夢幻の世界の勇者様
「呪われてるって…本当か?」
「うん、嘘じゃないよ。僕たち、森に遊びに出かけて帰ってきたらこうなってたんだ」
「村長様に今日は森に遊びに行けって言われて…」
子どもたちは嘘は言っていなさそうだ。
というか、嘘を言えるような雰囲気ではなかろう。
「この村について、詳しく教えてくれる?」
アルが優しく訊く。
「分かりました」
ひとりの娘が手を挙げて言った。
「この村はフーキャという村です。シュリアとアフシャーの間にある村なのですが。ずっと前から鬼族の巫女を名乗る魔物に、若い娘を生贄として捧げよと言われていて、きっともう出せる娘がいなかったのだと思います。そして、その鬼族の巫女は、この村を滅ぼさんとし──」
「…そう、なの…」
ん? 何かおかしいよな?
「君は、生贄にはならなかったの?」
ビクッ 娘の肩がはね上がる。
怪しいと思った。だから、訊いた。
「君は、みんなの名前が言えるか?」
「あーあ、やっぱりこういう人がいるから」
娘の身体が、闇色をした霞で見えなくなる。
そして───……
[太字][大文字]「人間をさっさと滅ぼしたくなるのよねえ!」[/大文字][/太字]
『わああっ!! ば、化け物!』
娘の真の姿があらわになる。それは、人間とは言えないような姿形をしていた。
「なあにが化け物よ。うんうん、若ーい娘の血は、美味しかったわ。この村を滅ぼすとき、真っ先に殺した村長は、ちょっとしわしわで不味かったけど…」
娘…いや、魔物は、つらつらと人間食レポを始めた。
子どもたちは、ふるふると震えている。
「ふざけるな!」
「は? 私を誰だと思っているの?」
「そんなの知るか!」
いつしか、僕は叫んでいた。
村の人間は、村長以外食われていないらしいが…話は別だ。
「だったら教えてあげる。私は、魔王様の部下である[漢字]六魔臣[/漢字][ふりがな]ろくまじん[/ふりがな]のひとり、[漢字]魔巫[/漢字][ふりがな]まふ[/ふりがな]・アイリーンよ」
「魔王…! …お前をこの場で手討ちとする!」
「ふふっ、笑っちゃうわ。かかって来なさいよ。森の赤子!」
赤子…クソっ!
「アル、子どもたちを安全な所へ!」
「分かったわ! さ、みんな、行きましょ」
「でも、おとっつぁんやおっかさんは?」
「大丈夫だ! 傷一つ付けさせない! 早く行きなさい!」
僕は、お父様やお母様が僕らを生かしたように、この子達を生かす!
「うん、嘘じゃないよ。僕たち、森に遊びに出かけて帰ってきたらこうなってたんだ」
「村長様に今日は森に遊びに行けって言われて…」
子どもたちは嘘は言っていなさそうだ。
というか、嘘を言えるような雰囲気ではなかろう。
「この村について、詳しく教えてくれる?」
アルが優しく訊く。
「分かりました」
ひとりの娘が手を挙げて言った。
「この村はフーキャという村です。シュリアとアフシャーの間にある村なのですが。ずっと前から鬼族の巫女を名乗る魔物に、若い娘を生贄として捧げよと言われていて、きっともう出せる娘がいなかったのだと思います。そして、その鬼族の巫女は、この村を滅ぼさんとし──」
「…そう、なの…」
ん? 何かおかしいよな?
「君は、生贄にはならなかったの?」
ビクッ 娘の肩がはね上がる。
怪しいと思った。だから、訊いた。
「君は、みんなの名前が言えるか?」
「あーあ、やっぱりこういう人がいるから」
娘の身体が、闇色をした霞で見えなくなる。
そして───……
[太字][大文字]「人間をさっさと滅ぼしたくなるのよねえ!」[/大文字][/太字]
『わああっ!! ば、化け物!』
娘の真の姿があらわになる。それは、人間とは言えないような姿形をしていた。
「なあにが化け物よ。うんうん、若ーい娘の血は、美味しかったわ。この村を滅ぼすとき、真っ先に殺した村長は、ちょっとしわしわで不味かったけど…」
娘…いや、魔物は、つらつらと人間食レポを始めた。
子どもたちは、ふるふると震えている。
「ふざけるな!」
「は? 私を誰だと思っているの?」
「そんなの知るか!」
いつしか、僕は叫んでいた。
村の人間は、村長以外食われていないらしいが…話は別だ。
「だったら教えてあげる。私は、魔王様の部下である[漢字]六魔臣[/漢字][ふりがな]ろくまじん[/ふりがな]のひとり、[漢字]魔巫[/漢字][ふりがな]まふ[/ふりがな]・アイリーンよ」
「魔王…! …お前をこの場で手討ちとする!」
「ふふっ、笑っちゃうわ。かかって来なさいよ。森の赤子!」
赤子…クソっ!
「アル、子どもたちを安全な所へ!」
「分かったわ! さ、みんな、行きましょ」
「でも、おとっつぁんやおっかさんは?」
「大丈夫だ! 傷一つ付けさせない! 早く行きなさい!」
僕は、お父様やお母様が僕らを生かしたように、この子達を生かす!