完全読み切り恋愛短編集
「[漢字]奈魏[/漢字][ふりがな]なぎ[/ふりがな]!ごめん、遅くなって...!」
「ううん、そんなに走らないで。せっかくかわいくおしゃれしてるのに、崩れちゃうでしょ。」
もー、と言って僕から視線を逸らす[漢字]凛[/漢字][ふりがな]りん[/ふりがな]ちゃん。
今日は月に1回の貴重なデートの日で、いつもこの駅前を待ち合わせ場所にしている。
凛ちゃんは今日も変わらず前髪をセンター分けにしていて、腰辺りまでに伸びた青みがかかった髪をきれいに巻いていた。
今は夜だから、ツリーに点灯した光を頼りにかわいい凛ちゃんの頬を撫でる。
「今日もかわいい。」
僕がそう言うと凛ちゃんは照れたようにふいっと顔をそむけてしまった。
その姿すらも愛おしいし、守りたくなる。
するとふいに、視界にふわりとした白いものがうつった。
「雪......?」
そうか、今夜は雪か....
その雪が肌に触れた瞬間、僕は凛ちゃんと初めて出逢った時のことを思い出した。
「ねえ凛ちゃん。僕らが初めて出逢った時も、雪が降ってたよね。」
「そういえば降ってたなあ.....懐かしい。」
僕らが初めて出逢った時も、今日くらいに氷点下の気温だったと思う。
これはそんな、あの日の回想。
[水平線]
僕らが出逢ったのは、高校2年生の冬だった。
あの日ははらりはらりと雪が降っていて、風景としてとてもロマンチックな夜だった。
高校からの帰り道、僕は普段人通りの少ない道を通って家へ帰る。
けどあの日はたまたま帰るのが遅くなってしまい、辺りも暗くなってしまったため人通りの多い道を通って遠回りして帰ることにした。
普段は目にすることのないキラキラとした街頭。
駅前には大きなクリスマスツリーがドンと主張激しく身構えていて、思わず圧倒してしまった。
老若男女問わず、色んな人が色んな方向へ歩んでいく。
すごいな...と、浮かれて道路のど真ん中でぼーっと立っていると、誰かにぶつかってしまった。
『あっ...すみません!』
僕は反射的にそう言って、その人の方を見た。
するとその人は僕にぶつかった衝撃か、ふらっと倒れそうになってしまって。
思わずこけないように後ろから抱き上げるような形をとってしまった。
『あ、あの...大丈夫ですか?』
まずい、やらかした。
僕がぶつかったせいで...何か、怪我をさせてしまったかな...
不安になっていると、彼女は体に力を入れて自立してから、僕に会釈をした。
『ごめんなさいっ.....』
そう言って彼女は小走りで僕から離れていった。
でもよく見ると、彼女は短いスカートに薄手のカーディガンを羽織っただけの、こんな真冬の夜に出歩いていい格好をしていなくて。
思わず追い打ちをかけるようにして、声をかけてしまった。
『あ、あの...!』
こちらに振り返った彼女は、寒さと体調不良が混じったような顔色の悪さをしていた。
やっぱり、相当寒いんじゃないか...!
ここで僕が病院に連れて行くわけにも、家へ連れ帰って勝手に看病することもできない。
せめてもの抵抗として、僕は自分の羽織っていたコートを彼女の肩にかけた。
『寒い時はしっかり着込んでください...!』
僕はそれだけ言って、彼女の前から姿を消した。
_____これが僕と凛ちゃんの、出逢いだった。
[水平線]
「そっか...もうあれから10年も経ったんだね。」
凛ちゃんはそう言って、グラスに入ったワインを一口飲んだ。
今僕らは、事前に僕が予約していた高層階レストランで食事をしている。
1番最上階の個室を予約していたため、窓からの夜景がとても美しい。
そしてその流れで、僕らはあの日の出来事について語り合っていた。
実はあの後、僕と凛ちゃんは1年後同じ学校で再会することになる。
僕が高校3年生に進級したタイミングで、凛ちゃんが新入生として僕の通う学校へ入学してきたのだ。
「あの時奈魏が貸してくれたコート、まさかあんな形で返すことになるなんて思わなかったよ。」
あんな形、とは、当時僕が入部していた部活動の体験に凛ちゃんがやってきたことだ。
お互いに2度目の再会を果たした時、2人して驚いて数秒間見つめ合ってしまったことを思い出す。
「春なのにさ、凛ちゃんが真冬のコート持ってた時は驚いたなあ」
「もしかしたらあのコート貸してくれた人がいるかも...って持ってたの。そしたら本当にいたんだもん、びっくりしたよ。」
今思えば、あの時にお互いがお互いのことを覚えたいたことそのものが奇跡だなあなんて思ったりもする。
多分僕らの間には、何か剛毛な糸でも張られているんじゃないかなあ。
「ちゃんとコート返せて良かった。」
凛ちゃんはそう言って、ふわりと笑みを溢した。
あの後凛ちゃんは僕にコートを返してくれて、そのまま僕と同じ部活に入部し、よく2人で笑い合う関係になった。
学年は違えど同じ部活に所属していたため頻繁に会う機会もあったし、何よりあのコートの件があったおかげで僕らはお互いを自然に特別だと感じていた。
僕らが正式に付き合うきっかけになったのも、部員の1人が「先輩たちは付き合ってるから邪魔しちゃだめだよ!」の一言からだった。
なんでそう言われたのか細かくは覚えていないけど、多分僕と凛ちゃんが2人で会話しているタイミングで誰かが僕らに話しかけようとしてたとか、そんな単純なものだったと思う。
そこからしっかりお互いに想いを伝えて、正式に付き合うことになった。
でも何も言わずとも、自分で言うのもなんだけど僕達は相思相愛だったと思うんだ。
「ねえ凛ちゃん。僕、伝えたいことがあるんだ。」
僕がそう言うと、凛ちゃんは何かを察したようにして、いつもの優しい笑みを浮かべた。
「....うん。」
銀色に輝くリングケースを取り出し、瞳に薄い涙を零す凛ちゃんに僕は笑顔で伝えた。
「凛ちゃん、僕と______
「ううん、そんなに走らないで。せっかくかわいくおしゃれしてるのに、崩れちゃうでしょ。」
もー、と言って僕から視線を逸らす[漢字]凛[/漢字][ふりがな]りん[/ふりがな]ちゃん。
今日は月に1回の貴重なデートの日で、いつもこの駅前を待ち合わせ場所にしている。
凛ちゃんは今日も変わらず前髪をセンター分けにしていて、腰辺りまでに伸びた青みがかかった髪をきれいに巻いていた。
今は夜だから、ツリーに点灯した光を頼りにかわいい凛ちゃんの頬を撫でる。
「今日もかわいい。」
僕がそう言うと凛ちゃんは照れたようにふいっと顔をそむけてしまった。
その姿すらも愛おしいし、守りたくなる。
するとふいに、視界にふわりとした白いものがうつった。
「雪......?」
そうか、今夜は雪か....
その雪が肌に触れた瞬間、僕は凛ちゃんと初めて出逢った時のことを思い出した。
「ねえ凛ちゃん。僕らが初めて出逢った時も、雪が降ってたよね。」
「そういえば降ってたなあ.....懐かしい。」
僕らが初めて出逢った時も、今日くらいに氷点下の気温だったと思う。
これはそんな、あの日の回想。
[水平線]
僕らが出逢ったのは、高校2年生の冬だった。
あの日ははらりはらりと雪が降っていて、風景としてとてもロマンチックな夜だった。
高校からの帰り道、僕は普段人通りの少ない道を通って家へ帰る。
けどあの日はたまたま帰るのが遅くなってしまい、辺りも暗くなってしまったため人通りの多い道を通って遠回りして帰ることにした。
普段は目にすることのないキラキラとした街頭。
駅前には大きなクリスマスツリーがドンと主張激しく身構えていて、思わず圧倒してしまった。
老若男女問わず、色んな人が色んな方向へ歩んでいく。
すごいな...と、浮かれて道路のど真ん中でぼーっと立っていると、誰かにぶつかってしまった。
『あっ...すみません!』
僕は反射的にそう言って、その人の方を見た。
するとその人は僕にぶつかった衝撃か、ふらっと倒れそうになってしまって。
思わずこけないように後ろから抱き上げるような形をとってしまった。
『あ、あの...大丈夫ですか?』
まずい、やらかした。
僕がぶつかったせいで...何か、怪我をさせてしまったかな...
不安になっていると、彼女は体に力を入れて自立してから、僕に会釈をした。
『ごめんなさいっ.....』
そう言って彼女は小走りで僕から離れていった。
でもよく見ると、彼女は短いスカートに薄手のカーディガンを羽織っただけの、こんな真冬の夜に出歩いていい格好をしていなくて。
思わず追い打ちをかけるようにして、声をかけてしまった。
『あ、あの...!』
こちらに振り返った彼女は、寒さと体調不良が混じったような顔色の悪さをしていた。
やっぱり、相当寒いんじゃないか...!
ここで僕が病院に連れて行くわけにも、家へ連れ帰って勝手に看病することもできない。
せめてもの抵抗として、僕は自分の羽織っていたコートを彼女の肩にかけた。
『寒い時はしっかり着込んでください...!』
僕はそれだけ言って、彼女の前から姿を消した。
_____これが僕と凛ちゃんの、出逢いだった。
[水平線]
「そっか...もうあれから10年も経ったんだね。」
凛ちゃんはそう言って、グラスに入ったワインを一口飲んだ。
今僕らは、事前に僕が予約していた高層階レストランで食事をしている。
1番最上階の個室を予約していたため、窓からの夜景がとても美しい。
そしてその流れで、僕らはあの日の出来事について語り合っていた。
実はあの後、僕と凛ちゃんは1年後同じ学校で再会することになる。
僕が高校3年生に進級したタイミングで、凛ちゃんが新入生として僕の通う学校へ入学してきたのだ。
「あの時奈魏が貸してくれたコート、まさかあんな形で返すことになるなんて思わなかったよ。」
あんな形、とは、当時僕が入部していた部活動の体験に凛ちゃんがやってきたことだ。
お互いに2度目の再会を果たした時、2人して驚いて数秒間見つめ合ってしまったことを思い出す。
「春なのにさ、凛ちゃんが真冬のコート持ってた時は驚いたなあ」
「もしかしたらあのコート貸してくれた人がいるかも...って持ってたの。そしたら本当にいたんだもん、びっくりしたよ。」
今思えば、あの時にお互いがお互いのことを覚えたいたことそのものが奇跡だなあなんて思ったりもする。
多分僕らの間には、何か剛毛な糸でも張られているんじゃないかなあ。
「ちゃんとコート返せて良かった。」
凛ちゃんはそう言って、ふわりと笑みを溢した。
あの後凛ちゃんは僕にコートを返してくれて、そのまま僕と同じ部活に入部し、よく2人で笑い合う関係になった。
学年は違えど同じ部活に所属していたため頻繁に会う機会もあったし、何よりあのコートの件があったおかげで僕らはお互いを自然に特別だと感じていた。
僕らが正式に付き合うきっかけになったのも、部員の1人が「先輩たちは付き合ってるから邪魔しちゃだめだよ!」の一言からだった。
なんでそう言われたのか細かくは覚えていないけど、多分僕と凛ちゃんが2人で会話しているタイミングで誰かが僕らに話しかけようとしてたとか、そんな単純なものだったと思う。
そこからしっかりお互いに想いを伝えて、正式に付き合うことになった。
でも何も言わずとも、自分で言うのもなんだけど僕達は相思相愛だったと思うんだ。
「ねえ凛ちゃん。僕、伝えたいことがあるんだ。」
僕がそう言うと、凛ちゃんは何かを察したようにして、いつもの優しい笑みを浮かべた。
「....うん。」
銀色に輝くリングケースを取り出し、瞳に薄い涙を零す凛ちゃんに僕は笑顔で伝えた。
「凛ちゃん、僕と______