二次創作
# 秘密厳守のマネージャー .
[太字]「氷室さん!!」[/太字]
メンバーの悲鳴が響く中、蓮は平衡を失い その場に崩れ落ちた。
意識が途切れ途切れになり、最後に聞こえたのは駆け寄ってくるメンバーたちの焦った声と、遠ざかっていくような自分の心臓の音だった。
蓮が次に目を覚ました時、視界いっぱいに広がっていたのは見慣れない白い天井だった。
消毒のツンとした匂いが鼻をつく。
重い瞼を持ち上げると、ぼんやりとした視界の端に、自分を覗き込む複数の顔が見えた。
「氷室さん!大丈夫ですか ... ?」
聞き慣れた声がして、焦点が定まらない目でそちらを見ると、心配そうな顔をしたメンバーたちがいた。
彼らの顔には安堵と、わずかに残る不安が入り混じっていた。
「 ... ここ、は 」
掠れた声で呟くと、ないこさんがすぐに説明してくれた。
「 病院です。仕事の休憩中に倒れて、救急車で運ばれたんです。... 覚えてますか? 」
蓮はゆっくりと瞬きをし、軽く頷いた。
倒れる直前の記憶が曖昧だ。
激しい頭痛と目眩、そしてどうしようもない倦怠感。
きっと、前半は兎も角 後半は気力で動いていたのだと思う。
それでも、最後まで仕事をやり遂げようとしていたことは覚えている。
額に触れると、ガーゼとテープでしっかりと固定されているのがわかった。
ズキズキとした鈍い痛みが蓮の意識を現実へと引き戻す。
「 ... ご迷惑を、おかけしました 」
蓮はいつもの調子で言おうとしたが、声はまだ小さく、弱々しかった。
りうらさんが蓮の言葉を遮るように声を出す。
「 迷惑なんかじゃないですよ!それより、体は大丈夫なんですか?先生の話だと、結構酷い脳震盪だって ... 」
心配そうな視線が蓮に集中する。
蓮はゆっくりと体を起こそうとしたが、まだ頭がクラクラした。
「 俺は大丈夫、です 」
そう言ったものの、蓮の顔色は後ろの壁と同じくらいに青白いようで。
メンバーたちは顔を見合わせ、蓮の無理を咎めるような、それでいて心底心配しているような複雑な表情をしていた。
「 しばらくは安静にしてろって、先生が言ってましたよ 」
ないこさんが肩をそっと押さえつけ、無理に起き上がらせないように促す。
蓮は諦めて、再び白いシーツの上に体を横たえることにした。
( 仕事は、どうなった ... )
蓮の頭の中には、倒れたことへの反省よりも、中断された撮影のこと、今後のスケジュールのことばかりが巡っていた。
高額なギャラ、家族のこと。
それらが蓮を突き動かす原動力であり、同時に "彼女を追い詰めるもの"だった。
その時、病室の扉が静かに開いた。