冴えない指揮者、独りの少女を助ける
後ろを振り向くと、長身の華奢な肩の、けど安心するような体格で、
ぼさっとした明るい色の茶髪を適当に括っている緑の瞳の、優しそうな人。
何故か懐かしい、安心できる香りがその人からは漂っていた。
沙良「今何て、、、?」
⁇? 「ん?逃げたいんなら手伝ってあげようか?って言ったよ」
「ごめんね、聴こえにくかったかな」
その人は、ははっと柔らかく、けど自嘲するように笑った。
昔から防犯の授業で耳にタコができるほどに言い聞かされてきた。
『知らない人には着いて行っては駄目です。』と言う言葉。
その言葉が反芻するように頭に浮かんできたが、上の空で聞こえなかった。
⁇?「もし逃げたいんだったら、、、、俺に着いてきて」
その人は花のように優しくて、柔らかな笑顔を浮かべ、私に背を向けて歩き始めた。
今着いて行ったら何されるか分かんないし、
ただでさえ遅い時間なのにこの人について行ってから帰ったら殴られる。
私はそう言う言葉がずっと頭に浮かんではきえてをしていたが、
私はその人になぜか足が勝手に動いて静かに着いて行ってしまった。
[水平線]
-近くの公園-
私はその人に着いていき、歩いてすぐ着く公園に着いた。
この公園には、ベンチと少しの遊具があるだけで、年季が入っているし
あまり人が来ないので昼間はよく不良の溜まり場になっている。
私はその人がベンチに座ったのを見て、ベンチの上の汚れをさっさと手で落として横に静かに座った。
⁇? 「あ、着いてきてたんだ。まぁ気づいてたけどさ、」
「こんな夜に、純粋な女の子がこんな怪しい人に着いてきて良かったの?」
この人は、私にそうはにかみながら聞いてきた。
在如「、、、、そうですよね。こんな事してたらいけないですよね」
「けど、着いていきたかったから、着いてきたんです。」
⁇? 「、、、、え?」
一瞬緑の瞳に夕焼けの陽の光が当たり、薄く輝いた。
予想していたものと違ったという様に少し驚いたようにしていた。
私は少しその表情にびくついてしまい、震える声ですぐに違う言葉を出した。
沙良「知らない人に着いてくなんて、、私本当にバカですよね、、、」
⁇? 「いや?キミがそれを選択したんなら、それが正解だと思うよ」
沙良「、、、、え?」
私は少し間が空いて思わず声を漏らした。
今までこんな事をしたらそのような返答が返ってくることは無かったから。
⁇?「キミが生きてる人生っていうものはキミだけの物なんだ。」
「他人がそれを強引に他人の物にするのは決してあってはならないからね、」
「だから、キミがその道を選んだのなら、それが正解だ。」
沙良「、、、、それじゃぁ、私は自由に生きて良いって事なんですか、、?」
⁇? 「あぁ、キミが望むならばね、」
そうその人は言った。私はまたぼろっと目から涙がこぼれ落ちる。
その人は「泣かんといてよ、、、」と私を優しく撫でてくれた。
それに私は安心して、張り詰めていた糸が少し消えた気がした。
私の目から涙が溢れなくなってから少しして、
私はその人の方を向いた。するとその人はすっと手を顎に添えた。
⁇?「そういえば俺の名前言って無かったよね、?」
沙良「あ、、、、そうですね。」
裕 「俺は裕、まぁ名字なんだけどさ」
「あと呼び名とかは何でも良いから、気軽にどうぞ」
裕さんは安心する笑顔ですっと優しくはにかんだ。
それに私は緊張や不安もなくすっと口を開けた。
沙良「名前、、、、沙良です。」
裕 「、、沙良、沙良ね、、、良い名前だ、、。よし!覚えた!」
沙良「、、ありがとうございます、」
裕 「なんかあったら此処の公園来なよ、いつも居るからさ」
「何でも聴いたげるからね。何てったってキミの兄ちゃんだからね」
沙良「、、、兄さん、、、?」
裕 「キミの話を何でも聴いてあげれる、」
「君を暗闇から連れ出してあげれるお兄さんだ」
沙良「、、、、ありがとうございますっ」
私は泣きそうになりながら裕さんに感謝をし、
少し小走りになって日が暮れそうになる空を見て家に帰った。
ぼさっとした明るい色の茶髪を適当に括っている緑の瞳の、優しそうな人。
何故か懐かしい、安心できる香りがその人からは漂っていた。
沙良「今何て、、、?」
⁇? 「ん?逃げたいんなら手伝ってあげようか?って言ったよ」
「ごめんね、聴こえにくかったかな」
その人は、ははっと柔らかく、けど自嘲するように笑った。
昔から防犯の授業で耳にタコができるほどに言い聞かされてきた。
『知らない人には着いて行っては駄目です。』と言う言葉。
その言葉が反芻するように頭に浮かんできたが、上の空で聞こえなかった。
⁇?「もし逃げたいんだったら、、、、俺に着いてきて」
その人は花のように優しくて、柔らかな笑顔を浮かべ、私に背を向けて歩き始めた。
今着いて行ったら何されるか分かんないし、
ただでさえ遅い時間なのにこの人について行ってから帰ったら殴られる。
私はそう言う言葉がずっと頭に浮かんではきえてをしていたが、
私はその人になぜか足が勝手に動いて静かに着いて行ってしまった。
[水平線]
-近くの公園-
私はその人に着いていき、歩いてすぐ着く公園に着いた。
この公園には、ベンチと少しの遊具があるだけで、年季が入っているし
あまり人が来ないので昼間はよく不良の溜まり場になっている。
私はその人がベンチに座ったのを見て、ベンチの上の汚れをさっさと手で落として横に静かに座った。
⁇? 「あ、着いてきてたんだ。まぁ気づいてたけどさ、」
「こんな夜に、純粋な女の子がこんな怪しい人に着いてきて良かったの?」
この人は、私にそうはにかみながら聞いてきた。
在如「、、、、そうですよね。こんな事してたらいけないですよね」
「けど、着いていきたかったから、着いてきたんです。」
⁇? 「、、、、え?」
一瞬緑の瞳に夕焼けの陽の光が当たり、薄く輝いた。
予想していたものと違ったという様に少し驚いたようにしていた。
私は少しその表情にびくついてしまい、震える声ですぐに違う言葉を出した。
沙良「知らない人に着いてくなんて、、私本当にバカですよね、、、」
⁇? 「いや?キミがそれを選択したんなら、それが正解だと思うよ」
沙良「、、、、え?」
私は少し間が空いて思わず声を漏らした。
今までこんな事をしたらそのような返答が返ってくることは無かったから。
⁇?「キミが生きてる人生っていうものはキミだけの物なんだ。」
「他人がそれを強引に他人の物にするのは決してあってはならないからね、」
「だから、キミがその道を選んだのなら、それが正解だ。」
沙良「、、、、それじゃぁ、私は自由に生きて良いって事なんですか、、?」
⁇? 「あぁ、キミが望むならばね、」
そうその人は言った。私はまたぼろっと目から涙がこぼれ落ちる。
その人は「泣かんといてよ、、、」と私を優しく撫でてくれた。
それに私は安心して、張り詰めていた糸が少し消えた気がした。
私の目から涙が溢れなくなってから少しして、
私はその人の方を向いた。するとその人はすっと手を顎に添えた。
⁇?「そういえば俺の名前言って無かったよね、?」
沙良「あ、、、、そうですね。」
裕 「俺は裕、まぁ名字なんだけどさ」
「あと呼び名とかは何でも良いから、気軽にどうぞ」
裕さんは安心する笑顔ですっと優しくはにかんだ。
それに私は緊張や不安もなくすっと口を開けた。
沙良「名前、、、、沙良です。」
裕 「、、沙良、沙良ね、、、良い名前だ、、。よし!覚えた!」
沙良「、、ありがとうございます、」
裕 「なんかあったら此処の公園来なよ、いつも居るからさ」
「何でも聴いたげるからね。何てったってキミの兄ちゃんだからね」
沙良「、、、兄さん、、、?」
裕 「キミの話を何でも聴いてあげれる、」
「君を暗闇から連れ出してあげれるお兄さんだ」
沙良「、、、、ありがとうございますっ」
私は泣きそうになりながら裕さんに感謝をし、
少し小走りになって日が暮れそうになる空を見て家に帰った。