心を失った少女2 〜年明けのニューイヤーゲーム編〜
「はぁ、[明朝体]はぁ[/明朝体]、[太字]はぁ[/太字]、[斜体]はぁ[/斜体]」
静かなショッピングモールの中で、荒い息遣いがこだまする。
「はぁ、はぁ、ねぇ、一体何があったのよ……!」
「『ソマウマ』の能力で、はぁ、得た情報は、他人に漏らすと死んじまうんだっはぁ、はぁ」
状況がわからず、何があったのかの説明を求める美空に対し、蘭は息を切らせながら答えた。
「「「「「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……ッ!」」」」
全員で、ショッピングモールの奥地を目指しながら走り続けていると、
[中央寄せ][大文字]ドタドタドタドタ![/大文字][/中央寄せ]
後方から、凄まじい足音が聞こえてきた。
「ま、まさか、人狼!?」
「だろうなっ!! とにかく逃げるぞ! 此処じゃ逃げ場が少なすぎて、戦えるもんも戦えねぇ!」
蘭たちは、ひとまずエレベーターを目指した。それで一気に最上階、4階まで上がって、バリゲードなり何なりの対策を取ろうという作戦だ。おそらく、こちらの足音には気づいているのだろうが、姿は見られていないはず。
蘭は顔に浮かび上がった汗を拳で拭き取りながら、後ろを振り向いた。
大丈夫、まだ見つかってはいない。そう判断すると、ようやく見つけたエレベーターに乗り込んだ。
「ほら! 早くのりこめ!」
偶然この階で止まっていたエレベーターに乗り込むと、『開く』のボタンを押しっぱにして、全員が乗り込むのを待った。
しかし、そんなことをしている内に人狼たちが押し寄せてきた。
「っ! しまった……! 《フレイム》!!」
蘭は咄嗟にいつも使っている炎魔法を打ち込んだ。しかし、蘭の炎魔法はあまり強くない。できたのは、ちょっと怯ませるぐらいだった。
「あぁっもう役立たず! 《セクティオ・カルヴァリオ》!」
蘭の魔法の弱さに腹を立てて、瑠璃も魔法を使用する。《セクティオ・カルヴァリオ》。これは、相手を問答無用で切り刻むという、闇魔法の一種。
赤黒いエフェクトが特徴の瑠璃の魔法で、眼の前にいた、『犬』だったかもしれない人狼は、瞬く間に肉塊となってしまった。
「うっ……」
「おい、瑠璃! 中学生の前でそういう事するか!?」
「仕方ないでしょが! ほら、さっさと閉める!」
「もうそのボタンは押してるから! っつか、仕方ねぇって言ってももっとなんかあるだろうが!」
「あぁ!? やろうっての!?」
「や、やめて……、耳が、痛い……」
「……ぁ、ミヤビちゃん、大丈夫だよ、きっとすぐに収まるよ、ね?」
突然始まった蘭と瑠璃の喧嘩に、耐えきれなくなった雅が、しゃがみ込んで、耳を抑えていた。かすかに、涙が出ているような気がする。
その様子を見て、頭が冷えた蘭と瑠璃は、お互い気まずそうに目を逸らした。
重い空気が続く中、やがてエレベーターは4階に着き、黙々と、バリゲードを作るのだった。
静かなショッピングモールの中で、荒い息遣いがこだまする。
「はぁ、はぁ、ねぇ、一体何があったのよ……!」
「『ソマウマ』の能力で、はぁ、得た情報は、他人に漏らすと死んじまうんだっはぁ、はぁ」
状況がわからず、何があったのかの説明を求める美空に対し、蘭は息を切らせながら答えた。
「「「「「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……ッ!」」」」
全員で、ショッピングモールの奥地を目指しながら走り続けていると、
[中央寄せ][大文字]ドタドタドタドタ![/大文字][/中央寄せ]
後方から、凄まじい足音が聞こえてきた。
「ま、まさか、人狼!?」
「だろうなっ!! とにかく逃げるぞ! 此処じゃ逃げ場が少なすぎて、戦えるもんも戦えねぇ!」
蘭たちは、ひとまずエレベーターを目指した。それで一気に最上階、4階まで上がって、バリゲードなり何なりの対策を取ろうという作戦だ。おそらく、こちらの足音には気づいているのだろうが、姿は見られていないはず。
蘭は顔に浮かび上がった汗を拳で拭き取りながら、後ろを振り向いた。
大丈夫、まだ見つかってはいない。そう判断すると、ようやく見つけたエレベーターに乗り込んだ。
「ほら! 早くのりこめ!」
偶然この階で止まっていたエレベーターに乗り込むと、『開く』のボタンを押しっぱにして、全員が乗り込むのを待った。
しかし、そんなことをしている内に人狼たちが押し寄せてきた。
「っ! しまった……! 《フレイム》!!」
蘭は咄嗟にいつも使っている炎魔法を打ち込んだ。しかし、蘭の炎魔法はあまり強くない。できたのは、ちょっと怯ませるぐらいだった。
「あぁっもう役立たず! 《セクティオ・カルヴァリオ》!」
蘭の魔法の弱さに腹を立てて、瑠璃も魔法を使用する。《セクティオ・カルヴァリオ》。これは、相手を問答無用で切り刻むという、闇魔法の一種。
赤黒いエフェクトが特徴の瑠璃の魔法で、眼の前にいた、『犬』だったかもしれない人狼は、瞬く間に肉塊となってしまった。
「うっ……」
「おい、瑠璃! 中学生の前でそういう事するか!?」
「仕方ないでしょが! ほら、さっさと閉める!」
「もうそのボタンは押してるから! っつか、仕方ねぇって言ってももっとなんかあるだろうが!」
「あぁ!? やろうっての!?」
「や、やめて……、耳が、痛い……」
「……ぁ、ミヤビちゃん、大丈夫だよ、きっとすぐに収まるよ、ね?」
突然始まった蘭と瑠璃の喧嘩に、耐えきれなくなった雅が、しゃがみ込んで、耳を抑えていた。かすかに、涙が出ているような気がする。
その様子を見て、頭が冷えた蘭と瑠璃は、お互い気まずそうに目を逸らした。
重い空気が続く中、やがてエレベーターは4階に着き、黙々と、バリゲードを作るのだった。