二次創作
ルミナステール
フリスクは再び王宮を抜け出し、モンスターの城へと向かった。
静かな庭に入ると、そこに彼は座っていた。
目の前の円卓には紅茶の湯気が立ち昇り、辺りの花々は優雅に揺れている。
しかし、今この場所の空気は違っていた。
戦争の気配が、確実に近づいていた。
モンスターの王——[太字]アズゴア[/太字]はフリスクの姿を確認すると、ゆっくりとカップを傾けた。
「……よく来たね。茶でも飲むかい?」
その言葉は、敵対している人間の王子に向けられたとは思えないほど穏やかだった。
しかし、フリスクは紅茶ではなく、王の目に宿る悲しみに目を奪われた。
「陛下……僕は戦いたくありません。」
フリスクは席につくことなく、まっすぐ王を見据えた。
「人間とモンスターが共存する未来を作りたいんです。」
アズゴアは長い沈黙の後、紅茶をゆっくりと置いた。
彼は静かに息を吸い込み、低く言葉を紡ぐ。
「それができるなら……悪くはないねぇ。」
しかし、その声には確信がなかった。
フリスクは拳を握りしめながら、問いかける。
「戦争を止める方法は、本当にないんですか?」
アズゴアは答えず、ただ庭の花々を見つめた。
「私は王でありながら、何度も間違いを犯してきた。そして、戦争はもう避けられない……。だから、私の妻も離れていったのだろう」
フリスクは息をのんだ。
アズゴア自身も、戦争を止めたいとは思っている。
しかし、彼にはそれを止める手段がない——そう悟らせる言葉だった。
「それでも……僕はまだ諦めません。」
フリスクの言葉に、アズゴアの視線がわずかに動いた。
その瞳の奥には、今もまだ微かな迷いが残っているようだった。
庭の静寂が、さらに深く広がった。