辛い。もう無理。先生に、お腹痛いですって伝えないと。
私は、勇気を出して席を立ち、先生のところへ向かった。
「先生。お腹が痛いので、保健室に行ってもいいですか？」
「わかったわ。いってらっしゃい。よくなったら、戻ってきてね。[大文字]皆さーん[漢字]文香[/漢字][ふりがな]あやか[/ふりがな]さんが、体調が悪いようなので、誰か保健室まで、付き添ってあげてくれませんか？」[/大文字]
「はい。私行きます。」
そう言って、幼馴染の[漢字]楓楽[/漢字][ふりがな]ふうら[/ふりがな]が言った。
[斜体]ガラガラガラガラ[/斜体]
「ねぇ、文香大丈夫？」
さらにお腹が痛くなる。
「う、うん。大丈夫。」
お腹が、お腹が。

私は、大丈夫？、と聞かれると、お腹が痛くなってしまう。
なぜなら、人間は、「大丈夫？」と聞かれたら、ほぼ必ず「大丈夫。」と返してしまうから。

絶対あなたも「大丈夫？」と聞いたことも、聞かれたこともあるはずです。
そして、聞かれた時には「大丈夫。」と返したのではないでしょうか。
「どうしたの？」「何かあった？」
と聞けば、もしかしたら、詳しいことを教えてくれるかもしれません。
それは、もちろん普段からの信用、信頼もあると思いますが。
みなさんは、Qですか？Aですか？と聞かれたら、きっとどちらもと答えることでしょう。
このことを少しでも、気に留めておいて、少しでも軽くなる人がいれば、幸いです。