二次創作
デュエル・マスターズWIN IF ウィンとイッサの闇
ウィンとコンプレックスのやり取りが終わり、沈黙が訪れる。
静寂を破ったのは、コンプレックスだった。
「……さて……、お願い、できますか?」
ウィンは、ため息を付きながら、面倒くさそうに吐き捨てた。
「ハァ……。やるって何度も言ってんだろ。見れば見るほど、どれだけやばいか身にしみてくるしな」
ウィンは、自分を含めイッサとコンプレックスを、ジャシンの世界へと連れ込む。ただの部屋でこんな事を行うわけにもいかない。
万が一、闇のマナを感じ取ってカイザが入ってきたら、それこそ面倒、いや、カイザは今いないんだったか……。そんなことをぶつくさ頭の中で考えながら、闇のマナを操作して、レコードを中央に転移させた。
「ウィン、大丈夫なのか?」
「……さぁな。危ないから下がっとけ。お前じゃ飲み込まれかねない」
ウィンはイッサに離れろと指示すると、イッサは、心から心配そうな表情をしながら下がっていった。
「ウィン……」
「見守りましょう。彼ですら無理なら既に人間はいなくなっています」
「ウィンをどんな認識をしている」
「化物ですから」
そんな後ろの茶番を気にもとめず、ウィンは静かに集中を高める。
「……っし。始めるか……」
ウィンは腕を前に突き出した。身につけていたブレスレットが変形し、黒く変色する。殺那、膨大な闇のマナを吐き出し始めた。
ウィンは、指揮官のように腕を振り、その闇のマナをレコードへと吸収させる。内側から紐解く。そんな事ができるのは、術者が相手の術者より高度な技術を持っていなければならない。ウィンは、当たり前というように、自分が上という前提で術を行使していた。
ただし、今回ばかりは
「っ……!? ん゙、ぐっ、ぎぎ……」
彼と対等、いや、それよりも僅かに神の術式のほうが勝っていた。
「ウィン?! 大丈夫か!?」
「は、話し、かけんな……、 ははっ……脳、内に……直接、侵、入しやがって……」
今、ウィンの脳内には、闇を記録しようとする、レコードの『機能』が入り込んでいる。いまウィンが感じている感覚は、[漢字]命と同等に大切なもの[/漢字][ふりがな](心の闇)[/ふりがな]、例えば心臓のようなものを、無理やり引きちぎられる、そんな描写が一番適切だろう。
ウィンは必死に心のなかでも格闘する。
(ヒッ……。渡、すもんか……! フう゛っ! ヒィッ…… 止めろ、さわるな、やめろ……!!)
『機能』は強奪的で、圧倒的で、ウィンですらも簡単に跳ね返せない。冷や汗すら掻きそうな、その状況でなお、レコードの解析を並行して行っている。
そんな状態でもすべてを嗤ってみせるウィンのその姿は、とても中学生のそれではなかった。
「ウィン……」
そんな彼に話しかけるなど、イッサにはとてもじゃないが荷が重い。ウィンが何かを嗤っている顔は何度も見たことがある。その中でも、この表情は、鬼気迫るものだった。何もできない、してやれないことに不甲斐なさを感じながら、見守り続けることしかできない自分がなんとも悔しかった。
乾いていて、歪んでいて、狂った嗤いを浮かべるウィンも、使っていない方の手を、爪が食い込みそうなほどに固く握りしめている。片目を苦しそうに閉じ、なにかに必死に堪えているのが見て伺えた。……どうして話しかけれよう……。
ウィンは歪んだ笑みを浮かべたまま、更に腕のふりを大きくする。
脂汗をかいている。かなり無理をしているようだ。
「……何この術式、だるっ。解、析に時間かけた、くないん、だけどなぁ……!」
ウィンは真横に空を切るような動きをした。レコードに入り込んでいた闇のマナが、一気に抜き出され、ジャシンの世界の中心で渦を作る。魔法文字のようなものが、飛び散り、ウィンはそれを凝視する。
「……、……!! ねぇーマジでダルいんだけど!」
[漢字]θ[/漢字][ふりがな]シータ[/ふりがな]、[漢字]η[/漢字][ふりがな]イータ[/ふりがな]、[漢字]λ[/漢字][ふりがな]ラムダ[/ふりがな]、[漢字]ν[/漢字][ふりがな]ニュー[/ふりがな]、[漢字]γ[/漢字][ふりがな]ガンマ[/ふりがな]、[漢字]β[/漢字][ふりがな]ベータ[/ふりがな]、[漢字]ρ[/漢字][ふりがな]ロー[/ふりがな]、[漢字]τ[/漢字][ふりがな]タウ[/ふりがな]、[漢字]ω[/漢字][ふりがな]オメガ[/ふりがな]、[漢字]Δ[/漢字][ふりがな]デルタ[/ふりがな]、[漢字]ξ[/漢字][ふりがな]クサイ[/ふりがな]、[漢字]ι[/漢字][ふりがな]イオタ[/ふりがな]、[漢字]ο[/漢字][ふりがな]オミクロン[/ふりがな]
様々な記号がウィンを中心に飛び交っている。神々が使うギリシャ文字。それ以外にも[漢字]ตำแหน่ง[/漢字][ふりがな]タナムーン[/ふりがな]など、見たこともないものが混じっている。
「はぁっ! ん゙グっ、さす、がはカミサマだな……げんじゅーすぎ……俺、でもき、ついよ……はは……」
どうやら、『きつい』だけであって、読めはするらしい。嵐のように渦巻くそれを、読み解いている時点で化物なのかもしれない。
「ぅ……。さて……【解呪』といこうか」
次の瞬間、ウィンは手をっレコードにかざしたまま、謎の呪文をペラペラと喋りだす。イッサや、コンプレックスでさえも聞き取れない、不思議な言語が空間に響く。
「[漢字]ปรับมุม เริ่มคำนวณ คำนวณความต้านทาน คำนวณประสิทธิภาพ เริ่มต้น ยกเลิก คำนวณความต้านทานใหม่ คำนวณมุม คำนวณค่าคงที่เวลา การตั้งค่า เริ่มต้น[/漢字][ふりがな]プラップ ムム、レーム カムヌアン、カムヌアン クワーム ターンターン、カムヌアン プラシッティパープ、レームトン、ヨックルーク、カムヌアン クワーム ターンターン マイ、カムヌアン ムム、カムヌアン カー コンティー ウェーラー、ガーン タンカー、レームトン[/ふりがな]。これでっ!」
殺那、レコードから禍々しいギリシャ文字や、見たこともない謎の記号が溢れ出し、一文字ずつ空気に溶けていく。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……解けた、かな?」
ウィンはかなり苦戦していたのか、呪文を唱え終わるなり肩で息をし始めた。その様子を見て、コンプレックスはねぎらいの言葉を向ける。
「そのようですね。お疲れさまです」
「あーつっかれたーーー! いますぐ寝たい……」
「残念ながらこれから授業だぞ」
イッサは、心底同情する、というような眼差しで、現実をみせる。ウィンは、現実を思ってその視線を虚空へと向けた。
「だるっ。あーまた猫かぶんないといけないの鬱なんだけど。はーあ……、ここまで苦戦したからには、しっかりはたらいてもらうからなコンプレックス?」
突如コンプレックスに白羽の矢が立つ。仕方ないとしょんぼりした様子で彼女(?)も応じた。
「ええ、当然の報いですね……お手間を取らせて、本当に申し訳ありません……」
「ま、兎にも角にもレコードはどうにかなったんだし、一旦学園生活に戻ろうか。カイザに関しては、おいおい調べないとな」
「あぁ、お前の計画に支障をきたすと言うならなんとしてでも見つけ出そう」
静寂を破ったのは、コンプレックスだった。
「……さて……、お願い、できますか?」
ウィンは、ため息を付きながら、面倒くさそうに吐き捨てた。
「ハァ……。やるって何度も言ってんだろ。見れば見るほど、どれだけやばいか身にしみてくるしな」
ウィンは、自分を含めイッサとコンプレックスを、ジャシンの世界へと連れ込む。ただの部屋でこんな事を行うわけにもいかない。
万が一、闇のマナを感じ取ってカイザが入ってきたら、それこそ面倒、いや、カイザは今いないんだったか……。そんなことをぶつくさ頭の中で考えながら、闇のマナを操作して、レコードを中央に転移させた。
「ウィン、大丈夫なのか?」
「……さぁな。危ないから下がっとけ。お前じゃ飲み込まれかねない」
ウィンはイッサに離れろと指示すると、イッサは、心から心配そうな表情をしながら下がっていった。
「ウィン……」
「見守りましょう。彼ですら無理なら既に人間はいなくなっています」
「ウィンをどんな認識をしている」
「化物ですから」
そんな後ろの茶番を気にもとめず、ウィンは静かに集中を高める。
「……っし。始めるか……」
ウィンは腕を前に突き出した。身につけていたブレスレットが変形し、黒く変色する。殺那、膨大な闇のマナを吐き出し始めた。
ウィンは、指揮官のように腕を振り、その闇のマナをレコードへと吸収させる。内側から紐解く。そんな事ができるのは、術者が相手の術者より高度な技術を持っていなければならない。ウィンは、当たり前というように、自分が上という前提で術を行使していた。
ただし、今回ばかりは
「っ……!? ん゙、ぐっ、ぎぎ……」
彼と対等、いや、それよりも僅かに神の術式のほうが勝っていた。
「ウィン?! 大丈夫か!?」
「は、話し、かけんな……、 ははっ……脳、内に……直接、侵、入しやがって……」
今、ウィンの脳内には、闇を記録しようとする、レコードの『機能』が入り込んでいる。いまウィンが感じている感覚は、[漢字]命と同等に大切なもの[/漢字][ふりがな](心の闇)[/ふりがな]、例えば心臓のようなものを、無理やり引きちぎられる、そんな描写が一番適切だろう。
ウィンは必死に心のなかでも格闘する。
(ヒッ……。渡、すもんか……! フう゛っ! ヒィッ…… 止めろ、さわるな、やめろ……!!)
『機能』は強奪的で、圧倒的で、ウィンですらも簡単に跳ね返せない。冷や汗すら掻きそうな、その状況でなお、レコードの解析を並行して行っている。
そんな状態でもすべてを嗤ってみせるウィンのその姿は、とても中学生のそれではなかった。
「ウィン……」
そんな彼に話しかけるなど、イッサにはとてもじゃないが荷が重い。ウィンが何かを嗤っている顔は何度も見たことがある。その中でも、この表情は、鬼気迫るものだった。何もできない、してやれないことに不甲斐なさを感じながら、見守り続けることしかできない自分がなんとも悔しかった。
乾いていて、歪んでいて、狂った嗤いを浮かべるウィンも、使っていない方の手を、爪が食い込みそうなほどに固く握りしめている。片目を苦しそうに閉じ、なにかに必死に堪えているのが見て伺えた。……どうして話しかけれよう……。
ウィンは歪んだ笑みを浮かべたまま、更に腕のふりを大きくする。
脂汗をかいている。かなり無理をしているようだ。
「……何この術式、だるっ。解、析に時間かけた、くないん、だけどなぁ……!」
ウィンは真横に空を切るような動きをした。レコードに入り込んでいた闇のマナが、一気に抜き出され、ジャシンの世界の中心で渦を作る。魔法文字のようなものが、飛び散り、ウィンはそれを凝視する。
「……、……!! ねぇーマジでダルいんだけど!」
[漢字]θ[/漢字][ふりがな]シータ[/ふりがな]、[漢字]η[/漢字][ふりがな]イータ[/ふりがな]、[漢字]λ[/漢字][ふりがな]ラムダ[/ふりがな]、[漢字]ν[/漢字][ふりがな]ニュー[/ふりがな]、[漢字]γ[/漢字][ふりがな]ガンマ[/ふりがな]、[漢字]β[/漢字][ふりがな]ベータ[/ふりがな]、[漢字]ρ[/漢字][ふりがな]ロー[/ふりがな]、[漢字]τ[/漢字][ふりがな]タウ[/ふりがな]、[漢字]ω[/漢字][ふりがな]オメガ[/ふりがな]、[漢字]Δ[/漢字][ふりがな]デルタ[/ふりがな]、[漢字]ξ[/漢字][ふりがな]クサイ[/ふりがな]、[漢字]ι[/漢字][ふりがな]イオタ[/ふりがな]、[漢字]ο[/漢字][ふりがな]オミクロン[/ふりがな]
様々な記号がウィンを中心に飛び交っている。神々が使うギリシャ文字。それ以外にも[漢字]ตำแหน่ง[/漢字][ふりがな]タナムーン[/ふりがな]など、見たこともないものが混じっている。
「はぁっ! ん゙グっ、さす、がはカミサマだな……げんじゅーすぎ……俺、でもき、ついよ……はは……」
どうやら、『きつい』だけであって、読めはするらしい。嵐のように渦巻くそれを、読み解いている時点で化物なのかもしれない。
「ぅ……。さて……【解呪』といこうか」
次の瞬間、ウィンは手をっレコードにかざしたまま、謎の呪文をペラペラと喋りだす。イッサや、コンプレックスでさえも聞き取れない、不思議な言語が空間に響く。
「[漢字]ปรับมุม เริ่มคำนวณ คำนวณความต้านทาน คำนวณประสิทธิภาพ เริ่มต้น ยกเลิก คำนวณความต้านทานใหม่ คำนวณมุม คำนวณค่าคงที่เวลา การตั้งค่า เริ่มต้น[/漢字][ふりがな]プラップ ムム、レーム カムヌアン、カムヌアン クワーム ターンターン、カムヌアン プラシッティパープ、レームトン、ヨックルーク、カムヌアン クワーム ターンターン マイ、カムヌアン ムム、カムヌアン カー コンティー ウェーラー、ガーン タンカー、レームトン[/ふりがな]。これでっ!」
殺那、レコードから禍々しいギリシャ文字や、見たこともない謎の記号が溢れ出し、一文字ずつ空気に溶けていく。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……解けた、かな?」
ウィンはかなり苦戦していたのか、呪文を唱え終わるなり肩で息をし始めた。その様子を見て、コンプレックスはねぎらいの言葉を向ける。
「そのようですね。お疲れさまです」
「あーつっかれたーーー! いますぐ寝たい……」
「残念ながらこれから授業だぞ」
イッサは、心底同情する、というような眼差しで、現実をみせる。ウィンは、現実を思ってその視線を虚空へと向けた。
「だるっ。あーまた猫かぶんないといけないの鬱なんだけど。はーあ……、ここまで苦戦したからには、しっかりはたらいてもらうからなコンプレックス?」
突如コンプレックスに白羽の矢が立つ。仕方ないとしょんぼりした様子で彼女(?)も応じた。
「ええ、当然の報いですね……お手間を取らせて、本当に申し訳ありません……」
「ま、兎にも角にもレコードはどうにかなったんだし、一旦学園生活に戻ろうか。カイザに関しては、おいおい調べないとな」
「あぁ、お前の計画に支障をきたすと言うならなんとしてでも見つけ出そう」