夢幻の世界の勇者様
「…スサ。お客様の御前、お控えなさい」
すると、逆に男は目をらんらんと輝かせる。
「お客! 遠くの強いやつですか、姉上!」
「王家の方々ですよ、手を出したらどうなるか、分かりますね?」
「うっ…」
アゲハ様はお強い。
ただ、終始、しんどそうだった。
「ごほっ、紹介するわ。この子は、私の弟、スサ。困った子でね、強い人を見つけると、対峙を申し込んではボロボロにするのよね」
それはそれは…困ったものだろう。
「スサ、こんにちは! 私はアルテミス。アルって呼んでね。こっちはお兄様のアポロンよ。シュリアの王家でーす! 魔王を倒すために旅してる、勇者一行だよ。スサも来る?」
「お、おいっ」
僕は最後の言葉を聞いて、アルの肩を引っ張った。
「何よ、お兄様」
「コイツは危険人物だ。人間をもボロボロにする」
「いやいやいや。お兄様、分かってないわね。そんだけ敵になる人間が少ないってこと。そんだけ強いの! 守りたいものがあるからこそ、強くなんのよ!」
アルの言い分はよく分かる。
ただ、強けりゃいいって言う世界じゃない。
「アゲハ様。少し、スサ様とお話してもよろしいでしょうか」
「別にいいけれど、スサに「様」はいらないわ。呼び捨てでいい」
「え、俺に決定権ねえの?」
スサが突っ込む。
可哀想だが、姉だ。逆らってはいかん。
「わかりました。スサ、ちょっと来てくれ」
「はいはーい」
アルを見ると、腹を抱えて笑い転げている。
「あははははっ」
ここに来てから、何かと笑うようになった。
兄として、本当に良かった。
「なあ、お前らって、ここで笑えるんだな」
「え?」
なんかダメだったか? [漢字]規則[/漢字][ふりがな]ルール[/ふりがな]でもあったか?
「いや、ねえが。この世界が幻だってのは知ってるよな?」
「うん。シュリアで、ここには死者しかいないって言ってたわ」
確かに言ってたな。
「実はこの世界は死者の世界ではない。幻の世界だ」
「確かに、お父様とお母様、いなかったわよね。お兄様」
「ああ、死者の世界にしては荒れてるし、魔王がいるのも謎だな」
「この国では、魔剣豪によって笑うこと、冗談を言い合うことを禁じられた。しかし、それは幻でつくられた人間のみが対象となる。ハッ、馬鹿な話だぜ」
今嘲笑した。
確かに今、スサは嘲笑した。
[太字][大文字][明朝体][中央寄せ]「スサは、現実世界の人間か?」[/中央寄せ][/明朝体][/大文字][/太字]
すると、逆に男は目をらんらんと輝かせる。
「お客! 遠くの強いやつですか、姉上!」
「王家の方々ですよ、手を出したらどうなるか、分かりますね?」
「うっ…」
アゲハ様はお強い。
ただ、終始、しんどそうだった。
「ごほっ、紹介するわ。この子は、私の弟、スサ。困った子でね、強い人を見つけると、対峙を申し込んではボロボロにするのよね」
それはそれは…困ったものだろう。
「スサ、こんにちは! 私はアルテミス。アルって呼んでね。こっちはお兄様のアポロンよ。シュリアの王家でーす! 魔王を倒すために旅してる、勇者一行だよ。スサも来る?」
「お、おいっ」
僕は最後の言葉を聞いて、アルの肩を引っ張った。
「何よ、お兄様」
「コイツは危険人物だ。人間をもボロボロにする」
「いやいやいや。お兄様、分かってないわね。そんだけ敵になる人間が少ないってこと。そんだけ強いの! 守りたいものがあるからこそ、強くなんのよ!」
アルの言い分はよく分かる。
ただ、強けりゃいいって言う世界じゃない。
「アゲハ様。少し、スサ様とお話してもよろしいでしょうか」
「別にいいけれど、スサに「様」はいらないわ。呼び捨てでいい」
「え、俺に決定権ねえの?」
スサが突っ込む。
可哀想だが、姉だ。逆らってはいかん。
「わかりました。スサ、ちょっと来てくれ」
「はいはーい」
アルを見ると、腹を抱えて笑い転げている。
「あははははっ」
ここに来てから、何かと笑うようになった。
兄として、本当に良かった。
「なあ、お前らって、ここで笑えるんだな」
「え?」
なんかダメだったか? [漢字]規則[/漢字][ふりがな]ルール[/ふりがな]でもあったか?
「いや、ねえが。この世界が幻だってのは知ってるよな?」
「うん。シュリアで、ここには死者しかいないって言ってたわ」
確かに言ってたな。
「実はこの世界は死者の世界ではない。幻の世界だ」
「確かに、お父様とお母様、いなかったわよね。お兄様」
「ああ、死者の世界にしては荒れてるし、魔王がいるのも謎だな」
「この国では、魔剣豪によって笑うこと、冗談を言い合うことを禁じられた。しかし、それは幻でつくられた人間のみが対象となる。ハッ、馬鹿な話だぜ」
今嘲笑した。
確かに今、スサは嘲笑した。
[太字][大文字][明朝体][中央寄せ]「スサは、現実世界の人間か?」[/中央寄せ][/明朝体][/大文字][/太字]