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黄金色の記憶

#16


優雅に足を組み、グラデーションが美しいカクテルで喉を潤す仮面の男……まではいい。
そんな男の横に密着した状態の10歳ぐらいの少女(血縁関係無し)が居たらどうだろうか?

男単体では出ない色気、犯罪臭が漂ってこないかい。私はぷんぷん感じるよォ〜
つまり何が言いたいかって、


犯罪ですよ瀛さん。


そう何度も目線で訴えているが、不気味な笑顔を貼り付けてカクテルを煽るだけ。
…そろそろ目線じゃなくて、警察に訴えるか。

冷めた目で見たら瀛さんは若干動揺したが、一向に密着度が下がることはない。


マジで警察に訴えんぞ


光の消えた目で見たらカクテル持つ手は動揺で震えていた。よし、そろそろ解放される。
そう確信していたらさっきの瀛さん目当ての女性が目の前に来た。バッドタイミングすぎる〜!


「ご機嫌よう、ミスター。お隣座っても?」


ハートが付きそうなぐらい甘い声で瀛さんに呼びかける女性だが、私を見る目は一ミリも笑ってない。
これが女の二面性ってやつか……怖っ。

さっさと解放して欲しいんだけど一向に肩に置いた手は離れない。そろそろ訴えよっか???


「残念ながら私の隣は既に埋まってまして……それに、あなたのような方が壁の花になるのは勿体無いですよ」訳:オマエの席ねーから。さっさと離れろ香水臭い。
「うふふ、褒めるのがお上手ですね」


流石瀛さん。やんわり断りつつ、人を褒めるなんて……相変わらず、素晴らしい人心掌握術ですね。ほら、女性も上機嫌に笑ってる。
だから瀛さんの言葉の後に恐ろしい副音声が聞こえたのは気のせいかな……うん、気のせいだな。あと、女性の睨みがキツイのでそろそろ離してください。

いや、自分で離せばいいか。

気付き、考え、行動する。これは小学校の今年の児童目標だったけ?まぁ、とりあえず瀛さんから離れる為に口を開いた。


「…そうですよ。こんな綺麗な方を壁に置くのは[漢字]紳士[/漢字][ふりがな]ジェントルマン[/ふりがな]としては如何なものかと」訳:この人と一曲ぐらい踊ってこい。


急に口を開いたので怪訝そうな素振りを見せた女性だが、私が味方だと気付いたらニヤリと微笑んだ。

瀛さんと一緒にいたい女性、瀛さんから離れたい私。利害は一致した。
これが女の合理性と団結力ってやつですよ。
味方がいないことを察知した瀛さんはまだ最後の悪足掻きとして、


「残念だけど、まだカクテルのグラスを返していなくてね。ココから動けるに動けないだ」


と、屁理屈を捏ねたが私が笑顔でグラスを奪って「じゃあ私が返しときます」と行ったら諦めて女性と一緒にダンスが行われているホールの真ん中へと進んで行った。

それでいいんだよ。

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2024/07/20 18:58

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