学校の靴箱が嫌いだ｡

騒いで土や泥をぶちまけてるし、ついでに虫や何処かで拾ってきた枝なんかも入れてある。大変不衛生｡
それに、靴箱は私が今学期担当の掃除場だし、せっかく綺麗にしたのに汚されるのは気に食わない｡
あと、靴箱のある玄関ホールはよく響くから騒がしい音が鳴ると倍以上に五月蝿くて嫌い｡


潰したくなる｡

「でも、そんなことしたらダメだ」と、私に残された道徳心と「人間じゃない相手を殴っても問題ないんじゃ無い？」と、私の怒りがぶつかり合って、最終的に道徳心が勝った｡
なので今日もコイツら……いや、ゴミどもを見逃すことにしてやった｡


「おい、沢田！まだ話終わってねーぞ！！」
「そーだそーだ！大ちゃんの話終わってねーぞ！」
「それともぉ〜、バカな沢田には耳付いてねーんじゃねぇのぉ〜」
「ギャハハ」
「それ傑作ぅ〜！」


一体何が面白いんだか、無視して騒ぐゴミの横を通りすぎる｡
その時にしっかりガン飛ばして黙らすのも忘れずに｡

このぐらいで騒ぐの辞めるなら最初からやらなきゃいいのに｡
根性が無いなぁ。だからゴミなんだよ｡



教師に入ると幼馴染が呆れた目でこちらを見つめて来た｡
ついでに口も小言を言いたそうに開かれていたので、幼馴染の隣の席にランドセルをおろす｡
そして飛んで来たのは相変わらず厳しい指摘だった｡


「アンタねぇ、いっつもやられっぱなしで嫌じゃないの？一回は言い返してやりなさいよ」
「うーん、私も何回か言い返してやろうか迷ったんだけど…………」


「ゴミにかけてやる言葉なんて勿体ないかなって！」と、いう言葉を飲み込んで曖昧に微笑んでおく｡
そうするとやっぱり厳しいお言葉を一つ、二つ、頂いている内に予鈴のチャイムが鳴った｡

そうすると、不服そうな顔で席に座って前を向く｡
私もそんな幼馴染を見ながら前を向いて先生の顔を見る｡

今日も相変わらず覇気が無さそうな……なんとも幸が逃げそうな顔な先生を見ていつも通りだなぁっと、実感する｡