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二次創作
裏切り者なんて、いるわけない

#3


—エーミールside—
 
 壁の赤文字を発見してから、時が止まったかのように誰も言葉を発さなかった。…俺も、何も話す気になれんかった。
 
 
[中央寄せ][太字][斜体]—黒しか知らぬ心—[/斜体][/太字][/中央寄せ]
 
 
 ふと、さっき聞いた一文が頭に浮かぶ。そこで俺は、一つの可能性を思いついた。
(もしかして、裏切者のことを示唆しているんやないか…?)
「…なぁ、お前らは裏切者なんか」
ショッピ君がやや冷たい声色で聞く。その声からは、戸惑いがにじみ出ていた。
「そんなわけないやろ!!…なぁ、そうやろ?なぁ…」
チーノ君は不安そうに俺たちを見まわした。でも、誰も何も答えない。
 
 
——疑い始めている。
 
 
ピリピリとした空気が肌に伝わってくる。少しでも誰かが変な動きをしたら、見逃さないというように。
(あぁ…俺らの絆は、こんなもんやったんか)
そう思わずにいられない。でもまぁ、当然っちゃ当然やな。俺らは軍人や。いつ裏切られてもおかしくない…わかっているのに、胸はチクチクと痛み続ける。
「同志よ。私を裏切るというのなら…まず、私を殺してみろ」
グルッペンさんがとんでもないことを言い出す。警戒がより強まったのがはっきりとわかった。一秒、二秒、三秒…たったこれだけの時間がとてつもなく長く感じられる。…しかし、何も起こらなかった。内心、ほっと胸をなでおろす。
「グルッペンさん…そんなこというの、やめてください」
さすがにこれくらい言ってもいいだろう。こんなことが続けば心臓がいくつあっても足りない。が、そんな俺の思いとは裏腹に、グルッペンさんはフッと笑った。
「私はそう簡単に殺られはしない。それに…
[中央寄せ]——私は、お前らを置いて死んだりしない」[/中央寄せ]
その言葉を聞いた瞬間。——ドクンッと心臓が跳ね上がった。この人だけは、信じられる。絶対に守ってみせる。そんな決意を抱いてしまうほど、グルッペンさんの声は何かを秘めていた。
 
 ——しかし、そんな俺を一瞬で凍り付けるような言葉を、あの人は言った。
「…なぁ、エーミール」
「はい?」
突然後ろから話しかけられ、驚きつつも振り向く。彼は、いつもより真剣な顔をして私に聞いてきた。
 
 
「お前が裏切者なんか?」
 
 
(…え?)
俺が裏切者…?どうして、という思いが最初に浮かんだ。続いて、疑われているという事実に対する恐怖心がこみあげてきた。疑われるようなことをしただろうか、どこが怪しいと思ったのか…なぁ、どうしてそんなこと聞いたんや…——ゾムさん。
「ッッ[大文字]俺やない!![/大文字]」
「……」
(…今の反応、怪しかったんじゃ…)
ふと、我に返ってそう思う。やってしまった——そう悟り、ただひたすら小さくなっていると…ゾムさんが、小さく笑った。慌てて、しどろもどろになりながらも言葉を紡ぐ。
「あの、ゾムさん…本当に私じゃ…」
「えぇよ、俺…エミさんのこと、信じるわ」
しんじる…一瞬、何を言ってるのかわからなかった。口の中で小さく呟き、ようやく意味を理解する。
「え、ど、どうして?!」
「だってエミさん嘘つくの下手やん」
「うぐっ…!」
「別にそれでえぇんよ。俺、そんなエミさんが好きやし」
そう言ってニッと笑うゾムさんの顔は、裏切者には見えなかった。…疑いたくないだけなのかもしれない。それでも、俺は…
「…悪いけど、俺はまだ信用してへんからな。お前らも、あの赤文字も」
そう言ったのは、ロボロさんだった。彼は、一人だけ距離を置いて突っ立っている。
「ロボロさん…」
「信じられるのは俺自身と…グルッペン、あんただけや。仮にあんたが裏切者だったとしても、俺はあんたについていく」
「…俺も」
ショッピ君がぼそりと呟く。
「俺も、お前らのことが信用できひん。…俺は、グルッペンさんだけについていく」
「どうして…俺たち仲間やろ!!」
「仲間だからや!!」
チーノ君が叫び、ショッピ君も叫び返す。しかし、その後の声は弱弱しいものに変わった。
「仲間やから、信用したくないんや。…お前らに、裏切られたくないから」
いつもの彼からは出てこないような、悲痛な本心だった。チーノ君は何も言い返すことができず、押し黙ってしまう。そんな時、別の声が飛んできた。
 
 
「感情を捨てろ、ショッピ。お前らしくないぞ」
 
 
「…コネシマさん」
「いつも言っとるやろ、”感情で行動するな”って。…今、一人で探索するのが最善やと思うか?違うやろ」
そこでコネシマさんは一旦言葉を切り、ロボロさんのほうを向いた。
「ロボロ、お前や。一人で行動せんで俺たちと…」
「[大文字][大文字]うるさい!!![/大文字][/大文字]」
ビリビリと空気が揺れる。唖然とした表情を浮かべるコネシマさん。ロボロさんは、感情のままに言葉を続けた。
「そうやって、俺らを思うように動かそうとしやがって…[大文字]お前が裏切者なんちゃうか、コネシマ!![/大文字]」
 
 
——その時だった。
 
 
第一に、シュッと何かが風を切るような音が聞こえた。
「…部長…!!」
第二に、ショッピ君の声と彼が駆け出す足音が聞こえた。
「コネ、シマ…?」
第三に、ロボロさんの呆然とした声が聞こえた。
(嘘…やろ…)
目が、耳が、脳が捉える情報すべてが、ぼんやりと輪郭を無くした世界の中に消えていく。俺は、目の前の光景が信じられず、ただ立ち止まることしかできなかった。
 
 
 
 
 
——コネシマさんの胸には、鋭い矢が突き刺さっていた。





作者メッセージ

今気づいた、このシリーズ1話1話が長い()

2025/06/09 18:48

第二理科室 ID:≫ 6.ZgViLqO3PxY
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