after heaven
「えーっと君達、入学者の、レオくんとテンちゃんだね。はいプリント。」
俺達は校門に入っていきなり、まだ春だと言うのに汗だくで加齢臭の漂うオッサンに話し掛けられた。コイツが担任じゃなきゃいいな。
しかもコイツ、ちょっとだけテンの事触ってるぞ、何だコイツ、嫌な奴だな。
「なぁにやってんのセンセー?女のコに痴漢ですかぁ?」
「な、何だねレオ!痴漢などしていない!」
「オレぇ、見ましたよぉ?センセーが女のコの事触ってるの、しかもいやらしい顔で。」
「いい加減にしろ!!!」
とオッサンは逃げ出して行った。
「驚かせてごめんな!俺、ブレイズハート寮の1年副寮長のレオ!お前と同じ新入生だから宜しく!」
「あ、うん……よろしく……」
「つーかさっきの先生マジで気持ち悪かったよな!あいつろくでもない奴だけど親が2代目学園長だからって威張ってんだよ、本当嫌だよな。」
「ホンットにそれ分かる!!!!僕アイツに触れた時絶対許さないって思ったよ!!」
どうやらテンとレオは似たもの同士らしく、会話が盛りあがっていた。
「レオ、これから入学式なんですよ。遅刻なんかでランク落としていいんですか?」
「悪ぃ、寮長!此奴らが痴漢に遭遇してたから助けてたんだ!」
「はぁ……そうですか。まぁ、入学進級式には遅刻しない様にして下さいよ。寮のランクを下げる訳には行かないので。」
「はーいっ、寮長。」
「おーい、そこの君。ちょっと手伝ってくれんか。」
「分かりました、先生。では、僕はこれで。皆さん、学園生活頑張ってくださいね。」
寮長、と呼ばれるその男は、レオと談笑したと思ったら先生に呼ばれて何処かへ行ってしまった。
「まぁ、うちの寮長あんな奴なんだ。改めてよろしく!」
「うん!レオ君っ!」
「お、おう……よろ、しく……」
俺は緊張のせいかぎこちない挨拶をしてしまった。
「てかお前らのクラスは……うお!1組じゃん!2人とも俺と一緒!」
「そうなのっ!これから仲良くなろうね、レオ!」
本当に波長合いまくってるな此奴ら。
「取り敢えず教室まで案内するぜ!」
しばらくして教室に着いた俺達だが、とてつもなくら驚いた。
「でっっっっか…………」
「そうだろ!うちの学校、規模が小さい都市ぐらいあるんだぜっ!」
と3人で和気藹々と会話を弾ませていた俺達だが、知らない男子に話し掛けられた。
「おいちょっとお前らー?五月蝿いし邪魔で教室入れないんですけどー?」
と、意地悪そうに俺達の顔を覗き込む。
「なんだよお前、ってか後ろにもドアあるd」
「あっれれー?この僕にそんな事言っちゃって良いのかなー?僕の親、『カグヤマ商事』の社長だよ?」
「ぐっぬぬ……なんだよこいつ……」
とテンもイライラしている。そんな時、『カグヤマ商事』の社長令息を名乗る少年の肩に、手が置かれた。
「カゲヤマ君、新入生は只でさえ慣れない環境で緊張してると思うから、もうちょっと優しく接したらどうだい?」
「も、申し訳ございません……ミカゲ様。」
ミカゲ、と呼ばれるその少年は、俺たちを助けてくれた。
「申し訳ない。これからは共に実りある学園生活を送ろう。」
「あ、はい!ミカゲさん。」
『キーンコーンカーンコーン……』
「そろそろ時間ですね。体育館に向かいましょうか。」