フリスクは王宮へと戻った。
彼の心は使命感でいっぱいだった。戦争は止められる——そういう希望をを抱いていた。
だが、王宮の空気は冷たかった。
人間の王が玉座に座り、厳しい眼差しを向けている。
なぜか彼の周囲には軍の指揮官たちが集まり、なにかの最終確認をしていた。
フリスクは不思議に思いつつも息を整え、まっすぐ王に向かって歩み寄った。
「陛下——モンスターとは共存できるはずです。今すぐ彼らを地下世界から解放しましょう」
その言葉はまるで戦場に放たれた矢のようだった。
部屋にいた者たちは、一瞬だけ沈黙し、そしてすぐにざわめき始める。
王はゆっくりとフリスクを見つめると、静かに言った。
「モンスターに対し、正式に宣戦布告をする。」
その言葉を、最初はうまく呑み込めなかった。フリスクの体が硬直する。
やがて彼の手は震え、何かを叫びそうになるが、言葉が出なかった。
「そんな……！」
彼は必死に止めようとする。
しかし、王の目は変わらず冷たく、人間の軍勢もすでに戦いの準備を整えている。
そして、その場に立っていたキャラが、静かに呟いた。
「……もう決まったことだ。」
フリスクはキャラの方を振り向いた。
その表情は、あまりにも冷たい。彼女はもう諦めていた。
「キャラ——！」
呼びかけても、キャラは何も言わない。
彼女はただ剣を持ち、王の横に立っていた。
戦争を受け入れる側にいた——それが彼の姉だった。
フリスクは何かを言おうとした。
だが、何を言えばいいのか分からない。
そして、全てが崩れていくのを感じた——。