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フローラル.

#4

アヤ先生。

「アヤせんせーい!」

「はーい?」

廊下で叫ぶ、俺の声に振り返った先生。

ふわりとした金髪、何処からともなく溢れる、優しさと天然のオーラ。

誰からも愛されているこの先生は、俺たちの担任、アヤ先生。


・[下線]説明[/下線]
‣アヤ
21歳 男子
優しくてゆるふわな 天然
ハルとナルが通う学校の教師
好きな花:菖蒲(アヤメ)


「なぁに、ハルくん?」

「あのさ、『華香の儀式』の生贄って、どうやって選ばれるんだ?」

知らなかった。

俺たちは今まで、それを見てくる側だったから。

でも、今回は違う。

俺たちの命が、ああなってしまうかもしれない。

「うーん…、ボクも知らないなぁ…」

だよな、と思いつつ、礼をして帰る。

「やべっ……授業遅れんじゃん……」

次は、怒るととんでもなく怖いと噂の先生の授業だ。

遅刻したら、タダじゃすまされないかも____

「は⁉」 「ぁ、ちょ、!」

ドッカーン、と。

そんな効果音が付きそうなくらい完璧に、俺は誰かとぶつかった。

「いってぇ…、」

「[小文字]……黙れよ、[/小文字]」

「は?」

ナルだ。

間違いなく、このか細い声はナルだ。

「お前っさぁ…、謝罪の一言もねぇ、お詫びもねぇ、んだよこの[太字]クソ[/太字]が」

「ぇ………、」

俺は知っていた。

このナルは、[太字]偽り[/太字]であるということを。

本当のナルは____、

『んもうっ、ハルのバカっ! 何やってんの!』

もっと、俺に対して甘々しい。

例えれば、懐いている犬のようなものだ。

「はぁー……、もういい、行く」

スタスタと歩いて行ったナルの背中は、今までとは違く見えた。

「ぁ………、」

ナルの存在が遠くなったみたいで。

心の中で、静かに泣いた。

「っと…、でも、早くいかないと」

やっとの思いで立ち上がり、教室へと歩いていく。

「…てか、アヤ先生に聞かない方が良かったか……?」

アヤ先生は、昔、……十年ほど前。

[太字]姉が儀式の生贄[/太字]としてささげられ、その光景を目の当たりにしたことがある。

絶望と、怒りと、憎しみと、悲しみと。

感情がグチャグチャにさせられ、最後には、儀式の取り仕切者を殺しにかかろうともしたらしい。

「着いちゃった……、」

かれこれしてれば、もう教室のドアの真ん前。

仕方がなくドアを開けた。

今にも怒鳴られる。

そう確信していた俺は、少し驚いた。

「あ! ハルくん! やっと来たぁ~!」

「え? アヤ先生?」

何故か、アヤ先生が立っていたのだ。

「え? せ、先生? 違いますけど、」

「あぁ、あの先生は、今日お休みなんだってさ!」

危ないあぶない。

危うく、俺が詰むところだった。

「……で、どうして遅れたのかな?」

理由は知ってるだろ……、と呆れつつ、俺は口を開いた。

作者メッセージ

遅いけど本編 2話目です!

2025/05/27 17:35

ID:≫ 1as162sO2p/1A
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