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ドス太にも見えるけど太ドスと言いはる

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二次創作
愛しさですよ

#1


「…やぁ。奇遇だね」
「…ですね」
日柄の良いヨコハマ某所。いつも通り清く正しく入水しようと、河原に向かっていたところ。

魔人と遭遇しました。

共喰いの際に喫茶処で会ったのは、言わずもがな偶然じゃない。だけど今日は本当に偶然だった。

「鼠は地下が好きなんじゃないのかい?」
「偶には陽の光を浴びた方がいいと同僚に云われまして」
「ふぅん?」

此奴が同僚の助言に素直に応じるとは思えないから、多分何か他の用事があったんだろう。まぁどちらだって良いけどね。

「ところで太宰くん、ぼくを捕まえないのですか?」
「はぁ?」
「魔人を捕まえたとなれば、探偵社の方々は喜ぶでしょう」
「君がそういうことを平然と言う時点で、並大抵の手段じゃ捕まえられないようになってるんだろう」
「それでは、貴方は並大抵の手段しかとれないと言うので?」

なんなんだ、今日はやけに喧嘩を売ってくるじゃないか。尤も今私は入水に向かおうとしてる訳だから、その挑発に乗る気はない。ないけど、普通に腹は立つ。

フョードルはにこやかにこっちを見ている。私の次の反応を待っているらしい。そのにこやかな笑顔がより腹立たしい。

全く、顔はいいのに。

女性だったら結構タイプかも、なんて考えが頭をかすめたとき、同時にフョードルがにたあっと笑った。

最悪。今の思考、絶対知られた。

フョードルは、それはもう、良い悪戯を思いついた私のような顔をしていた。気持ちがよく現れたときの表情は自分と似ているのがむかつく。

フョードルはふらっと倒れるように私に近付いて、どこか嬉しそうに尋ねた。
「ぼくの顔は好みですか?」
「全然。全く。ありえない。考えたこともない」
早口の答えは肯定も同然だ。フョードルは最早満面の笑みを浮かべている。此奴、こんな性格だったか?
そして妙に機嫌の良い魔人は、平気で言い放った。

「ぼくも、太宰くんの顔がすきですよ」

首の後ろを優しく掻かれたような心地がした。擽ったくて身を捩る。鳥肌が立っていた。でもそれは不快感からじゃなくて、突然大きい好意を受け取りすぎた故の、と言えば多分正しい。心がきゅうっと締め付けられた。切なさ?いやこれは、

「愛しさですよ」

「ありえないね」

そう、ありえない。だって相手は魔人だ。愛しいなんて、万一にも思うはずがない。

…思うはずがない。きっと。…きっと。

作者メッセージ

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2025/05/28 21:01

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