夢幻の世界の勇者様
「はーい、お兄様〜。おつかれ〜」
「お前さあ、勇者様のくせに負けるとか、何やってんだよ〜! 俺なら勝てたぜ?」
僕はヒャッカと良い戦いをしたが、負けてしまった。
しかし、それには理由があった。
「僕には、人間を傷つけることはできないし。勇者って、人間を怪我させたり、殺したりするものなのか?」
「…っ」
2人ともド正論に黙り込む。
どうやら、痛いところを突かれたようだ。
そして道場から出ると、一人の人間が近づいてきた。
「今まで戦った相手の中で、二番目に強かったわ。ゆう…いえ、アポロン」
ヒャッカは、何か言いかけて止めた。
なんて言いたかったんだろう?
「ありがとう。負けたけど、悔しくないよ」
「ふふっ、あなたたちと少し話がしたいの。街歩きでもしましょう」
「いいんですか!? ヒャッカさん!」
「武器の話でもしようぜ!」
2人とも乗り気だ。
話ってなんだろうか。
とりあえずついて行くことにした。
「あの〜…僕のこと、気づいてた? 戦い方について」
僕は恐る恐る尋ねた。
勇者くせにと思われているかもしれない。
勇者と気づかれていないのが一番いいが。
「…私、あなたたちと仲良くしたいの。気づいていたとしても言いたくないわ」
「…そうよねえ」
「なあ、ヒャッカ、お前、本当の世界から来た?」
ヒャッカは一瞬たじろいだ。
いきなり訊かれ、そりゃあ驚くだろう。
「あはははは」
急に、今までとはとってかわり、子供のような笑い声をあげた。
「やっぱり、勇者様御一行かあ。本当の世界から来たんだよね。そう、私もそうだよ。私なんでも知ってる。この世界は全部嘘で幻だってことも、そしてあなたたちが勇者御一行だってことも」
「なんで?」
「炎の国・ジルの預言者から聞いたの。あと、あなたのことを見て、ね」
ヒャッカは僕のことを指さしてウインクした。
そして、ヒャッカは次に、アルとスサの方に向いた。
「それから! あなたたちが持ってる武器を見て、強い人だって分かった。それ、世界七大武器でしょう? 弓のピナカと、刀のクサナギノツルギ。まさに、最強を語る、伝説の武器、だわ!」
アルは照れ隠しをして、もじもじとうつむき、スサはふん、と偉そうにした。
「僕のことを見て、なんで勇者って…」
「あっ、それはね、トドーチャの人の方が詳しいから、次はトドーチャに行きましょう。
いきなりで悪いけど、私も仲間に入れて!」
本当にいきなりでびっくりしたが、僕は、スサとアルと顔を見合わせ、
「ああ、もちろん! ちょうど探していた人材なんだ」
と言った。
ヒャッカはその言葉を聞いて、周りに花を咲かせるように笑顔で、
「良いの? どうもありがとう! お得意武器は棍よ。よろしくね」
と、最初とは打って変わって、フレンドリーにそう言った。
「お前さあ、勇者様のくせに負けるとか、何やってんだよ〜! 俺なら勝てたぜ?」
僕はヒャッカと良い戦いをしたが、負けてしまった。
しかし、それには理由があった。
「僕には、人間を傷つけることはできないし。勇者って、人間を怪我させたり、殺したりするものなのか?」
「…っ」
2人ともド正論に黙り込む。
どうやら、痛いところを突かれたようだ。
そして道場から出ると、一人の人間が近づいてきた。
「今まで戦った相手の中で、二番目に強かったわ。ゆう…いえ、アポロン」
ヒャッカは、何か言いかけて止めた。
なんて言いたかったんだろう?
「ありがとう。負けたけど、悔しくないよ」
「ふふっ、あなたたちと少し話がしたいの。街歩きでもしましょう」
「いいんですか!? ヒャッカさん!」
「武器の話でもしようぜ!」
2人とも乗り気だ。
話ってなんだろうか。
とりあえずついて行くことにした。
「あの〜…僕のこと、気づいてた? 戦い方について」
僕は恐る恐る尋ねた。
勇者くせにと思われているかもしれない。
勇者と気づかれていないのが一番いいが。
「…私、あなたたちと仲良くしたいの。気づいていたとしても言いたくないわ」
「…そうよねえ」
「なあ、ヒャッカ、お前、本当の世界から来た?」
ヒャッカは一瞬たじろいだ。
いきなり訊かれ、そりゃあ驚くだろう。
「あはははは」
急に、今までとはとってかわり、子供のような笑い声をあげた。
「やっぱり、勇者様御一行かあ。本当の世界から来たんだよね。そう、私もそうだよ。私なんでも知ってる。この世界は全部嘘で幻だってことも、そしてあなたたちが勇者御一行だってことも」
「なんで?」
「炎の国・ジルの預言者から聞いたの。あと、あなたのことを見て、ね」
ヒャッカは僕のことを指さしてウインクした。
そして、ヒャッカは次に、アルとスサの方に向いた。
「それから! あなたたちが持ってる武器を見て、強い人だって分かった。それ、世界七大武器でしょう? 弓のピナカと、刀のクサナギノツルギ。まさに、最強を語る、伝説の武器、だわ!」
アルは照れ隠しをして、もじもじとうつむき、スサはふん、と偉そうにした。
「僕のことを見て、なんで勇者って…」
「あっ、それはね、トドーチャの人の方が詳しいから、次はトドーチャに行きましょう。
いきなりで悪いけど、私も仲間に入れて!」
本当にいきなりでびっくりしたが、僕は、スサとアルと顔を見合わせ、
「ああ、もちろん! ちょうど探していた人材なんだ」
と言った。
ヒャッカはその言葉を聞いて、周りに花を咲かせるように笑顔で、
「良いの? どうもありがとう! お得意武器は棍よ。よろしくね」
と、最初とは打って変わって、フレンドリーにそう言った。