私は「[漢字]苅野 沙良[/漢字][ふりがな]かりの さら[/ふりがな]」
普通のただの何処にでもいる冴えない中学生だ。
成績もそこそこで､特に目立ったものはなく､平々凡々なただの学生だ。

[水平線]

今日も自転車をゆっくり引きながら家に帰っている。
なぜ乗らないのかって? だって､あんな家に帰りたいって思わないから。
私は生まれてからずっと今まで両親に期待されてしまっていた。
もう私はこの家に縛られる事が確定していた。もう逃げられないと言う事だ。

溜め息すら許されない状況で､逃げ場も安心できる場所もない。
逃げたい、逃げたいのに逃げれない。地縛霊のように縛り付けられている。

寒い冬風が腕に入っている切り傷に触れ､痛みを再発させてくる。
ぼろっと熱いナニカが目からこぼれ落ちる。ぼろぼろと形になって落ちていく。

沙良「､､､､誰か､たすけてくれないかなぁ､､､､､､」

下を向いた顔から涙と共に震えた本音がぼろっと漏れる。
すると､近くから[太字]ガタｯ[/太字]と車から誰かが降りる音がした。
「まさかね､､､」と思いつつ､顔を上げて自転車を進めようとした。

重い足を前に進めようとすると､ふわっと後ろから懐かしいような香りがした。
その直後､誰かに肩を触れられて後ろを振り向いた。

⁇? 「嬢ちゃん、逃げたいんだったらさ。」
　　「お兄さんが[太字]逃げる手伝いしてあげようか?[/太字]」
沙良「､､､､ぇ?」