二次創作
# 秘密厳守のマネージャー .
翌日、次の仕事現場への移動中、蓮の乗るワゴン車は突然の揺れに見舞われた。
高速道路で前方を走っていたトラックが急ブレーキをかけたのだ。
蓮はとっさに身構えたが間に合わず、荷物が積まれた後部座席から飛び出した機材が蓮の頭を直撃した。
「氷室さん!大丈夫ですか!?」
運転手が慌てた声で叫んだ。
蓮は一瞬意識が飛びかけたが、すぐに頭に響く鈍痛で現実に引き戻された。
額に触れると、じんわりと温かい感触。血だ。
「大したことはありません」
蓮は冷静を装って言ったが、視界がかすかに揺れ、めまいがする。
運転手はすぐに路肩に車を寄せ、救急車を呼ぼうとしたが、蓮はそれを制した。
「必要ありません。この後のスケジュールに影響が出ます」
無理をして立ち上がろうとした瞬間、足元がぐらつき、運転手が慌てて蓮の体を支えた。
「いや、これはさすがに…」
運転手の制止を振り切り、蓮は自力で応急処置を施した。
常備している救急箱から消毒液とガーゼを取り出し、手際よく傷口を拭き、絆創膏を貼った。
しかし、額の傷は深く、絆創膏だけでは隠しきれない。
現場に到着すると、リハをしていたメンバーが蓮の様子を見て、ざわめき立った。
「氷室さん!どうしたんですか、その怪我!?」
りうらさんが真っ先に駆け寄ってきてくれた。
「移動中に少しぶつけただけです。問題ありません」
蓮はいつものように感情を一切見せず、淡々と答えた。
しかし、その顔色は明らかに青白く、額に貼られた絆創膏が痛々しい。
「いやいや、それ、結構な怪我じゃないですか!病院、行った方がいいんじゃ…」
ないこさんが心配そうに言う。
「大丈夫です。今日の撮影に支障はありません」
蓮はきっぱりと言い放ち、すぐに仕事に取り掛かった。
普段と変わらないプロ意識で、蓮はテキパキと指示を出し、撮影の準備を進めていく。
だが、時折、蓮がふらつくような様子を見せるのを、メンバーたちは見逃さなかった。
撮影中、蓮は何度かめまいに襲われたが、それを悟られないよう必死に堪えた。
頭痛もひどくなり、顔の横を冷や汗が流れる。
しかし、彼の頭の中には、今日のスケジュールを完遂すること以外に何もなかった。
高額なギャラ。
家族のため。
その揺るぎない目的が、痛みを忘れさせているかのようだった。
しかし、5分ほどの休憩に入った時、蓮はついに限界を迎えた。
足元が大きくぐらつき、立っていられなくなる。
「 ____ 氷室さん!!」