夢幻の世界の勇者様
戦いは終わり、アフシャーには平和が戻った。
国民は、また笑うようになり、より一層朗らかな国となった。
そんな国の一角、常世家の屋敷では、宴が催されていた。
「さあさあ、皆の衆、飲め食え歌え! 独立国となるアフシャーへ、最大の喜びを、最高の祝福を!」
「エーヤレ、ランラ! トンヤンマツリアンアフシャ!」
使用人や貴族たちは、アフシャー独自の言語で祭りをする。皆楽しそうに見ていて、中には感激で泣き出す者もいた。
アルも元気になり、片手で手をぱちぱち叩いていた。
右手は負傷し、しばらくの間使えない、とアゲハは言っていた。
その晩。
皆が酔いつぶれて寝ている時、燭台だけを頼りに、アゲハ、アポロン、アル、スサの順に廻廊を歩いていた。
「さあ、どうぞこの部屋に入って」
「はい」
「分かりましたー!」
その部屋には、たくさんの武器や見たことのない量の金子が置いてあった。
「えっ? なんて量の金子なの。見たことないわ」
「アル、見ろよ。見たことない形の剣だぞ!」
思わずはしゃいでしまった。
「お喜びいただけて嬉しいわ。これは、私たちアフシャー国からの、心ばかりのお礼です。父上を倒してくれて、どうもありがとう…!」
アゲハとスサが、深々と頭を下げた。
高貴なる者が、ただの冒険者に頭を下げるなど、聞いたことがない。僕もアルも驚き、慌て、あたふたと、どうしたらいいか見当もつかなかった。
「私たち常世家から、ふたつのプレゼントがあります」
「えっ、プレゼント?」
「ええ、そうよ。まず1つ目が… スサ」
スサ。
ん? …えっ
「えぇ───ッ!!??」
叫んだ。
もちろん驚く。に決まってる。
「スサ、お話なさい」
「はい。俺、お前たちを見て思ったんだ。魔王討伐のために暴れたいって。俺が人一倍強く育ったのは、このためなんだってな。旅すれば、その分強いヤツと戦えるだろ?」
いかにもスサらしい理由だと強く実感した。
「次に、船を与えましょう」
『船!?』
僕とアルの声が被った。
そりゃあ驚きもするだろうよ。
2人とも目をぱちくりさせて、僕らを見ていた。
「ふふっ、そう、船よ。いつか勇者が現れるとお告げで出ていた。だから船を作らせたの。海の国、ですしね」
「船の名は『臨世丸』だ。『世を臨む船』。イケてるだろ」
高貴なる家の姉弟は、自分たちのためにここまでしてくれた。感謝しかない。
「アル、これだけ恩に着たら、返さないわけにゃあ行かないな!」
「えぇ、そうね! 右手はこんなだけど、魔王をぐうの音も出ないように、ボッコボコにしましょ! お兄様、スサ!」
僕ら2人はガッツポーズをした。
国民は、また笑うようになり、より一層朗らかな国となった。
そんな国の一角、常世家の屋敷では、宴が催されていた。
「さあさあ、皆の衆、飲め食え歌え! 独立国となるアフシャーへ、最大の喜びを、最高の祝福を!」
「エーヤレ、ランラ! トンヤンマツリアンアフシャ!」
使用人や貴族たちは、アフシャー独自の言語で祭りをする。皆楽しそうに見ていて、中には感激で泣き出す者もいた。
アルも元気になり、片手で手をぱちぱち叩いていた。
右手は負傷し、しばらくの間使えない、とアゲハは言っていた。
その晩。
皆が酔いつぶれて寝ている時、燭台だけを頼りに、アゲハ、アポロン、アル、スサの順に廻廊を歩いていた。
「さあ、どうぞこの部屋に入って」
「はい」
「分かりましたー!」
その部屋には、たくさんの武器や見たことのない量の金子が置いてあった。
「えっ? なんて量の金子なの。見たことないわ」
「アル、見ろよ。見たことない形の剣だぞ!」
思わずはしゃいでしまった。
「お喜びいただけて嬉しいわ。これは、私たちアフシャー国からの、心ばかりのお礼です。父上を倒してくれて、どうもありがとう…!」
アゲハとスサが、深々と頭を下げた。
高貴なる者が、ただの冒険者に頭を下げるなど、聞いたことがない。僕もアルも驚き、慌て、あたふたと、どうしたらいいか見当もつかなかった。
「私たち常世家から、ふたつのプレゼントがあります」
「えっ、プレゼント?」
「ええ、そうよ。まず1つ目が… スサ」
スサ。
ん? …えっ
「えぇ───ッ!!??」
叫んだ。
もちろん驚く。に決まってる。
「スサ、お話なさい」
「はい。俺、お前たちを見て思ったんだ。魔王討伐のために暴れたいって。俺が人一倍強く育ったのは、このためなんだってな。旅すれば、その分強いヤツと戦えるだろ?」
いかにもスサらしい理由だと強く実感した。
「次に、船を与えましょう」
『船!?』
僕とアルの声が被った。
そりゃあ驚きもするだろうよ。
2人とも目をぱちくりさせて、僕らを見ていた。
「ふふっ、そう、船よ。いつか勇者が現れるとお告げで出ていた。だから船を作らせたの。海の国、ですしね」
「船の名は『臨世丸』だ。『世を臨む船』。イケてるだろ」
高貴なる家の姉弟は、自分たちのためにここまでしてくれた。感謝しかない。
「アル、これだけ恩に着たら、返さないわけにゃあ行かないな!」
「えぇ、そうね! 右手はこんなだけど、魔王をぐうの音も出ないように、ボッコボコにしましょ! お兄様、スサ!」
僕ら2人はガッツポーズをした。