完全読み切り恋愛短編集
俺は、女が嫌いだ。
どいつもこいつも俺にいらぬ上目遣いで媚びようとしてきたり、汚い手を使って俺に近づこうとしてきたする。ひどい時にはストーカーをしようとするやつだっていた。
母親からもまともな愛情を注がれずに育った俺にとって、女は凶器以外の何者でもなかった。
だから、学校にも通っていない。
来年は大学受験だしもっと単位のことを考えろとか言われるけど、俺にはもうどうだってよかった。
今日学校に来たのも、俺は来週あたりに学校を退学するから荷物を取りに来ただけ。
そして最後についでで授業を受けようと思って来ただけ。
入学式にも顔を出していないため、教室に入った瞬間白い目で見られた。
でも別に構わない。
それに今日はお気に入りの灰色のパーカーを深くかぶっているから、目立たず済む。
_____そう、思っていたんだ。
ふいにポケットに手を突っ込むと、手に何かが引っかかった。
何かと思いそれを取り上げると、それは[漢字]倫[/漢字][ふりがな]りん[/ふりがな]の生徒手帳だった。
...うわ、なんでこんなやつが俺のポケットに入ってるんだよ....
倫とは俺のアイドル仲間で、つい先日行われたサバイバルオーディション番組でデビューを掴み取った者同士。
多分、朝俺の家へ迎えに来た倫とじゃれ合った際に何かの衝撃で倫の生徒手帳が俺のポケットへ入ってしまったんだろうな。
でもあいつ生徒会長だしな...会長が生徒手帳を持っていないのがバレたら、だいぶまずいんじゃないか。
ふいに教室の外を見ると、倫の周りにはとんでもない人数の人だかりができていた。
倫の人気マジでやべえな、あの中に混じるのか...
だるいけど仕方がない。
俺は教室を出て、そのまま倫のいる場所へと直進する。
その最中、やけに小さい女が目に入った。
その様子的に、この渦から抜け出そうとしているらしい。
ちいせー.....
俺はそんな事を思いながら、適当に人混みをかき分けていた。
数秒後、自分の身体に何かが倒れてくる感覚を覚えた。
何かと思いそちらを睨むと、そこにはさっきの女の姿がある。
誰かに押されたのか、その女は焦ったように俺の顔を見上げた。
「ごっ、ごめんなさいっ.....」
その女はそう謝罪の言葉を告げ、俺からふらふらと離れていく。
それがあまりにも、まるで生まれたての子鹿のような歩き方だったため、俺はつい呼び止めてしまった。
「おい!」
「....えっ?」
「お前、体調悪いのか?」
普段の俺なら、絶対にこんなことしない。
女に近寄ることすらもしたくないのに。でも、こいつは...こいつだけは、何かが違うんだ。
女特有の嫌な雰囲気を、全く感じない。
すると彼女は無理に貼り付けたような笑みを浮かべた。
「いえ、大丈夫です。」
そしてそのまま、去ろうとしてしまった。
いや待てよ、よく見たら顔色の悪いし歩き方からしてもう体調不良のそれが出ている。
このままこの人混みの中歩かせるわけにはいかないだろ...!
俺は勢いのまま、去っていく彼女の腕を掴んだ。
「おぶってく。」
「えっ....?」
困惑する彼女を目にしつつも、俺は端により彼女をおぶった。
うわ、軽い......
こいつ、ちゃんと飯食ってんのかな。
「あ、あの....」
「.....お前、これからどこ行こうとしてたんだよ。」
「え、えっと、教室に戻ろうと...」
自分がどういう状況か分かっていないのか。
それとも単に自分に興味がないのか...
真偽は分からないが、とにかくこんないかにもしんどそうな状態で教室に戻らせるわけにはいかない。
保健室へ行くのが最優先だ。
「体調悪いくせに無理すんなよ。」
俺はそう言うことしかできなかった。
つまり俺は全く気が利かない。一応そう自負はしていた。
階段を降りている最中、ふわりと自分の頬に何かが当たる感触を覚えた。
そちらを睨み視界へとらえると、そこには淡い銀髪の綺麗な髪がある。
これは...おぶっている彼女の髪か?
よく見ていなかったけど、こんな髪色をしていたのか。
染めているにしては綺麗すぎるし...地毛か。思わず関心する自分がいた。
「あの、もう大丈夫です。ありがとうございます。」
彼女はそう言って、ぽんぽんと俺の肩を叩いた。
ああそうか、もう保健室に着くのか。
俺はゆっくりと彼女を地上へ下ろした。
そして俺は初めて、まともに彼女の顔を見た。
くっきりとした大きな目、凛とした鼻、弾力のある頬にきゅっと結ばれた唇。
世間一般的に「かわいい」と呼ばれる類の顔なのだと一瞬で判断できてしまう。
それなのに俺は、彼女の見た目ではなく雰囲気に魅了されるものがあった。
「....?あ、あの...」
俺がジロジロと彼女を見つめたせいか、彼女は不安そうな表情を浮かべている。
ああ、すまない。
お前にそんな表情をしてほしいわけじゃないんだ。
「名前を、教えてくれないか。」
_______もう一度、彼女と会いたい。
これを終わりにしたくない。
彼女をもっと知って、もっと仲良くなって、もっと距離を縮めたい。
「[漢字]白鳥[/漢字][ふりがな]しらとり[/ふりがな]ひまり、です....」
ひまりか.....彼女にぴったりな名前だな。
「俺は[漢字]二階堂[/漢字][ふりがな]にかいどう[/ふりがな][漢字]迅[/漢字][ふりがな]じん[/ふりがな]。なあ、俺が保健室に連れ添ってもいいか?もっと話したいんだ、ひまりと。」
「えっ....!?は、はい.....!」
ひまりはひどく驚いた表情を浮かべる。
そうか、これはきっと正解ではない距離の詰め方なのか。
よし、これから学ぼう。学ぶ対象は....まあ適当に[漢字]涼[/漢字][ふりがな]りょう[/ふりがな]に聞けば問題ない。
「俺は、ひまりと仲良くなりたい。」
思っていることを伝えることは大事だと、どこかの誰かが言っていた。
俺はひまりを連れて保健室へと向かい、ひと時を過ごした。
何の奇跡かたまたま保健室の教師がいなかったため、俺はそのままひまりをベッドに寝かせた。
するとひまりは相当体調が悪かったのか、ベッドに体を預けた途端すぐにかわいい寝息を吐いた。
まさか自分が、こんなにも簡単に1人の女を気に入るなんて思わなかった。
ましてや学校の同級生なんて...今までなら、必要最低限の関わりすらも持たなかったのに。
でも今では、この距離感がとても愛おしい。
この気持ちに名前があるという事を知るのは、まだもう少し先の話______
どいつもこいつも俺にいらぬ上目遣いで媚びようとしてきたり、汚い手を使って俺に近づこうとしてきたする。ひどい時にはストーカーをしようとするやつだっていた。
母親からもまともな愛情を注がれずに育った俺にとって、女は凶器以外の何者でもなかった。
だから、学校にも通っていない。
来年は大学受験だしもっと単位のことを考えろとか言われるけど、俺にはもうどうだってよかった。
今日学校に来たのも、俺は来週あたりに学校を退学するから荷物を取りに来ただけ。
そして最後についでで授業を受けようと思って来ただけ。
入学式にも顔を出していないため、教室に入った瞬間白い目で見られた。
でも別に構わない。
それに今日はお気に入りの灰色のパーカーを深くかぶっているから、目立たず済む。
_____そう、思っていたんだ。
ふいにポケットに手を突っ込むと、手に何かが引っかかった。
何かと思いそれを取り上げると、それは[漢字]倫[/漢字][ふりがな]りん[/ふりがな]の生徒手帳だった。
...うわ、なんでこんなやつが俺のポケットに入ってるんだよ....
倫とは俺のアイドル仲間で、つい先日行われたサバイバルオーディション番組でデビューを掴み取った者同士。
多分、朝俺の家へ迎えに来た倫とじゃれ合った際に何かの衝撃で倫の生徒手帳が俺のポケットへ入ってしまったんだろうな。
でもあいつ生徒会長だしな...会長が生徒手帳を持っていないのがバレたら、だいぶまずいんじゃないか。
ふいに教室の外を見ると、倫の周りにはとんでもない人数の人だかりができていた。
倫の人気マジでやべえな、あの中に混じるのか...
だるいけど仕方がない。
俺は教室を出て、そのまま倫のいる場所へと直進する。
その最中、やけに小さい女が目に入った。
その様子的に、この渦から抜け出そうとしているらしい。
ちいせー.....
俺はそんな事を思いながら、適当に人混みをかき分けていた。
数秒後、自分の身体に何かが倒れてくる感覚を覚えた。
何かと思いそちらを睨むと、そこにはさっきの女の姿がある。
誰かに押されたのか、その女は焦ったように俺の顔を見上げた。
「ごっ、ごめんなさいっ.....」
その女はそう謝罪の言葉を告げ、俺からふらふらと離れていく。
それがあまりにも、まるで生まれたての子鹿のような歩き方だったため、俺はつい呼び止めてしまった。
「おい!」
「....えっ?」
「お前、体調悪いのか?」
普段の俺なら、絶対にこんなことしない。
女に近寄ることすらもしたくないのに。でも、こいつは...こいつだけは、何かが違うんだ。
女特有の嫌な雰囲気を、全く感じない。
すると彼女は無理に貼り付けたような笑みを浮かべた。
「いえ、大丈夫です。」
そしてそのまま、去ろうとしてしまった。
いや待てよ、よく見たら顔色の悪いし歩き方からしてもう体調不良のそれが出ている。
このままこの人混みの中歩かせるわけにはいかないだろ...!
俺は勢いのまま、去っていく彼女の腕を掴んだ。
「おぶってく。」
「えっ....?」
困惑する彼女を目にしつつも、俺は端により彼女をおぶった。
うわ、軽い......
こいつ、ちゃんと飯食ってんのかな。
「あ、あの....」
「.....お前、これからどこ行こうとしてたんだよ。」
「え、えっと、教室に戻ろうと...」
自分がどういう状況か分かっていないのか。
それとも単に自分に興味がないのか...
真偽は分からないが、とにかくこんないかにもしんどそうな状態で教室に戻らせるわけにはいかない。
保健室へ行くのが最優先だ。
「体調悪いくせに無理すんなよ。」
俺はそう言うことしかできなかった。
つまり俺は全く気が利かない。一応そう自負はしていた。
階段を降りている最中、ふわりと自分の頬に何かが当たる感触を覚えた。
そちらを睨み視界へとらえると、そこには淡い銀髪の綺麗な髪がある。
これは...おぶっている彼女の髪か?
よく見ていなかったけど、こんな髪色をしていたのか。
染めているにしては綺麗すぎるし...地毛か。思わず関心する自分がいた。
「あの、もう大丈夫です。ありがとうございます。」
彼女はそう言って、ぽんぽんと俺の肩を叩いた。
ああそうか、もう保健室に着くのか。
俺はゆっくりと彼女を地上へ下ろした。
そして俺は初めて、まともに彼女の顔を見た。
くっきりとした大きな目、凛とした鼻、弾力のある頬にきゅっと結ばれた唇。
世間一般的に「かわいい」と呼ばれる類の顔なのだと一瞬で判断できてしまう。
それなのに俺は、彼女の見た目ではなく雰囲気に魅了されるものがあった。
「....?あ、あの...」
俺がジロジロと彼女を見つめたせいか、彼女は不安そうな表情を浮かべている。
ああ、すまない。
お前にそんな表情をしてほしいわけじゃないんだ。
「名前を、教えてくれないか。」
_______もう一度、彼女と会いたい。
これを終わりにしたくない。
彼女をもっと知って、もっと仲良くなって、もっと距離を縮めたい。
「[漢字]白鳥[/漢字][ふりがな]しらとり[/ふりがな]ひまり、です....」
ひまりか.....彼女にぴったりな名前だな。
「俺は[漢字]二階堂[/漢字][ふりがな]にかいどう[/ふりがな][漢字]迅[/漢字][ふりがな]じん[/ふりがな]。なあ、俺が保健室に連れ添ってもいいか?もっと話したいんだ、ひまりと。」
「えっ....!?は、はい.....!」
ひまりはひどく驚いた表情を浮かべる。
そうか、これはきっと正解ではない距離の詰め方なのか。
よし、これから学ぼう。学ぶ対象は....まあ適当に[漢字]涼[/漢字][ふりがな]りょう[/ふりがな]に聞けば問題ない。
「俺は、ひまりと仲良くなりたい。」
思っていることを伝えることは大事だと、どこかの誰かが言っていた。
俺はひまりを連れて保健室へと向かい、ひと時を過ごした。
何の奇跡かたまたま保健室の教師がいなかったため、俺はそのままひまりをベッドに寝かせた。
するとひまりは相当体調が悪かったのか、ベッドに体を預けた途端すぐにかわいい寝息を吐いた。
まさか自分が、こんなにも簡単に1人の女を気に入るなんて思わなかった。
ましてや学校の同級生なんて...今までなら、必要最低限の関わりすらも持たなかったのに。
でも今では、この距離感がとても愛おしい。
この気持ちに名前があるという事を知るのは、まだもう少し先の話______