夢幻の世界の勇者様
スサが父とアポロンの元へ戻ると、アポロンは、父とは戦っていなかった。そう、スサの知る父とは。
アポロンは[漢字]大蛇[/漢字][ふりがな]オロチ[/ふりがな]と戦っていた。鋼の鱗に、銀の牙、金の目をしていた。口は血に濡れ、真っ赤だった。
「おい、アポロン、父さんはどこへ行った? この大蛇はなんだ?」
すると、とんでもない返事が返ってきた。
スサは驚愕した。
「は? この大蛇が、父さん、だァ? 馬鹿言ってんじゃねえ。俺の父さんは、もっとこう、俺みたいな感じだっただろ!?」
しかし、アポロンは神妙な、申し訳なさそうな顔をした。スサは、全てを悟った。
「嘘…だろ…」
「すまない、スサ。僕が…『龍神剣』を使ったら…『龍の力を思い出した』とか言って、こんな姿に…。あ、アルは? アルは大丈夫なのか?」
「アルは…」
スサは苦虫を噛み潰したような顔をした。
スサは、アゲハが言っていたことをそのまま伝えた。
「姉上は少なくとも死ぬって言ってる。でも、父さんを倒せば、助かる可能性があるにはあるんだそうだ。ごめんな。こんな時に妹の近くにいてやれないなんて、悲しいだろ? …不安、だろ?」
「そうだな…でも、僕は、アルの復活を祈ってる。だから、案ずることはないんだ」
スサは、改めて、この双子の兄妹愛を美しいものだと痛感した。
「よし、じゃあ、父さん倒すしかねえな!」
「そんなノリで倒せるのか?」
「ん? アル、早くしねえと死ぬんだぞ。俺の大事な仲間がよお! ほら、来るぞ!」
スサが仲間と言った。
僕は、嬉しくて嬉しくて、それは言葉で言い表せないくらい!
張り切った声で、答えた。
「ああ! アルのためだけじゃなくて、国のためにも、だろ?」
「…」
スサは少し驚いたような顔をし───、
「そうだな!」
と朗らかに言い、破顔した。
大蛇は、とてつもなく長く、硬く、柔い。
鋼鉄のように硬いのに、良くしなる。まるで大きく、硬い鞭で打たれている感覚に陥った。
「アポロン、大体分かったぞ! この大蛇は水龍だ。水属性のモンスターだな。だから、お前の『火炎斬』がよく効くはずだ。俺が、このクサナギノツルギで隙を…作るからな」
スサは、剣に一度微笑み、ウインクし、大蛇へと走る。
そして、飛んだかと思うと、剣から、閃光を放った。
『龍斬剣・以』!
「今だ、アポロン! 弱っている間に、一撃を…!」
「…いっけえ──────ッ!!!」
『龍斬剣・呂』!
僕の剣をもろに受けた大蛇は、一瞬、まばたきの間動きが止まり、毒々しい血を吹いて倒れた。
[大文字][太字][大文字]「…おのれ人間! 余は、余は! ただ、妻の仇討ちがしたかっただけ! お前らに殺される[漢字]所以[/漢字][ふりがな]ゆえん[/ふりがな]など、ない!」[/大文字][/太字][/大文字]
赤い目でぎょろりとこちらを睨みつけ、己を殺したことに文句を言う馬鹿がいた。
スサは、その者に痛快な一言。
[大文字][太字][明朝体][大文字]「俺にとっても、仇討ちなんだよ」[/大文字][/明朝体][/太字][/大文字]
アポロンは[漢字]大蛇[/漢字][ふりがな]オロチ[/ふりがな]と戦っていた。鋼の鱗に、銀の牙、金の目をしていた。口は血に濡れ、真っ赤だった。
「おい、アポロン、父さんはどこへ行った? この大蛇はなんだ?」
すると、とんでもない返事が返ってきた。
スサは驚愕した。
「は? この大蛇が、父さん、だァ? 馬鹿言ってんじゃねえ。俺の父さんは、もっとこう、俺みたいな感じだっただろ!?」
しかし、アポロンは神妙な、申し訳なさそうな顔をした。スサは、全てを悟った。
「嘘…だろ…」
「すまない、スサ。僕が…『龍神剣』を使ったら…『龍の力を思い出した』とか言って、こんな姿に…。あ、アルは? アルは大丈夫なのか?」
「アルは…」
スサは苦虫を噛み潰したような顔をした。
スサは、アゲハが言っていたことをそのまま伝えた。
「姉上は少なくとも死ぬって言ってる。でも、父さんを倒せば、助かる可能性があるにはあるんだそうだ。ごめんな。こんな時に妹の近くにいてやれないなんて、悲しいだろ? …不安、だろ?」
「そうだな…でも、僕は、アルの復活を祈ってる。だから、案ずることはないんだ」
スサは、改めて、この双子の兄妹愛を美しいものだと痛感した。
「よし、じゃあ、父さん倒すしかねえな!」
「そんなノリで倒せるのか?」
「ん? アル、早くしねえと死ぬんだぞ。俺の大事な仲間がよお! ほら、来るぞ!」
スサが仲間と言った。
僕は、嬉しくて嬉しくて、それは言葉で言い表せないくらい!
張り切った声で、答えた。
「ああ! アルのためだけじゃなくて、国のためにも、だろ?」
「…」
スサは少し驚いたような顔をし───、
「そうだな!」
と朗らかに言い、破顔した。
大蛇は、とてつもなく長く、硬く、柔い。
鋼鉄のように硬いのに、良くしなる。まるで大きく、硬い鞭で打たれている感覚に陥った。
「アポロン、大体分かったぞ! この大蛇は水龍だ。水属性のモンスターだな。だから、お前の『火炎斬』がよく効くはずだ。俺が、このクサナギノツルギで隙を…作るからな」
スサは、剣に一度微笑み、ウインクし、大蛇へと走る。
そして、飛んだかと思うと、剣から、閃光を放った。
『龍斬剣・以』!
「今だ、アポロン! 弱っている間に、一撃を…!」
「…いっけえ──────ッ!!!」
『龍斬剣・呂』!
僕の剣をもろに受けた大蛇は、一瞬、まばたきの間動きが止まり、毒々しい血を吹いて倒れた。
[大文字][太字][大文字]「…おのれ人間! 余は、余は! ただ、妻の仇討ちがしたかっただけ! お前らに殺される[漢字]所以[/漢字][ふりがな]ゆえん[/ふりがな]など、ない!」[/大文字][/太字][/大文字]
赤い目でぎょろりとこちらを睨みつけ、己を殺したことに文句を言う馬鹿がいた。
スサは、その者に痛快な一言。
[大文字][太字][明朝体][大文字]「俺にとっても、仇討ちなんだよ」[/大文字][/明朝体][/太字][/大文字]