私の、私たちの
※作者メッセージの欄に容姿を貼っつけています。私と解釈違いを起こしたくない方は先に見ることをオススメします。
[中央寄せ]*[/中央寄せ]
夜の風が吹き抜けていく。スーツのジャケットが、バタバタとはためく。
○○『はあ…』
パンツスタイルだから風でめくれる心配も無いな、とか場違いなことを考える。
つくづく、
○○『惨めだわぁ…ねえ?私』
泣き出しそうに震えた声で、自問する。
残業続きでろくに動かない足をもたれさせながら手すりに身を預ける。
ビルの屋上から見下ろす大阪の夜景は昼と同じくらい眩しくて、最期に見るには十分に綺麗なものだった。
もういい。
手すりを滑るように、踊るように、
───アイツの顔が一瞬だけ頭をよぎったけれど
夜の光がぶれて、身は宙を舞った。
かと思いきや
[大文字]ブオンッッッ!![/大文字]
と、青く光る渦が私の真下に現れた。
え待ってすっごい吸引力((
○○『えっ、はあッッッ!?!?』
私は抵抗するすべもなく、その渦の中へ落ちていった。
○○『(え何これ何これ何これ!!超常現象??幻覚??)』
渦の色が目まぐるしく変わる。おもわず目を瞑る。同時に、感じたことの無いほどの浮遊感に喉から自然と叫び声が漏れていた。
[大文字]ブオンッッ!![/大文字]
○○『ッッ!?!?』
一瞬だけ強風が身体を突き抜ける。何かと思い、うっすら目を開ける
○○『───嘘でしょおおお!?!?』
落下する私の眼下に広がっていたのは、夕陽で薔薇色に染まった、おとぎ話で見るような洋風の城であった。
[中央寄せ]*[/中央寄せ]
私は平凡な中学3年生だった。父、母、妹と弟が1人ずつ。妹と弟はまだ小学生で、育て方が良かったのか、生意気な態度を取らない素直で明るい子だ。
学校ではそこそこ上手くやっていた。友達もそれなりにいる。その中でもれいちゃん…乙藤怜香は一番の親友。多分。
○○『あーもう学校むりぃぃ…』
怜香「まだ1時間目なんですけど?w」
○○『知らんそんなの!』
怜香「ほら、次移動だよ〜。スタンダップ!!」
○○『れいちゃん!引っ張って』
怜香「はーい1000円ね♡」
こっちに手を差し出しながら笑顔で金をせびってくる。詐欺師の素質でもあんじゃねえのコイツ。
○○『自分で立ちまーす』
その"マジで普通"が壊れたのは、中学三年生の夏だった。
明日から夏休み。終業式の帰り道。
○○『…あ、そうだ。れいちゃん』
怜香「なに?」
○○『今週末、ダンスの発表会だからさあ』
通学バッグの中から発表会のチラシを抜き取って、れいちゃんの目の前でヒラヒラさせる。
[太字]7月27日日曜日 東京〇〇ホールにて開催!![/太字]
デカデカと書かれたチラシだ。
○○『暇だったら見に来てよ』
れいちゃんは高校からピアノの実力を買われて推薦がきている。もう入学が決まったようなものだから気楽に声をかけられるのだ。
怜香「えっ東京開催じゃん!すご!行くわ!」
○○『お前は東京に行きたいだけだろ((』
チラシでれいちゃんの頭をペシッとやる。
怜香「…ね、○○」
○○『あ?どした』
怜香「私さ、将来ピアニストになりたいの」
○○『へえ〜良いじゃん。私踊っちゃおうかな』
怜香「あー良いかも、それ」
れいちゃんはピアノが凄く上手い。私はれいちゃんの弾くピアノの音が好きだ。プロのピアニストが奏でる音より、れいちゃんが奏でる音の方が私はずっと好きだった。
怜香「もしなれたらコンサート毎回見に来てよね」
れいちゃんが意地悪そうに笑う。
○○『ん〜交通費負担してくれんなら良いよ』
怜香「なにそれw」
7月27日、日曜日。
朝からじりじりと太陽が照りつけるような、凡庸な夏の1日だった。
蝉のわめく声がうるさかった。
いつもと違うのは、朝早くからセットした髪型だけだ。
その日は、東京で大規模な爆破テロが起きた日だった。
[中央寄せ]*[/中央寄せ]
夜の風が吹き抜けていく。スーツのジャケットが、バタバタとはためく。
○○『はあ…』
パンツスタイルだから風でめくれる心配も無いな、とか場違いなことを考える。
つくづく、
○○『惨めだわぁ…ねえ?私』
泣き出しそうに震えた声で、自問する。
残業続きでろくに動かない足をもたれさせながら手すりに身を預ける。
ビルの屋上から見下ろす大阪の夜景は昼と同じくらい眩しくて、最期に見るには十分に綺麗なものだった。
もういい。
手すりを滑るように、踊るように、
───アイツの顔が一瞬だけ頭をよぎったけれど
夜の光がぶれて、身は宙を舞った。
かと思いきや
[大文字]ブオンッッッ!![/大文字]
と、青く光る渦が私の真下に現れた。
え待ってすっごい吸引力((
○○『えっ、はあッッッ!?!?』
私は抵抗するすべもなく、その渦の中へ落ちていった。
○○『(え何これ何これ何これ!!超常現象??幻覚??)』
渦の色が目まぐるしく変わる。おもわず目を瞑る。同時に、感じたことの無いほどの浮遊感に喉から自然と叫び声が漏れていた。
[大文字]ブオンッッ!![/大文字]
○○『ッッ!?!?』
一瞬だけ強風が身体を突き抜ける。何かと思い、うっすら目を開ける
○○『───嘘でしょおおお!?!?』
落下する私の眼下に広がっていたのは、夕陽で薔薇色に染まった、おとぎ話で見るような洋風の城であった。
[中央寄せ]*[/中央寄せ]
私は平凡な中学3年生だった。父、母、妹と弟が1人ずつ。妹と弟はまだ小学生で、育て方が良かったのか、生意気な態度を取らない素直で明るい子だ。
学校ではそこそこ上手くやっていた。友達もそれなりにいる。その中でもれいちゃん…乙藤怜香は一番の親友。多分。
○○『あーもう学校むりぃぃ…』
怜香「まだ1時間目なんですけど?w」
○○『知らんそんなの!』
怜香「ほら、次移動だよ〜。スタンダップ!!」
○○『れいちゃん!引っ張って』
怜香「はーい1000円ね♡」
こっちに手を差し出しながら笑顔で金をせびってくる。詐欺師の素質でもあんじゃねえのコイツ。
○○『自分で立ちまーす』
その"マジで普通"が壊れたのは、中学三年生の夏だった。
明日から夏休み。終業式の帰り道。
○○『…あ、そうだ。れいちゃん』
怜香「なに?」
○○『今週末、ダンスの発表会だからさあ』
通学バッグの中から発表会のチラシを抜き取って、れいちゃんの目の前でヒラヒラさせる。
[太字]7月27日日曜日 東京〇〇ホールにて開催!![/太字]
デカデカと書かれたチラシだ。
○○『暇だったら見に来てよ』
れいちゃんは高校からピアノの実力を買われて推薦がきている。もう入学が決まったようなものだから気楽に声をかけられるのだ。
怜香「えっ東京開催じゃん!すご!行くわ!」
○○『お前は東京に行きたいだけだろ((』
チラシでれいちゃんの頭をペシッとやる。
怜香「…ね、○○」
○○『あ?どした』
怜香「私さ、将来ピアニストになりたいの」
○○『へえ〜良いじゃん。私踊っちゃおうかな』
怜香「あー良いかも、それ」
れいちゃんはピアノが凄く上手い。私はれいちゃんの弾くピアノの音が好きだ。プロのピアニストが奏でる音より、れいちゃんが奏でる音の方が私はずっと好きだった。
怜香「もしなれたらコンサート毎回見に来てよね」
れいちゃんが意地悪そうに笑う。
○○『ん〜交通費負担してくれんなら良いよ』
怜香「なにそれw」
7月27日、日曜日。
朝からじりじりと太陽が照りつけるような、凡庸な夏の1日だった。
蝉のわめく声がうるさかった。
いつもと違うのは、朝早くからセットした髪型だけだ。
その日は、東京で大規模な爆破テロが起きた日だった。