「剣…良いわね。では、剣対剣で参りましょう！」

「この剣は、亡き父上から受け継ぎし伝説の剣… 布都御魂剣よ。この剣とあなたの剣…どちらが強いのかしらね？」
「ここでは、絶対負けない！」
「では行きましょうか… [太字][大文字]!!??[/大文字][/太字]」
ヒャッカは僕の目を見て、目をカッと見開いた。
「これは…会えるなんて思わなかったわ。さあ、行くわよ」

カキィン、カキィン、キィン
剣が交わる音。飛び散る真珠の汗。観客席から飛び交う声援。
何もかも、僕を無意識にした。
ヒャッカも話すことを忘れ、真剣に戦う。
（死にそうだ。仕掛けないと）
『獄炎斬』！
アイリーンに一度撃った技だ。火炎斬の進化版。
ヒャッカに真っ青な火の粉が降りかかる。
ヒャッカはその時チラッとこちらを向いて、
「あなたの実力はこんなもんじゃないでしょ？」
と囁いた。
僕に聞こえるように。それでいて司会者には聞こえないくらいに。
『百花繚乱斬撃』！
まるで百…千の花が一斉に咲き誇ったかのように、華麗なる斬撃が飛び交った。

「今日のヒャッカ、いつもより少し強いみたい。強いのは対戦相手の男の子もだけど。どうしてかしら」
几帳に隠れて対戦を見ていた女が言った。
すると、後ろで控えている女が答えた。
「彼の…対戦相手の目を…瞳を、ご覧下さい。ラセツさま」
ラセツと呼ばれた女は、そっと着物の襟から双眼鏡を取り出してアポロンの目を見た。
「こ、こんな子、本当にいたんだ…」
アポロンの瞳孔は花の形をしていた。