after heaven
「やっぱり、知ってしまったんだね。そこの部屋、鍵掛けなきゃダメかな」
ルドは少し悲しそうな顔で言った。
「本当にすいません。」
俺は素直に謝った。
「いや、いいんだよ。それより、少し昔の話をしていいかい?」
「え、はい。」
「妾は見ての通り体内に時計が埋め込まれているんだ。」
そう言って魔女は身体を見せた。
「この時計は、妾の心臓と言っても良いぐらい大切で、この時計塔の時計と繋がっているんだ。」
「だから俺達に時計守を……」
「そうだよ。最近は政府が時計のコアを奪おうとロボットを送り込んでくるし。何かと物騒だからね。」
「さっき来た変な奴って政府のなんだー!」
とテンは言っていた。
「なにはともあれ、君らはこれから政府の真相を知るんだ。戦うことになるのは覚悟しなくちゃいけない。もう働くのはいいよ。給料は3日後、妾からリョウに振り込んどく。それから……」
「それから?」
「これは妾が作った銃と、試作品のホウキだよ。持ってって。」
「ありがとうございました!」
俺達はルドの元を離れ、『shop GReeeeN』に戻る事にした。
「ツケはルドさんが振り込んでくれるから、待っててよね!!」
「それくらい分かってますよ。連絡も来ましたし。」
「なら良かったです。」
「おつおつ、諸君〜」
聞き慣れない声がした。その声の方に振り向くと、パーカーを目深に被った少女がいた。
「お、テンちゃんじゃーん!お久〜」
「シオン!お久々!〜」
どうやらこのふたりは面識があるらしく、独特な挨拶を交わしていた。
「彼女はシオン。テンの天使学校時代の友人で、都市1番とも言われる天才ホワイトハッカーです。」
「え、シオンさんも天使なんですか?」
「元、だよ。自分はもう天使として居るのがイヤになったんだよ。」
「天界から堕ちた天使って、僕みたいに堕天使になるか、申請して人間になるかなんだよ。まぁ、僕は空を飛べる堕天使のほうがいいと思うけどね。」
なぜかテンは堕天使の自慢を始めた。
「テン、主と天使の研究施設探してるって本当?」
「うん!ホントだよ!」
「なら自分も行かせて、自分の情報網にエル先輩が政府に囚われたって情報来てるから。」
「ホント!?じゃあ今すぐいこーよ!」
「ちょうど、貴方達はルドのホウキを持ってますし、行ってもいいんじゃないですか?」
「じゃあ出発!」
俺達は広い公園に移動し、ホウキに乗った。
「うわ、結構高いな。」
「あ、あそこ!国際研究所あるよ!」
そうして俺達はアルテミア国際研究所に辿り着いた。