ある世界を救うまで
「え・・・?」
俺はムシャイドの素顔に驚きを隠せなかった。
一つ目と言っても、ただの一つ目ではない。
顔の真ん中辺りに目があり、その周りには亀裂。
目は充血していて、瞳孔は常に開きっぱなし。
耳や口もなく、他の戦兵とは明らかに一線を画していた。
「この姿、貴殿も気色が悪いと思うか」
ムシャイドは俺に問うた。
「え?」
突然そんなことを聞かれるとは。
さっきから驚き続きである。
確かにかなり気色悪いと思ったのは事実。
いや、気色が悪い、というより恐いに近いのか?
「ムシャイド様・・・!よいのですかっ!?」
颯丸もかなり焦っている。
顔は隠してきたのだろう。
「貴殿も」ということは、恐らく他のやつにも。。。
短いため息が聞こえる。
「この際だ、話してしまおう。拙者の過去を。お前ほどの剣士でござるものな」
ムシャイドは胡坐をかき、徐に語り始めた。
今は昔。拙者がまだ幼き頃。
拙者はある集落に住んでいた。
「一つ目!一つ目の化け物だー!」
「ね、気持ち悪い・・・」
「触りたくもねぇよ」
拙者は簡単に言えば「邪魔な存在」であった。
同年代の子供たちには爪弾き。
「やだー!こっちこないでー!」
「いや、遊びたいだけで。。。」
遊びの輪にも入れてもらえなかった。
自室で1人、人形や妄想と遊ぶことも多かった。
赤子の時から遊びに強いあこがれを持っていたのでござる。
大人たちには「忌み子」やら、「呪詛」だと言われていた。
意味こそ分からなかったが、蔑まれているのは明確。
それだけでも拙者の心はえぐられていった。
ただ、それでも拙者は幸せであった。
「お兄様・・・。さようなら」
「セツ!セツ・・・っ!」
妹のセツもしばらく前に死んでいたが。
原因は「虐められすぎたから」
精神を病み、病にかかってしまったのでござった。
両親はお互い浮気し、今では浮気相手も含め、4人家族となって別の家で暮らしている。
親に言うのもなんでござるが、気色が悪い。
つまり「一人」であった。
そんなある時、拙者は颯丸に出会った。
刀身は錆びつき、泥だらけ。
持ち主もおらぬ様子で、拙者と同じ境遇のようであった。
拙者は家に颯丸を持ち帰り、磨いてやった。
「仲間」が欲しかったのだ。
手ぬぐいと水で、錆びを落としていく。
泥はすぐ落ちたが、錆びはこびりついていた。
水で何回も、何回も拭う。
その内、日も沈み。夜がやってくる。
ようやく錆が全て落ちた頃、刀から声が聞こえてきた。
「ど、なた・・・?」
最初は驚いた。
しかし次第にお互い心を開いていった。
名を名乗り、境遇を話す。
それだけでよかった。
それだけで満たされたのでござる。
そして、あの方に出会った。
それはある何と言う事もない日の事。
外が騒がしいと思い、窓から外を見つめた時でござった。
あの方が立っていたのだ。
全ての家を訪問し、挨拶をする。
そんなことをしていた。
やがて集落で一番端の拙者の家にもあの方はやってきた。
家の様子から察したのか、あの方は拙者にこう聞いた。
「1人なのかい?」
拙者は颯丸を担いで来て、事情を話した。
あの方は言ってくれた。
「よく頑張った。君、私とこないか?」
「え・・・?」
拙者は驚いた。
1つ、あの方が拙者の姿を見ながらもそう言ったこと。
2つに、あの方の目は本気だったこと。
その日から、拙者の素晴らしき日々が始まったのでござった。
拙者はまず風呂につかり、服を着替えた。
颯丸も綺麗に磨かれ、まるで新品のようになっていた。
そして拙者はあの方とまた話した。
詳しい事情、親、身内、これから何をするか。
そして拙者は決めた。
この方に仕えよう、と。
直感で分かったのだ。
拙者はこの方について行くしかない。
それが一番幸せなのだと思った。
そして修行した。
毎日、毎日毎日・・・
日とは何かだと?
お前たちの言葉で言う「チニ」だ・・・
話を遮るな。
そして強くなった。
颯丸も魔法を覚え、たくましくなっていった。
そしてこの世界に渡り、あの者と出会った。
現在はトルバ様の下で日々、励んでいる。
「どうだ。拙者の事を分かってくれたか。拒絶するのは分かる。このような見た目なのでござるから」
ムシャイドは再び颯丸を構える。
「そちらが炎で来るなら風は使わん。技量の勝負でござる」
こいつ、本物の戦士だ。
ただならぬ圧迫感。
少しでもひるめば、負ける・・・!
「行きますよ、ブレイブさん」
ああ。
掌からでも伝わってくる。
とんでもない魔力量だ。
炎がブレイブを纏う。
風で炎が大きくなり、そして消える。
ブレイブの体が紅に染まっている。
炎ではなく、熱を纏ったのだろう。
熱気がむんむんと立ち上ってくるのが分かる。
「では・・・」
今度は構えではない。
チャキッ
刀を向け、走り込んでくる。
まっすぐ。まっすぐに。
俺もブレイブを握る手に今一度、力を込める。
お互いの武精もやる気だ。
真の戦いの始まりである。
ガギギギギン!
先ほどとは打って変わり、とても荒々しい攻撃だ。
俺は受けるのが精一杯。
少しでもずれれば指が落ちる・・・!
!?
こいつ、攻撃に回転を加えて・・・!?
剣が、巻き込まれる・・・!
カン、キンキン!
こいつ、さっきの俺の戦法を真似てるのかっ!
ぐるんっ
遂に回転に巻き込まれ、ブレイブは俺の手から飛んで行ってしまった。
その隙にムシャイドは俺の懐を狙う。
ガンッ!
「ッ!?」
刀は・・・
間一髪で防いだ。
ポケットのナイフを壁にしたのである。
勝ったと思ったのか、ムシャイドの手は緩んでいた。
そこを今度は俺が突かせてもらった。
ズザッ!!!
俺はムシャイドを押し倒し、殴りかかる。
颯丸は俺がはじいたおかげでブレイブと同じく、遠くに飛んで行った。
「く・・・!」
ムシャイドが必死で抵抗する。
やはり頭脳を任されるだけある。
俺の拳を全て受け止めている・・・!
「大人しく観念しろ」
炎を纏ったブレイブが颯丸に近づく。
「・・・!拙者はムシャイド様に恩返しをしなければならない!退け!」
ビュウッ!
「学習しなかったのか!」
ボォ!
颯丸の風魔法を受け、ブレイブの身の炎は大きくなる。
「これくらいの熱など効きませぬ・・・」
ガギギン!ギャギャギャ!
「お前とも戦うしかないのか」
ビュオッ!!!
これがブレイブにとっては初めての事。
初めての武精との戦闘。
自分と同じ種族との戦い。
ブレイブは、、、
少し興奮していた。
俺はムシャイドの素顔に驚きを隠せなかった。
一つ目と言っても、ただの一つ目ではない。
顔の真ん中辺りに目があり、その周りには亀裂。
目は充血していて、瞳孔は常に開きっぱなし。
耳や口もなく、他の戦兵とは明らかに一線を画していた。
「この姿、貴殿も気色が悪いと思うか」
ムシャイドは俺に問うた。
「え?」
突然そんなことを聞かれるとは。
さっきから驚き続きである。
確かにかなり気色悪いと思ったのは事実。
いや、気色が悪い、というより恐いに近いのか?
「ムシャイド様・・・!よいのですかっ!?」
颯丸もかなり焦っている。
顔は隠してきたのだろう。
「貴殿も」ということは、恐らく他のやつにも。。。
短いため息が聞こえる。
「この際だ、話してしまおう。拙者の過去を。お前ほどの剣士でござるものな」
ムシャイドは胡坐をかき、徐に語り始めた。
今は昔。拙者がまだ幼き頃。
拙者はある集落に住んでいた。
「一つ目!一つ目の化け物だー!」
「ね、気持ち悪い・・・」
「触りたくもねぇよ」
拙者は簡単に言えば「邪魔な存在」であった。
同年代の子供たちには爪弾き。
「やだー!こっちこないでー!」
「いや、遊びたいだけで。。。」
遊びの輪にも入れてもらえなかった。
自室で1人、人形や妄想と遊ぶことも多かった。
赤子の時から遊びに強いあこがれを持っていたのでござる。
大人たちには「忌み子」やら、「呪詛」だと言われていた。
意味こそ分からなかったが、蔑まれているのは明確。
それだけでも拙者の心はえぐられていった。
ただ、それでも拙者は幸せであった。
「お兄様・・・。さようなら」
「セツ!セツ・・・っ!」
妹のセツもしばらく前に死んでいたが。
原因は「虐められすぎたから」
精神を病み、病にかかってしまったのでござった。
両親はお互い浮気し、今では浮気相手も含め、4人家族となって別の家で暮らしている。
親に言うのもなんでござるが、気色が悪い。
つまり「一人」であった。
そんなある時、拙者は颯丸に出会った。
刀身は錆びつき、泥だらけ。
持ち主もおらぬ様子で、拙者と同じ境遇のようであった。
拙者は家に颯丸を持ち帰り、磨いてやった。
「仲間」が欲しかったのだ。
手ぬぐいと水で、錆びを落としていく。
泥はすぐ落ちたが、錆びはこびりついていた。
水で何回も、何回も拭う。
その内、日も沈み。夜がやってくる。
ようやく錆が全て落ちた頃、刀から声が聞こえてきた。
「ど、なた・・・?」
最初は驚いた。
しかし次第にお互い心を開いていった。
名を名乗り、境遇を話す。
それだけでよかった。
それだけで満たされたのでござる。
そして、あの方に出会った。
それはある何と言う事もない日の事。
外が騒がしいと思い、窓から外を見つめた時でござった。
あの方が立っていたのだ。
全ての家を訪問し、挨拶をする。
そんなことをしていた。
やがて集落で一番端の拙者の家にもあの方はやってきた。
家の様子から察したのか、あの方は拙者にこう聞いた。
「1人なのかい?」
拙者は颯丸を担いで来て、事情を話した。
あの方は言ってくれた。
「よく頑張った。君、私とこないか?」
「え・・・?」
拙者は驚いた。
1つ、あの方が拙者の姿を見ながらもそう言ったこと。
2つに、あの方の目は本気だったこと。
その日から、拙者の素晴らしき日々が始まったのでござった。
拙者はまず風呂につかり、服を着替えた。
颯丸も綺麗に磨かれ、まるで新品のようになっていた。
そして拙者はあの方とまた話した。
詳しい事情、親、身内、これから何をするか。
そして拙者は決めた。
この方に仕えよう、と。
直感で分かったのだ。
拙者はこの方について行くしかない。
それが一番幸せなのだと思った。
そして修行した。
毎日、毎日毎日・・・
日とは何かだと?
お前たちの言葉で言う「チニ」だ・・・
話を遮るな。
そして強くなった。
颯丸も魔法を覚え、たくましくなっていった。
そしてこの世界に渡り、あの者と出会った。
現在はトルバ様の下で日々、励んでいる。
「どうだ。拙者の事を分かってくれたか。拒絶するのは分かる。このような見た目なのでござるから」
ムシャイドは再び颯丸を構える。
「そちらが炎で来るなら風は使わん。技量の勝負でござる」
こいつ、本物の戦士だ。
ただならぬ圧迫感。
少しでもひるめば、負ける・・・!
「行きますよ、ブレイブさん」
ああ。
掌からでも伝わってくる。
とんでもない魔力量だ。
炎がブレイブを纏う。
風で炎が大きくなり、そして消える。
ブレイブの体が紅に染まっている。
炎ではなく、熱を纏ったのだろう。
熱気がむんむんと立ち上ってくるのが分かる。
「では・・・」
今度は構えではない。
チャキッ
刀を向け、走り込んでくる。
まっすぐ。まっすぐに。
俺もブレイブを握る手に今一度、力を込める。
お互いの武精もやる気だ。
真の戦いの始まりである。
ガギギギギン!
先ほどとは打って変わり、とても荒々しい攻撃だ。
俺は受けるのが精一杯。
少しでもずれれば指が落ちる・・・!
!?
こいつ、攻撃に回転を加えて・・・!?
剣が、巻き込まれる・・・!
カン、キンキン!
こいつ、さっきの俺の戦法を真似てるのかっ!
ぐるんっ
遂に回転に巻き込まれ、ブレイブは俺の手から飛んで行ってしまった。
その隙にムシャイドは俺の懐を狙う。
ガンッ!
「ッ!?」
刀は・・・
間一髪で防いだ。
ポケットのナイフを壁にしたのである。
勝ったと思ったのか、ムシャイドの手は緩んでいた。
そこを今度は俺が突かせてもらった。
ズザッ!!!
俺はムシャイドを押し倒し、殴りかかる。
颯丸は俺がはじいたおかげでブレイブと同じく、遠くに飛んで行った。
「く・・・!」
ムシャイドが必死で抵抗する。
やはり頭脳を任されるだけある。
俺の拳を全て受け止めている・・・!
「大人しく観念しろ」
炎を纏ったブレイブが颯丸に近づく。
「・・・!拙者はムシャイド様に恩返しをしなければならない!退け!」
ビュウッ!
「学習しなかったのか!」
ボォ!
颯丸の風魔法を受け、ブレイブの身の炎は大きくなる。
「これくらいの熱など効きませぬ・・・」
ガギギン!ギャギャギャ!
「お前とも戦うしかないのか」
ビュオッ!!!
これがブレイブにとっては初めての事。
初めての武精との戦闘。
自分と同じ種族との戦い。
ブレイブは、、、
少し興奮していた。