二次創作
デュエル・マスターズWIN IF ウィンとイッサの闇
ウィンは一瞬、コンプレックスの中に手を伸ばすことをためらった。かつては学園を崩壊させるまでに至った、災害そのものだからだ。
しかし、嘘を見抜くのが人一倍、いや、百倍うまいウィンは、コンプレックスの言っている言葉に偽りはないと確信していたため、一つ、深呼吸を置いてから、蓋のような、口のようなものを開けた。
「ん……、中覗き込んでもなんにも見えないんだな」
興味本位で中を覗いたのだが、真っ暗で、何も見えなかった。
「フフ、闇のマナを自由自在に操るあなたなら、仕組みくらいは理解できるでしょう?」
「あぁ、空間をいじってんだろ? この中に、手を突っ込めばいいんだよな」
ウィンは、念の為コンプレックスに確認を取る。用心深い性格なため、よくわからないものに手を突っ込むような真似は、できるだけしたくないのだ。
「えぇ。レコードは直接触っても問題ないと思いますよ」
「……、はぁ……仕方ない、やるか」
ウィンは慎重に手を伸ばす。どこまでもズブズブと腕を飲み込む暗闇は、ひやりとしていて、心地よかった。しばらくして、コツン、と何たが爪に当たった。
「お、これか……?」
ウィンはそれを掴み取る。殺那。
「ん……?! うわ……何この情報量……頭がパンクする……!」
突如として、ウィンの頭の中に、混沌とした、黒いものが駆け巡る。レコードに記録されていた、ありとあらゆる、闇。それらは、他に記録されていた闇と複雑に混じり合い、ウィンですら理解できないほどの巨大な混沌とかしていた。
「んぐ……頭いてぇ……、取り出すどころじゃないだろこれ……」
傍で見守っていたイッサは、心配そうにウィンを眺めている。闇がこすぎて、イッサにはなんとなくしか感じ取れない。故に何もできず、ただ無言でじっとしていた。
ウィンは、とりあえずレコードを取り出すために、頭の中を駆け巡る膨大な情報の処理を始める。顔をしかめながら一つづつ紐解いていく。
「……」
「……、大丈夫、か?」
イッサは、流石に気苦労が絶えなくなり、とうとう話しかけずにはいられなくなった。
ウィンは、脂汗の滲む顔で、少し歪んだ笑みを見せる。
「ははっ、正直やばいよ。こんな強力な呪物、初めてだ」
「ウィン……」
「……大丈夫だって。こうして、おしゃべりできるだけの余裕ができたんだ。そろそろ、取りだせ、るかな!」
ウィンは、またしても「ははっ」と、乾いた笑いを浮かべる。イッサはその様子を見て、尚更心配が募っていった。
ウィンは、本当に深い心の闇を抱えている。自分は、ただ闇の存在に興味があり、好奇心のままに差し出された手を取っただけの、ただの[漢字]強いデュエリスト[/漢字][ふりがな]D4[/ふりがな]。ウィンの闇を、理解できるほどのモノは持ち合わせていない。ニンゲンの不幸を、嗤えるだけ自分も狂ってはいる。だが、ウィンはそれ以上の何かを知っていて、自分以上に達観していて、自分以上にニンゲンの浅はかさを嗤うことができる。
……心の底から尊敬していた。だからこそ、壊れてほしくない。もし、壊れてしまうのなら、そのときは──
「よっし取り出せた! あーつっかれた〜。頭ガンガンする……あーもうほんと面倒くさいな……」
「ウィン、大丈夫なのか?!」
「平気だよ。言ったろ、俺の心はそこまで強くない。だから、どこまでも強がれる。どこまでも強さを求められる。闇ってのはそういうもんだ」
ウィンは、自嘲するように嗤った。
「ま、今回は素で焦ったけどなw」
「まったく……、心配させないでくれ」
「心配してなんて言ってないぜ?」
そう言って、ウィンはいつも茶化してくる。はっきり言って、
「……最高だな。あぁ、心配してた俺が馬鹿だった」
「そこまで言ってないしw」
ウィンは、取り出したレコードをすぐさま床に置いていた。素で焦っていたというのは本当のことだろう。ほんの少しだけ茶番を楽しんだ後、すぐさま話をレコードに戻す。
「で? とりあえず出したけど、このあとどうするって?」
しかし、嘘を見抜くのが人一倍、いや、百倍うまいウィンは、コンプレックスの言っている言葉に偽りはないと確信していたため、一つ、深呼吸を置いてから、蓋のような、口のようなものを開けた。
「ん……、中覗き込んでもなんにも見えないんだな」
興味本位で中を覗いたのだが、真っ暗で、何も見えなかった。
「フフ、闇のマナを自由自在に操るあなたなら、仕組みくらいは理解できるでしょう?」
「あぁ、空間をいじってんだろ? この中に、手を突っ込めばいいんだよな」
ウィンは、念の為コンプレックスに確認を取る。用心深い性格なため、よくわからないものに手を突っ込むような真似は、できるだけしたくないのだ。
「えぇ。レコードは直接触っても問題ないと思いますよ」
「……、はぁ……仕方ない、やるか」
ウィンは慎重に手を伸ばす。どこまでもズブズブと腕を飲み込む暗闇は、ひやりとしていて、心地よかった。しばらくして、コツン、と何たが爪に当たった。
「お、これか……?」
ウィンはそれを掴み取る。殺那。
「ん……?! うわ……何この情報量……頭がパンクする……!」
突如として、ウィンの頭の中に、混沌とした、黒いものが駆け巡る。レコードに記録されていた、ありとあらゆる、闇。それらは、他に記録されていた闇と複雑に混じり合い、ウィンですら理解できないほどの巨大な混沌とかしていた。
「んぐ……頭いてぇ……、取り出すどころじゃないだろこれ……」
傍で見守っていたイッサは、心配そうにウィンを眺めている。闇がこすぎて、イッサにはなんとなくしか感じ取れない。故に何もできず、ただ無言でじっとしていた。
ウィンは、とりあえずレコードを取り出すために、頭の中を駆け巡る膨大な情報の処理を始める。顔をしかめながら一つづつ紐解いていく。
「……」
「……、大丈夫、か?」
イッサは、流石に気苦労が絶えなくなり、とうとう話しかけずにはいられなくなった。
ウィンは、脂汗の滲む顔で、少し歪んだ笑みを見せる。
「ははっ、正直やばいよ。こんな強力な呪物、初めてだ」
「ウィン……」
「……大丈夫だって。こうして、おしゃべりできるだけの余裕ができたんだ。そろそろ、取りだせ、るかな!」
ウィンは、またしても「ははっ」と、乾いた笑いを浮かべる。イッサはその様子を見て、尚更心配が募っていった。
ウィンは、本当に深い心の闇を抱えている。自分は、ただ闇の存在に興味があり、好奇心のままに差し出された手を取っただけの、ただの[漢字]強いデュエリスト[/漢字][ふりがな]D4[/ふりがな]。ウィンの闇を、理解できるほどのモノは持ち合わせていない。ニンゲンの不幸を、嗤えるだけ自分も狂ってはいる。だが、ウィンはそれ以上の何かを知っていて、自分以上に達観していて、自分以上にニンゲンの浅はかさを嗤うことができる。
……心の底から尊敬していた。だからこそ、壊れてほしくない。もし、壊れてしまうのなら、そのときは──
「よっし取り出せた! あーつっかれた〜。頭ガンガンする……あーもうほんと面倒くさいな……」
「ウィン、大丈夫なのか?!」
「平気だよ。言ったろ、俺の心はそこまで強くない。だから、どこまでも強がれる。どこまでも強さを求められる。闇ってのはそういうもんだ」
ウィンは、自嘲するように嗤った。
「ま、今回は素で焦ったけどなw」
「まったく……、心配させないでくれ」
「心配してなんて言ってないぜ?」
そう言って、ウィンはいつも茶化してくる。はっきり言って、
「……最高だな。あぁ、心配してた俺が馬鹿だった」
「そこまで言ってないしw」
ウィンは、取り出したレコードをすぐさま床に置いていた。素で焦っていたというのは本当のことだろう。ほんの少しだけ茶番を楽しんだ後、すぐさま話をレコードに戻す。
「で? とりあえず出したけど、このあとどうするって?」