夢幻の世界の勇者様
「ああ、それがあの…伝説の武器ね」
「伝説の武器〜? なんか嬉しいんだけど!」
「なぜお前は欲しかったんだ?」
「そりゃあ、最強になれるからよ。世界七大武器を手に入れれば、ね」
アイリーンが自慢げに言う。
「えーじゃあ私、一気に強くなっちゃった☆」
「アル、煽るな。死ぬぞ」
「大丈夫よ、お兄様。破壊神様舐めちゃダメよ〜」
『崩・さみだれうち』!
「どうよ!」
土煙から出てきたのは、1本の矢が腕に当たったアイリーン。
「余計、欲しくなったわ! さあ、ちょうだい」
『雷神斬』!
敵が油断したところを、最強技でつく!
アイリーンは腹を切られ、あっけなく死んだ。
勝った。
油断大敵。まさにその通りだと実感した。
村の止まった時は動き出し、みんな「え?」という顔をしている。
「お母ちゃん、お姉ちゃん!」
「ミキ! 無事だったのね」
「村長様は…?」
「…殺されてしまいました」
僕は勇気を振り絞って言った。
「え…?」
「まさか!」
「ホントだよ! 僕たち聞いたんだ。巫女が食べたって。若い娘は美味しかったけど、村長様はしわしわで不味かったって」
「そ、そんなことって…」
「うう…」
「君たちは…? 見たことない兄妹だね」
小母さんに訊かれた。
「僕と妹は、シュリアの王室の者です。魔王を倒すため、旅に出、アフシャーを目指していたところ、ここに通りかかりまして」
「私たちは、巫女さんを倒しました! あと、これを見つけたのですが」
アルテミスがサッと弓を出す。
その弓を見て、村人はハッとなった。
「…それは、村長様の家の家宝です」
「でも誰にも使えねえんで、放置してたんだよな」
「ある意味、渡した方が良いのでは?」
「確かに使えるし、王族だし、魔王と戦うし、強いし!」
村人達は意外にも乗り気で、僕たちに勇気と希望を与えた。
アルテミスが嬉しそうに、心から破顔した。
(こういう奴が、村や町で人気になるパーティの一員になるんだろうな)
「はいっ、ということで、ありがたくもらっていきます!」
「いいけど、その弓を使うんなら、必ず魔王を倒すんだよ。それが代金だからねえ」
「ははははっ! お安い御用だよ、おばあさん。だって私たち、勇者パーティなんだから」
「…なっ」
声を出したのは僕だ。
アルの言葉に一番驚いたと言える。
「お兄様は、私の勇者だよ。ね、みんな?」
(みんな…?)
「うん! アル姉ちゃん!」
「僕たち助けてもらった!」
「お兄様、ほら。この子達が、最初に守った子達よ。これは勇者と言わないで、なんて言うのかしら?」
(うぐ…)
たしかに僕は村を守った。
…だけど…
[太字][大文字][明朝体][大文字]「観念しなさいよ、お兄様」[/大文字][/明朝体][/大文字][/太字]
アルは、儚くも力強く、そう言った。
「伝説の武器〜? なんか嬉しいんだけど!」
「なぜお前は欲しかったんだ?」
「そりゃあ、最強になれるからよ。世界七大武器を手に入れれば、ね」
アイリーンが自慢げに言う。
「えーじゃあ私、一気に強くなっちゃった☆」
「アル、煽るな。死ぬぞ」
「大丈夫よ、お兄様。破壊神様舐めちゃダメよ〜」
『崩・さみだれうち』!
「どうよ!」
土煙から出てきたのは、1本の矢が腕に当たったアイリーン。
「余計、欲しくなったわ! さあ、ちょうだい」
『雷神斬』!
敵が油断したところを、最強技でつく!
アイリーンは腹を切られ、あっけなく死んだ。
勝った。
油断大敵。まさにその通りだと実感した。
村の止まった時は動き出し、みんな「え?」という顔をしている。
「お母ちゃん、お姉ちゃん!」
「ミキ! 無事だったのね」
「村長様は…?」
「…殺されてしまいました」
僕は勇気を振り絞って言った。
「え…?」
「まさか!」
「ホントだよ! 僕たち聞いたんだ。巫女が食べたって。若い娘は美味しかったけど、村長様はしわしわで不味かったって」
「そ、そんなことって…」
「うう…」
「君たちは…? 見たことない兄妹だね」
小母さんに訊かれた。
「僕と妹は、シュリアの王室の者です。魔王を倒すため、旅に出、アフシャーを目指していたところ、ここに通りかかりまして」
「私たちは、巫女さんを倒しました! あと、これを見つけたのですが」
アルテミスがサッと弓を出す。
その弓を見て、村人はハッとなった。
「…それは、村長様の家の家宝です」
「でも誰にも使えねえんで、放置してたんだよな」
「ある意味、渡した方が良いのでは?」
「確かに使えるし、王族だし、魔王と戦うし、強いし!」
村人達は意外にも乗り気で、僕たちに勇気と希望を与えた。
アルテミスが嬉しそうに、心から破顔した。
(こういう奴が、村や町で人気になるパーティの一員になるんだろうな)
「はいっ、ということで、ありがたくもらっていきます!」
「いいけど、その弓を使うんなら、必ず魔王を倒すんだよ。それが代金だからねえ」
「ははははっ! お安い御用だよ、おばあさん。だって私たち、勇者パーティなんだから」
「…なっ」
声を出したのは僕だ。
アルの言葉に一番驚いたと言える。
「お兄様は、私の勇者だよ。ね、みんな?」
(みんな…?)
「うん! アル姉ちゃん!」
「僕たち助けてもらった!」
「お兄様、ほら。この子達が、最初に守った子達よ。これは勇者と言わないで、なんて言うのかしら?」
(うぐ…)
たしかに僕は村を守った。
…だけど…
[太字][大文字][明朝体][大文字]「観念しなさいよ、お兄様」[/大文字][/明朝体][/大文字][/太字]
アルは、儚くも力強く、そう言った。