夢幻の世界の勇者様
「お前たちだけでも、生き残りなさい」母が言う。
「お母様! 嫌です、みんなで生き残るんだ!」
「さあ、早く! 魔王が来てしまう!」父も言う。
「アル、行こう」
「嫌だよ!! お母様から一緒にいたいよ!」
[大文字][太字]「人間は、死に抗うことはできぬ」[/太字][/大文字]
上には魔王がいて、僕らは闇の渦に巻き込まれた。
「お母様───っ!!!」
アル、お前だけは絶対に守るからな。
僕は森林の国シュリア王家の双子の兄アポロン。
こっちは妹のアルテミス。愛称は「アル」だ。
「…お兄様、ここどこ?」
「分からない。ただ、さっきいた場所と同じところにいる」
「そっか…私たち、どうすればいいの…」
「とりあえず、人はいるみたいだから、行ってみよう」
森を歩いた。
しかし、それは森といえるような代物ではなく、枯れ果てていた。森の中に街がある。
「あの…すみません」
「なんだよ… ! 王子! 姫も」
「なんだって?」
「本当だ、あの双子だ!」
「城が潰れたのに…うっうっ」
街の者らは、僕たちのことがわかるらしい。
異世界でないことは確かだ。
「ここは…なぜ枯れているのだ?」
「それは…これのせいです」
年配の女性が見せてくれたのは、水瓶の中。
「うわっ」
アルが叫ぶ。
「これは…」
「この森は、ちょろちょろと流れる清流のおかげで成り立っていました。しかし、この世界では、毒のようになってしまいまして」
「そうか…」
確かに異臭がするかもしれない。
すると、アルがひょこっと顔を出した。
「あなたたちは水を飲まなくて平気なの? 私、今すごく喉が渇いているのだけれど…」
「私たちは、[太字]一度死んだ身[/太字]なので平気です。そうですか、王子たちは生きたままここへ…」
一度しんだ身というのを強調して言った。
そうなのか…
「あの、一応この毒の川、浄化できましたよ。手間暇かけて…ですが」
「わあ、ありがとう!」
「お母様! 嫌です、みんなで生き残るんだ!」
「さあ、早く! 魔王が来てしまう!」父も言う。
「アル、行こう」
「嫌だよ!! お母様から一緒にいたいよ!」
[大文字][太字]「人間は、死に抗うことはできぬ」[/太字][/大文字]
上には魔王がいて、僕らは闇の渦に巻き込まれた。
「お母様───っ!!!」
アル、お前だけは絶対に守るからな。
僕は森林の国シュリア王家の双子の兄アポロン。
こっちは妹のアルテミス。愛称は「アル」だ。
「…お兄様、ここどこ?」
「分からない。ただ、さっきいた場所と同じところにいる」
「そっか…私たち、どうすればいいの…」
「とりあえず、人はいるみたいだから、行ってみよう」
森を歩いた。
しかし、それは森といえるような代物ではなく、枯れ果てていた。森の中に街がある。
「あの…すみません」
「なんだよ… ! 王子! 姫も」
「なんだって?」
「本当だ、あの双子だ!」
「城が潰れたのに…うっうっ」
街の者らは、僕たちのことがわかるらしい。
異世界でないことは確かだ。
「ここは…なぜ枯れているのだ?」
「それは…これのせいです」
年配の女性が見せてくれたのは、水瓶の中。
「うわっ」
アルが叫ぶ。
「これは…」
「この森は、ちょろちょろと流れる清流のおかげで成り立っていました。しかし、この世界では、毒のようになってしまいまして」
「そうか…」
確かに異臭がするかもしれない。
すると、アルがひょこっと顔を出した。
「あなたたちは水を飲まなくて平気なの? 私、今すごく喉が渇いているのだけれど…」
「私たちは、[太字]一度死んだ身[/太字]なので平気です。そうですか、王子たちは生きたままここへ…」
一度しんだ身というのを強調して言った。
そうなのか…
「あの、一応この毒の川、浄化できましたよ。手間暇かけて…ですが」
「わあ、ありがとう!」