう今日100連しようかなあ~?」
「ごう、前は95連で止まってたよね?無理しないでいいよ〜!」
お金もちで遠慮なく財力を振るってくれるおじさんファンの人もいる。
さっきのあおとなんかはわたしと同じくらいかみたいなレベルの人だから、本当に年齢層はバラバラだ。
「ユキにゃんありがとうっ!次の現場また来る〜!」
「ミレイ今日もありがと〜!」
いかにも過去のわたしと同業者の地雷量産で重め愛の子に、いつものホビ笑顔で手を振った。
と同時に、隣のメンバーの列に並んでいたであろうファンから声が聞こえる。
「ユキにゃんってマジですごいよね、固定ファンいるしファンサえぐいし、ファン全員把握してんのかな。」
「ね、思った。話してるの聞こえるけど、毎回名乗ってないのに名前読んでるしね。」
その会話が聞こえてきて、自然と広角が上がった。
多分元々、わたしは視力と暗記力だけは昔から飛び抜けてよかったのが関係していると思う。
視力は2.0近くあるし、暗記力が良いため社会科全般と理科一部だけは昔からテストでも点数はトップだった。
なにはともあれ、わたしは応援してくれているファンの人にできるだけ最大限の恩返しをしたい。
その一心で、わたしは活動している。
「横2人で、ツーショ風でお願いします。」
1人で色々と瞑想していると、とても聞き馴染んだ声が聞こる。
「あーーっ!」
「ユキ。」
軽く笑って手を振る彼___レオ。
「レオ久しぶり〜、元気してた?」
「うん、全然現場通えてなくてごめん。」
レオは、わたしがデビュー当初からのファン。
キャパ数が一桁だった頃から一途にわたしのファンでいてくれて、それでいてなんと年齢が同じ、高3なのだ。
「全然だよ、この時期ってば受験だもんねえ。」
「ごめんね本当、受験もうちょっとで落ち着くから待ってて。」
ずーっと待ってる!と言い、わたしとレオは自撮り風ポーズをしてチェキにうつった。
レオとは、話したい事がたくさんありすぎる。
「ユキは受験とか大丈夫なの?俺と同い年だよね?」
「わたしはねえー、内部進学だから大丈夫。」
チェキの印刷中は、自由に話せるフリータイム。
アイドルとファンとの間にある透明フィルムのせいで不鮮明なレオの顔を頑張って見つめがら、わたしとレオは話を続けた。
「内部進学なんだ、俺の受験する大学も付属系の大学なんだよね。」
「えーそうなの!もしレオが大学の入学式に居たら察するよ、察するだけね」
話しかけちゃだめなんだ、と笑みをこぼすレオ。
わたしがアイドル活動をここまで続けられるのは本当に...レオのおかげだから、感謝しかない。
「チェキ印刷完了しましたー、もう一度並ぶ場合はチェキ券購入後最後尾にお並びくださーい。」
色々話していると、チェキの印刷が完了してしまった。
基本的に、レオはチェキの周回はしない。
他メンとも撮らないし、ライブが終わってわたしの特典会に一度参加したらすぐに帰ってしまう。
あーあ、もう少しレオと話したかったなあ。
「...ユキ大丈夫?疲れちゃった?」
「あ...う、ううん、大丈夫!じゃあね、またねレオ!」
貼り付けたような笑みを浮かべて、わたしはレオに手を振った。
レオは受験もあるし...次会えるのは3月下旬頃になるのかなあ...
「あと3周するから、また来るよ。」
えっ.....?
もっかい会えるの...!?
「えー、レオが周回なんて珍しい!待ってるねえ!!」
レオは笑ってブースを抜け出す...かと思ったら、チェキを受け取り忘れて戻ってきた。
そんなところもかわいい...わたしのおたく、レオです♡
[水平線]
『ご入学、おめでとうございます!』
桜の花びらが舞い、買いたてのローファーがよく映える。
「ユキ。」
「......レオ!」
「また会えて、嬉しい。」
「....わたしも!」
桜の木の下、いつもはチェキスタが近くにいるけど、今日だけは__2人だけの特別な、甘い時間。