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内容暗め
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二次創作
裏切り者なんて、いるわけない

#2


―シャオロンside―
 
 「…[小文字]…い、[/小文字]お…い、[大文字]おい、シャオロン!![/大文字]」
「うっ…」
俺はゆっくりと目蓋を開く。頭が割れるように痛い。最初に視界が捉えたのは、書記長——トントンの姿だった。首を動かすと、少し離れたところに同じ幹部らの姿が見える。見渡してわかったことは、ここは知らない場所だということだけだった。
「俺たち、一体どうなって…」
いまだに困惑する頭で直前の出来事を思い出そうとする。が、突然激しい頭痛が俺を襲った。
「がっ…!」
思い出したくない。本能がそう叫んでいる。そんな俺を見ながら、大先生は泣き笑いの表情を作った。
「何も覚えとらんの?シャオちゃん…」
なぜか心臓が痛いほどに波打つ。そして俺は、四人ほど姿が見えないことに気づいた。
「…オスマンは?ひとらんも、兄さんも、ぺ神も…みんなどこにいるんや…?」
そう問いながら、底知れない不安が俺を襲う。何か、大事なことを忘れているような…いや、忘れようとしているような気がする。
 しかし非情にも、グルッペンはちらりとこちらを見ると、感情の読み取れぬ表情で現実を告げた。
 
 
「——死んだよ、四人とも。…私をかばってな」
 
 
 ガァン…と頭を殴られたような、あるいは電撃に打たれたかのような衝撃がほとばしる。続いて、心の奥底がひんやりと冷たくなっていくのを感じた。
「…そうやったな」
短く、それだけ呟く。悲しいだとか寂しいだとか、そんな安っぽい感情はわいてこなかった。あいつらは責務を全うしたんや。絶対に、命を懸けてでも[漢字]総統[/漢字][ふりがな]グルッペン[/ふりがな]を守るという使命を——…
「…当然だったんちゃうか。俺らはグルッペンに忠誠を誓っとるわけやし」
ゾムも同じ思いだったのか、小さくそう呟いた。感情はこもっていなかった。何人かはわずかに悔し気な表情を見せたが、それも一瞬のことだった。
 わかってる。本当はみんな悔しくて仕方ないんや。もし、と考えてしまうんや。——もし、自分が代わりに死んどったらって。そうすればあいつらは、生きていたはずなのに…
(…グルッペンは、何を思っとるんやろ)
ふと、そんなことを思う。我らの総統は、表情一つ変えることなくたたずんでいる。
「…そろそろ、探索せぇへんか」
ロボロの提案に異議を唱える者はいなかった。あちこち回りながら、俺は頭をフル回転させていた。
 あの四人が殺された後…怒り狂った俺は、敵軍に突っ込もうとした。ところがその時、突然眠気を感じ——おそらく麻酔を打たれたのだろう——気が付いたときにはもう、ここにいた。ということは、俺が眠っている間にここへ連れてこられたのだろう。問題は、理由だ。殺すつもりだったのなら眠っている間に殺ればいい。
(俺たちをさらって何のメリットがあるんだ…?)
 
「[大文字]おいお前ら、これを見てくれ!![/大文字]」
 
突然トントンが声を上げたから、オレの思考はそこでシャットアウトされた。そちらに目を向けると、トントンの手には一枚の紙が握られていた。
「これ…何か書いてあるで」
コネシマが声を驚きに染める。トントンは重くうなずくと、内容を読み上げた。
「…黒しか知らぬ心 茶色くさびた鎧…」
(…はぁ?)
次々と読み上げられるポエムみたいな文章。ふざけているのか、と本気で疑うほどだった。こんな状況で、なぜそんなものがあるんだ。
「…この世界では “主役”になれぬと生き残れぬ さぁ始めよう ——命懸けの"騙し合い"を」
「…くっだらね」
トントンが読み終えた後、俺は思わずそう吐き捨てていた。
「なんや騙し合いって…」
俺がそう呟いた、次の瞬間。
 
 
[大文字]パチンッ[/大文字]
 
 
 一気に暗闇が広がる。反射的に警戒態勢に入った。神経を限界まで研ぎ澄ます。
(電気が消された?一体誰が、何のために…?)
わずかに物音が聞こえた気がして、俺はさらに警戒を強める。もしかしたら、暗闇を利用して誰かが襲ってくるかもしれない。しかし、そんな予想に反してパッと電気が復旧した。
眩しさに思わず目を細める。が、すぐにハッと目を見開くはめになった。
 
 そこには、壁に赤い文字で文章が書かれていた。
 
 
[中央寄せ][太字][斜体]——この中に裏切者がいる。

一日一人、疑わしい者を殺せ。[/斜体][/太字][/中央寄せ]
 
 
 「裏切者…?」
笑い飛ばしてやりたかった。そんなんいるわけないやろ、なぁ?と、みんなに聞いてやりたかった。でも…もう一人の俺が、囁いてくるんや。
(もし、本当にいたら…?)
そしたら俺は、自分の手で[漢字]裏切者[/漢字][ふりがな]仲間[/ふりがな]を殺すことができるだろうか——?
 
みっともなく足が震えるのを、俺は抑えることができなかった。

作者メッセージ

裏切り者誰にしよ〜かなーw

2025/05/31 15:30

第二理科室 ID:≫ 6.nmLIWRS02r2
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