朝起きて､制服を整えて着用し､玄関へ向かった。
朝ごはんなんてものは与えてもらえていない､私が悪いから。
私は七時になると同時に家を出て､自転車に乗った。

今からは学校へルートを辿って行くのが当たり前､
けど､何故か体は違う方向に自転車を走らせ始めた。



−公園−

身体は公園の前に来て停まった。
私は静かに自転車から降り､公園の中へと入った。

公園には1人､ベンチで眠っている誰かが居た。
裕さんだ。裕さんは静かに幸せそうに眠っていた。
眠る場所がないのだろうか､けど近くには大きめな車が一台止まっている。

沙良「裕さん､､､?起きてー､､､」

ぺちぺちと腕を叩いたが､裕さんは全然起きなかった。
数分それをしていたが起きず､私は裕さんの頬を手ですっと挟んだ。
すると驚いたように裕さんは､はっと起きて私の方を見た。

裕　「あ､おはよー沙良ちゃん､どーした?」
　　「もしかして､なんかあったの?」
沙良「おはようございま[小文字]す[/小文字]､､､あれ､､」

裕さんは優しい声で私に話しかけてくれた。
なぜか目からつーっと涙が不覚に出た。

裕「おぉい､､泣かないでぇ?」
　「なんか俺が泣かしたみたいじゃんか､､､。」

裕さんは焦りながらも優しく頭を撫でて慰めてくれた。
そして涙も収まってきた頃、ようやく一言､言葉が出せた。

沙良「､､､助けて､､ください､」

私がそう言い始めた瞬間､視界の端に親の車が映った。
私は恐怖で声が震えた。すると裕さんは気持ちを察知したのか私の頭に手を置いた。

裕　「､､､､やれることはやるよ」
　　「だから一回あの車の後部座席で待ってて､」
沙良「､､､､はいっ」

私がそう言うと､裕さんは私を誘導して車へ乗せた。
そして乗せた時､裕さんは私の耳元で静かに優しく囁いた。

裕「絶対､絶対助けて逃してあげるから」
　「すぐ戻るから待ってて」

私はその言葉に救われたような気がした。
裕さんはサッと車のドアとカギを閉め､何処かへ行ったしまった。