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黄金色の記憶

#9

9. 彼の独白

この本の全てを信用している訳ではない。

が。

嘘にしては信憑性があり過ぎる内容だ。
日時から人間関係、はたまたボンゴレ関係の事件まで……全てに証拠と理由が揃っている。

普段なら「よく作り込んである」と、思ってただの娯楽として受け入れるのだが、この本にはあまりにも__________



「おーい、智世ちゃーん、そろそろ5時になるよー」


瀛さんの声でパッと現実に戻る。
そしと時計を見ると、長い針は10を指していた。5時になるまであと十分程。

さっさと帰らないと怒られそうだな……


「そんなにそん本、気に入った?」
「うん、面白ろくて何回も読み返しちゃった」


そっかー、なんて笑う瀛さんに嘘を付いた。
ほんとは父と父の上司さんがマフィアの可能性があるので調べてました、なんて言えないので。

最後に「死なないようにねー」と、だけ言って「如月書房」を出て行った。



[中央寄せ]✂︎- - - - - - - - - - -✂︎[/中央寄せ]


「いやー、上手くいったわー」


夕焼けを浴びながら如月 瀛はあの茶髪の少女を思い浮かべた。
読書が好きで大人びたあの子は受け継いだ血筋のせいか鋭い直感と、年齢に似合わない知性を持って生まれた。

おそらく、あの子は巻き込まれたくないのだろうな。
だからマフィア関係者、というか当事者の父やその周辺とも身を置き、家族や友人が居る平和の“ただの”日常を愛する。

頭では理解してなさそうだが、腹の底では分かっているんだろう。



だが、あの子の、智世の意思なんて関係ない。
この業界は弱肉強食。強さを証明しなければ何もできないし、安全なんてものは存在しない、彼女の理想とは程遠い世界、
それが裏社会。

自分もどっぷりと長い間、裏社会に浸かって来たので何となく分かる。
彼女は決して、この裏社会から逃げ切ることは出来ないだろう。

あと十数年もすればボンゴレファミリーに手籠めにされ、より大きな力を得る為に道具として扱われる。
裏では良くある話だ。

誰も大して気にしないが、俺の癪に触った。
理由は単純。同じ転生者の、しかも近所の将来有望の美幼女を守りたいから。
あと、あわよくば「瀛さん、ありがと。大好き」っていってもらえたら良いなぁ〜えへへ、エヘヘヘヘへへへへへへへっ

おいそこのお前、変態って言うな。
俺はロリコンではない。同郷の転生者と無邪気な幼女にしか興味はない。
アッ、じゃあつまりロリコンか……

えー、でもそれは嫌だな。どっかの[漢字]森鴎外[/漢字][ふりがな]ロリコン医師[/ふりがな]みたいで。



ンンっ、話を戻そう。
だから俺は彼女が気付けるように前々から仕込んで来たし、ボンゴレの物にならないように根回しもやってる。

後ろ盾は「俺が彼女を気に入っている」と、言うだけで良い。あとは……



「智世自身に強くなってもらったら完璧だ。」



そう呟いて如月 瀛、もといい"超越者"のウィリアム・シェイクスピアは磨りガラスの戸を閉めた。

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作者メッセージ

クロスオーバー先は文ストでした〜と、言っても捏造したオリキャラと名前しかいないんですけど。
あれ、クロスオーバーとは……?
瀛(ウィリアム・シェイクスピア)の設定もそろそろ私のページの方に載せとこうかなー

2024/06/03 23:31

白鯨 ID:≫91YYGRbRUeQ9I
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