枠
#1
虫好きの少女
お題【宝くじ】【少女】【羽化】 課題【人名使用禁止】
虫好きの少女
「ねぇねぇお母さん! 宝くじやってみてもいい?」
ある少女は母親にこうおねがいした。当然そんなもの、通るわけがない。
「はぁ? いいわけないでしょ、急にどうしたのよ?」
少女は潤んだ瞳を見せつけながら言った。
「お願い! どうしてもお金が必要なの!」
その様子を見て、母親はひどく悩んだ。いきなりどうしたというのだろう。
母親はとうとうため息を付いてこう言った。
「はぁ……、一回だけよ? 外れるのを承知でやりなさい」
宝くじなどそうそう当たらない。当たるわけがない。
だが、この時ばかりは、その予想は外れるのだった。
「やった! ありがとう!」
少女はそういうなり何処かへ駆けていった。
「はぁ、はぁ、ここが、宝くじが買えるところよね」
「おやまぁ、嬢ちゃん、こんなところに何しにきたんだい?」
店主のバァさんは不不思議そうに少女の顔を眺めた。
「えっとね、私も宝くじのやつ買いたいの! はい! お金!」
少女は問答無用で金を差し出した。言葉こそ和やかだが、その表情は険悪そのものだった。
そんな彼女の様子に押し負けた店主はやむなく宝くじの券を差し出した。少女は早速その券を擦る。するとなんと、
「当たった……」
本当に当たってしまったのである。店主は大慌てであちらこちらに電話をしている。お金の手配でもしているのだろう。
「おばさん! お金! 早く!!」
少女はなぜだか店主を急かす。何を焦っているのだろう?
「あぁ、今持ってくるから待っときぃ」
しばらくして、店主のバァさんは賞金の10億円を持ってきた。(間違ってたらすんません)
「やった! これであの子を助けられる!」
彼女はその十億を持って、最寄りのホームセンターへと向かっていった。
「はい、そうです。はい、お願いします!」
彼女はなにかの買い物を終えて家に戻る。その帰り途中で、彼女はポケットにいる瀕死状態のサナギを撫でる。
「もうすぐだからね……」
家に戻ってしばらくすると、ありとあらゆる飼育キットが届けられた。彼女の母親はとても驚いている。
「何やってるの!? なぁに!? この飼育キットは!?」
そうなるのも仕方がなかったろう。少女はすぐさま飼育キットの組立を始める。その中には、親ですらよくわからない謎の器具なども含まれた。
「おかーさんは手ぇ出さないで! 今から治療するんだから!」
「えぇ!? 何言ってるのよ!?」
少女はポーチに入れていたサナギをケースに移し替えた。
「……、良かった、死んではないみたい。通気性のいいやつで良かった」
少女は続いてなにかの薬物を用意し始めた。
それを順番にサナギに与える。母親には何がなんだかさっぱりで、見ていることしかできなかった。
「大丈夫。明日になれば、元気になれるからね……」
翌日
例のサナギは順調に回復していた。美しい羽の予感がしていた。
「もうすぐ羽化するね、頑張れ。頑張れ」
少女の思いが届いたのか、そのサナギは、少しづつ羽を広げた。
それから、彼女は昆虫博士として、様々な賞を獲得したらしい。彼女は記者会見でこう話していた。
「あの時、あの子がちゃんと羽化してくれたから、私は今ここにいます。今はもう、この世にはいないけど、きっと見守ってくれているに違いありません」
了
虫好きの少女
「ねぇねぇお母さん! 宝くじやってみてもいい?」
ある少女は母親にこうおねがいした。当然そんなもの、通るわけがない。
「はぁ? いいわけないでしょ、急にどうしたのよ?」
少女は潤んだ瞳を見せつけながら言った。
「お願い! どうしてもお金が必要なの!」
その様子を見て、母親はひどく悩んだ。いきなりどうしたというのだろう。
母親はとうとうため息を付いてこう言った。
「はぁ……、一回だけよ? 外れるのを承知でやりなさい」
宝くじなどそうそう当たらない。当たるわけがない。
だが、この時ばかりは、その予想は外れるのだった。
「やった! ありがとう!」
少女はそういうなり何処かへ駆けていった。
「はぁ、はぁ、ここが、宝くじが買えるところよね」
「おやまぁ、嬢ちゃん、こんなところに何しにきたんだい?」
店主のバァさんは不不思議そうに少女の顔を眺めた。
「えっとね、私も宝くじのやつ買いたいの! はい! お金!」
少女は問答無用で金を差し出した。言葉こそ和やかだが、その表情は険悪そのものだった。
そんな彼女の様子に押し負けた店主はやむなく宝くじの券を差し出した。少女は早速その券を擦る。するとなんと、
「当たった……」
本当に当たってしまったのである。店主は大慌てであちらこちらに電話をしている。お金の手配でもしているのだろう。
「おばさん! お金! 早く!!」
少女はなぜだか店主を急かす。何を焦っているのだろう?
「あぁ、今持ってくるから待っときぃ」
しばらくして、店主のバァさんは賞金の10億円を持ってきた。(間違ってたらすんません)
「やった! これであの子を助けられる!」
彼女はその十億を持って、最寄りのホームセンターへと向かっていった。
「はい、そうです。はい、お願いします!」
彼女はなにかの買い物を終えて家に戻る。その帰り途中で、彼女はポケットにいる瀕死状態のサナギを撫でる。
「もうすぐだからね……」
家に戻ってしばらくすると、ありとあらゆる飼育キットが届けられた。彼女の母親はとても驚いている。
「何やってるの!? なぁに!? この飼育キットは!?」
そうなるのも仕方がなかったろう。少女はすぐさま飼育キットの組立を始める。その中には、親ですらよくわからない謎の器具なども含まれた。
「おかーさんは手ぇ出さないで! 今から治療するんだから!」
「えぇ!? 何言ってるのよ!?」
少女はポーチに入れていたサナギをケースに移し替えた。
「……、良かった、死んではないみたい。通気性のいいやつで良かった」
少女は続いてなにかの薬物を用意し始めた。
それを順番にサナギに与える。母親には何がなんだかさっぱりで、見ていることしかできなかった。
「大丈夫。明日になれば、元気になれるからね……」
翌日
例のサナギは順調に回復していた。美しい羽の予感がしていた。
「もうすぐ羽化するね、頑張れ。頑張れ」
少女の思いが届いたのか、そのサナギは、少しづつ羽を広げた。
それから、彼女は昆虫博士として、様々な賞を獲得したらしい。彼女は記者会見でこう話していた。
「あの時、あの子がちゃんと羽化してくれたから、私は今ここにいます。今はもう、この世にはいないけど、きっと見守ってくれているに違いありません」
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