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黄金色の記憶

#22


「ねぇ、君。中学は並盛じゃなくて凱旋時行くって聞いたんだけど」


そんなことをベッドで本を読みながら話す雲雀先輩。
並盛……えーっと地元の並盛中か。じゃあ凱旋時も国立の凱旋時中学校か。

というか、雲雀先輩って並盛にしか興味ないって思ってたけど、ちゃんと周りのことも見てるんだ。
なんかイガーイと思ってたら「どうなの」と、返事を急かしてきた。


「まぁ、選択肢の中には入れてますよ」


だって、綱吉か私を本格的にマフィアのボスにしようと、家庭教師を付けようとする動きもイタリアから聞こえて来てるし、巻き込まれたくないよねー
ってことで、物理的に綱吉から距離をおこうってことで並盛中学校以外の中学も選択肢に入れている。

今の所、難しいし遠いけど学費が安い凱旋時中学か、難しいし学費高いけど自由度が高い松ノ川学院にしようか頭を悩ましているところだ。
母も父も好きにしたらいいというスタンスで見守ってくれてる。瀛さんも並盛中はお勧めしないらしいので、並盛に行くのはあまり考えていない。

そのことを馬鹿正直に言ったら雲雀先輩の並盛愛が悪い方向で爆破しそうなので、さらっと嘘をついてやり過ごす。


「ふーん。じゃあ並盛においでよ。特別に優遇してあげる」
「別に優遇しなくてもいいですよ……」


並盛には行くつもりないので。
とは超直感が警告を出してきてるので言えなかったけど。

この話題を続けたくないのでさっと話題を変える。


「今から宿題するんで話しかけないでくださいね」
「まだやってなかったのかい?」
「今日は忙しかったもので」


珍しげにこっちを見る雲雀先輩を一瞥して宿題に取り掛かる。
今日は漢字ドリル十行と計算ドリル2ページ。あとは音読だけど、こっそり音読カードに半子を押します。
小学校の宿題って少なくていいよね。なんで中学になると急に増えるんだよ。

心の中でぼやきつつ集中してやったので、十数分で終わった。
疲れたなーと、心にもないことを呟いてベッドを見るといつの間にか雲雀先輩は消えていて、東側の窓が開いていた。


気配を感じ取れなかったことがちょっと悔しくて窓を閉める動作が乱暴になった。
次からは人の気配にも物の扱いにも気をつけよう……

寝る前の習慣である日記に、今日の出来事を記した。
学校でのこと、仮面舞踏会でのこと、瀛さんのこと、白蘭のこと、宿題のこと、雲雀さんのこと。
一つ一つ書いていると、頭の整理が出来た。

そして私は手元のランプだけ残して、部屋の電気を消して眠りについた。おやすみ世界。

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2024/07/20 19:47

白鯨 ID:≫91YYGRbRUeQ9I
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