夜の帳が王国を包むころ、フリスクは王宮を抜け出し、研究所へと向かった。
冷たい空気が肌を刺し、街灯の明かりが遠くかすんで見える。
王宮の厳かな雰囲気とは対照的に、この場所は機械の音と冷たい金属の光に満ちていた。
研究所の奥へ進むと、静かな部屋にたどり着く。
扉の向こうには、モンスターの監視施設があった。
そこに囚われているのは、骸骨のモンスター——[太字]サンズ[/太字]。
サンズは、[太字]唯一魔法を扱えるモンスター[/太字]だった。
そのため、戦争中に捕らえられ国の研究員として働かされていた。

部屋の中央、鉄の椅子に縛り付けられるようにして彼は座っていた。
拘束具によって魔法は封じられ、壁には研究者たちが記録した実験データが並んでいる。
フリスクは慎重に扉を開け、ゆっくりと歩み寄った。
サンズは壁にもたれながら、退屈そうな表情を浮かべている。
「……君はなぜ魔法を持っているのに、人間に従っているの？」
フリスクの問いかけに、サンズはゆっくりと顔を上げる。
彼は気だるそうに笑った。
「選択肢なんてないさ。」
サンズは軽く肩をすくめる。
「魔法はあっても、この檻からは抜け出せない。でも……お前さんみたいな王子が俺に話しかけてくるのは、珍しいな。」
フリスクは考え込むように視線を落とした。そして、静かに問いかける。
「僕は、モンスターが本当に悪なのか知りたいんだ……。」
サンズはしばらく沈黙したあと、軽く笑った。
「その答えが分かるころには、お前さんはもっと厄介な立場になってるかもな。」
フリスクは息をのんだ。
この夜が、自分の運命を変えることになる——そんな予感がした。


続く...