二次創作
アニメ界隈短編
1月島蛍 ハイキュー 約900文字
「頑張るんで」
冷静さを繕う月島の話。
・・・
告白して玉砕した恋。
メンタルがズタボロのまま
東京合宿へ出向いたから
後輩やら同級生が頑張るのも
どこかよく見えなくて、
一人になりたくて、ここにいたのに。
「...なに泣いてるんですか」
そっと隣にすわるのは
一年坊の月島蛍。
埼玉にしては自然の多い
森然高校で、耳をくすぐる
セミのうっとうしい鳴き声が
彼の声とリンクした。
『べつに、泣きそうになってただけ』
だからまだ泣いてない、と
思ったより近くにいた
月島を軽く押して距離を取る。
顔をうずめたままで
早くどっか行って、なんて
完璧に塞ぎ込んでいると
「大地さんでしょ」
すこしこもった声が
私の肩をびくつかせる。
『...言わない』
これだからコイツが嫌いだ。
たいして仲良くないくせに
なんでか私をよく知ってて
的確に図星をついてくる。
しばらくなんて言おうか
口をもごもごさせていると
じっとこちらを見つめる
眼鏡の奥の大きな瞳が
全てを見透かしている気がして
気付けば本音が滑り出た。
『一年の頃から、ずっと好きだったの』
「へぇー」
自分から聞き出しておいて
興味なさそうな相槌のあと
「そういえば明日言うつもりだったんですけど」
「僕は先輩のこと好きです」
何食わぬ一定のトーンで
放たれた告白に、
思わず顔をあげ月島を見る。
だって、こんなの不可抗力だ。
やっと顔見せた、なんて。
ずるい、そんな顔しないで。
いつもの憎たらしい顔は
どこに捨ててきたんですか。
『急になに...?冗談だったら泣いちゃうよ?』
「冗談だと思いますか?」
2人だけの体育館の入口で
熱っぽい目線が混じり合って
ぐ、と一回り以上大きい彼の体が
比較的小さな私を壁に追いやる。
みるみる熱を帯びる顔を
とにかく隠したくて。
でも手は月島に掴まれていて。
「合宿中、頑張るんでできれば僕だけ見て下さいね」
耳元で言われた彼らしからぬ
頑張る、とかいう言葉。
それに動揺しつつ
近すぎる距離にも
動揺が隠せずにいた。
「え、あれツッキーと森川ちゃんじゃね?」
「やめろ黒尾!青春だろ!」
「...夜久くんが一番うるさいけど」
「じゃ、先輩僕のことも頭にいれてください」
くっついていた体が離れていき
茶化しに来たであろう
黒尾くんのもとへ月島が走る。
その耳は、暗い夜でも
よく見えるような
綺麗に灯った赤だった。
「頑張るんで」
冷静さを繕う月島の話。
・・・
告白して玉砕した恋。
メンタルがズタボロのまま
東京合宿へ出向いたから
後輩やら同級生が頑張るのも
どこかよく見えなくて、
一人になりたくて、ここにいたのに。
「...なに泣いてるんですか」
そっと隣にすわるのは
一年坊の月島蛍。
埼玉にしては自然の多い
森然高校で、耳をくすぐる
セミのうっとうしい鳴き声が
彼の声とリンクした。
『べつに、泣きそうになってただけ』
だからまだ泣いてない、と
思ったより近くにいた
月島を軽く押して距離を取る。
顔をうずめたままで
早くどっか行って、なんて
完璧に塞ぎ込んでいると
「大地さんでしょ」
すこしこもった声が
私の肩をびくつかせる。
『...言わない』
これだからコイツが嫌いだ。
たいして仲良くないくせに
なんでか私をよく知ってて
的確に図星をついてくる。
しばらくなんて言おうか
口をもごもごさせていると
じっとこちらを見つめる
眼鏡の奥の大きな瞳が
全てを見透かしている気がして
気付けば本音が滑り出た。
『一年の頃から、ずっと好きだったの』
「へぇー」
自分から聞き出しておいて
興味なさそうな相槌のあと
「そういえば明日言うつもりだったんですけど」
「僕は先輩のこと好きです」
何食わぬ一定のトーンで
放たれた告白に、
思わず顔をあげ月島を見る。
だって、こんなの不可抗力だ。
やっと顔見せた、なんて。
ずるい、そんな顔しないで。
いつもの憎たらしい顔は
どこに捨ててきたんですか。
『急になに...?冗談だったら泣いちゃうよ?』
「冗談だと思いますか?」
2人だけの体育館の入口で
熱っぽい目線が混じり合って
ぐ、と一回り以上大きい彼の体が
比較的小さな私を壁に追いやる。
みるみる熱を帯びる顔を
とにかく隠したくて。
でも手は月島に掴まれていて。
「合宿中、頑張るんでできれば僕だけ見て下さいね」
耳元で言われた彼らしからぬ
頑張る、とかいう言葉。
それに動揺しつつ
近すぎる距離にも
動揺が隠せずにいた。
「え、あれツッキーと森川ちゃんじゃね?」
「やめろ黒尾!青春だろ!」
「...夜久くんが一番うるさいけど」
「じゃ、先輩僕のことも頭にいれてください」
くっついていた体が離れていき
茶化しに来たであろう
黒尾くんのもとへ月島が走る。
その耳は、暗い夜でも
よく見えるような
綺麗に灯った赤だった。