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ある世界を救うまで

#72

店隠れ、夕の暮れ

[大文字]ガチャッ。[/大文字]
「誰・・・?ぐっ!?」
「騒ぐな、あんたの敵じゃない」
俺は店主らしい男の首を絞めながらそう耳打ちする。
流石闇市場の人間だ、話が早い。
そう言うと、すぐに黙り込んでくれた。
ブレイブが男の前に飛んできて、小さな声で告げる。
「もし助けを呼ぼうとすれば・・・分かるな?」
男は観念し、両手を高く上げた。
「俺の負けだ。もう抵抗しねえ」
カチャ。
ブレイブはそれを聞くと、後ろの扉の鍵を閉める。
「武器は持っていないな?」
「・・・お見通しだな」
男はポケットから1本の短剣を出し。床に置く。
俺は念のためポケットを探るが、もう武器は持っていないようだ。
「武器はこれだけだ。もう持ってねぇ。なんで分かった?」
誰も男の質問には答えない。
しばらくして男が口を開く。
「やつらが来るのも時間の問題だ。早く用件を済ませてくれ。俺まで殺されちまう」
そう言うと、男は近くの金属の椅子に腰かけた。

男の名前は「ダロス」。
この国で元々武器商をしていて、今は国の摘発から逃れるために闇市場で商売をしているらしい。
「で?用件は?」
ダロスの店には1日に2度、戦兵が見回りに訪問してくるという。
戦兵は特に何もせず、抵抗の意思がないものは襲わない。
物1つすら壊さないそうだ。
一度、反旗を翻そうとした商人がいたが、あっという間に制圧されたらしい。
その商人は現在、工房で働かされている・・・。
だから急がないと、これから夕方の見回りが始まってしまう。
「用件は簡単だ。まず私たちの武器を手入れしてほしい。そして物資の調達だ。金は払う。いいか?」
男は、ふーっ、とため息をつき、席を立つ。
「そういうことか。金さえ払ってくれんならだれでもお客様だ。奥に来な」
俺たちは男の背中を追った。
「で?武器ってんのはどれだ?まああんたは分かりやすいが・・・」
ブレイブの事だろう。
まあ全身・・・というか武器だし・・・。
「ああ。お前たち、出せ」
そう言われ。俺たち3人は武器を金属のテーブルに並べる。
「これが武器、ですか・・・」
ハナさんが驚いている。
争いには関わってこなかった人なのだろう。
くりくりの目を輝かせながら、俺のナイフやユウナの人形の長剣をじーっと見つめている。
「言っとくが料金は高くつくぞ?丁寧な代わりにな」
ブレイブはそれを聞き、俺のナイフを浮かせ、ダロスの喉に向ける。
「私たちはこの国を救うために行動している。お前も助かりたいだろう?ぼったくりなんてしたら私はお前の事を許さん」
「ゆるさん」
ユウナもブレイブと同じ意見のようだ。
なんだか親子を見ているようでほっとする。
って、そんなことを言ってる場合じゃないな・・・!
考えが散らばるのが俺の悪い所だ。
「・・・分かったよ。ぼったくりはしねえ。一応腕はいいんだ」
どうやら本当にぼったくりだったらしい。
いくら1国レベルの予算があるとしても、他人・・・いや他国のお金だ。なるべく安く済ませたい。
「じゃあ3ジカーン程くれ。なるべく早く終わらせてやる。静かにしてろよ?」
ブレイブがコクリと小さく頷く。
ダロスは返事を受け取り、まず俺のナイフを手に取った。
「・・・鉄製か」
慣れた手つきでナイフが調べられていく。
「魔力が少し込められてる・・・。長さは・・・手に収まる程度。反り刃・・・よし分かった」
ダロスは道具をしまい、別の工具を取り出す。
「じゃあ始めるからな。ナイフ、人形の剣、その年寄りの拳用サックル、あんたの順でやってくからな」
「ああ、よろしく頼む」
~もうすぐ3ジカーンが経とうとする頃~
「よし、あとはここを磨くだけだ」
「・・・なるべく早くしてくれ。恥辱で錆びそうだ」
やはりブレイブは恥ずかしいらしい。
俺たちにとっては剣が磨かれているだけに見えるが、それがブレイブにとっては中々耐え難い仕打ちらしい。
「注文が多い客だな。もう終わるから、じっとして・・・」
ドンドン!ドンドン!
「・・・隠れてろ」
まだ日は沈んでいない。
ダロスが言っていた見回りの時間より1ジカーンほど早いことになる。
俺たちは物陰に隠れ、磨き終わっていた武器を構える。
ガチャ。
「よう、こんばんは」
「(’%@。<>*}?」
何か言っている・・・
唄輪我流で聞いてみるか・・・。
発動!
「ココに侵入者が来たはずだ。知らないか?」
「すまねえな。あんたらの言葉はよく分かんねえんだ」
ダロスは上手い事はぐらかしている。
まあ嘘ではないのだが・・・
「ブレイブさん・・・俺たちの事、バレてます・・・!」
「何?やはりお前のせいか・・・?」
ブレイブは隣のハナさんに自身の剣先を向ける。
「ひっ・・・!ち、違いますよ・・・!」
「そうか・・・?」
「やめてください・・・!」
そんなことをしていると、別の声が聞こえてくる。
「なら拙者ではどうかな?」
この感じは・・・本当の人間の言葉?
「おうおう。あんた、お偉いさんだったっけか?」
どうやら戦兵の中でも上の方のやつが来たようだ。
人語を扱えるのは、今までだと9王か、「頭脳」、と呼ばれる王の直属の部下、ガイアなどだけ。
王がここまで来るとは考えにくいから・・・恐らく「頭脳」というやつだろう。
「もう1度聞く。ここに侵入者が来なかったかな?拙者たちは貴殿に危害を加えることはしないでござる。さあ、どうかな?」
ダロスは黙り込む。
まさか裏切るつもりじゃ・・・
「いいや、そんなやつらは来てねえ。本当だぜ?」
沈黙が流れる。
「頭脳」と思われる戦兵が口を開く。
「やつら・・・?拙者は侵入者たち、と言った覚えはない。押し入らせてもらう!御免!」
「な!?」
墓穴を掘ったらしい。
戦兵が家に押し入ってくる。
「探すのだ!トルバ様に献上するために!」
「はい!」
その瞬間、俺の首にひんやりとした感触が伝わる。
「!?」
「危機が訪れている・・・な。最期は私が終わらせたい。このまま絞め殺してやろう」
なんだ、こいつは・・・!
一瞬でそれに気づいたブレイブが寸分の狂いもない剣さばきで、俺の首の物体を斬りつける。
「ギャッ!」
液体が床に飛び散る。
が、効いていないようで、液体は集まり、元に戻る。
「絞め殺されるのは嫌・・・か。なら突き殺してやろう」
この液体が何者かは分からないが、1つだけ分かっていることがある。
こいつの言う通り、今は・・・大ピンチだ。

作者メッセージ

どうでしたでしょうか?
投稿が遅れてしまい申し訳ありません!
色々忙しかったんです・・・
最近とんでもなく熱くなってきてますねぇ・・・
夏おかしくなりますって()
指摘や感想などありましたらコメントに書いていただけると幸いです。
これからもどうぞよろしくお願いします!

2026/05/31 12:45

柴T ID:≫ 73uaQYEMLJl4k
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