ある世界を救うまで
「今夜もここで野宿だな」
辺りはもう真っ暗。
流石にこれ以上進むのは危険だとブレイブは判断したらしい。
まあ10歳の子供がいるわけだし・・・
おじさんもな・・・
「はあっ。疲れたわい・・・」
テッショウさんが近くの丁度いい高さの岩に腰を下ろす。
「腰がメリメリいうのぉ・・・若いころはもっと動けたんじゃが・・・年をとったのう・・・」
テッショウさんはそう言って腰をさする。
「そうか。あまり無理はするな。それじゃあもう夜も遅い。食事にしようか」
いや、無理させてんのはあなたじゃ・・・
「青年、何を見ている。手伝え?」
「は、はいっ!」
やれやれ。当分ブレイブには頭が上がらなそうだ・・・
~食事を終えて~
「では私は見張りをする。しっかり休めよ」
「はい・・・」
そう言ってブレイブは焚火を消した。
「ねえ、ユウナちゃん?」
俺は硬い地面に横たわりながら、彼女に話しかける。
「お父さん、お母さん、どんな人だったの?」
「・・・」
よほど酷いことがあったのだろうか?黙り込んでしまった。
「・・・ごめんね。無理なこと聞いて。じゃ、おやすみ」
「うん」
彼女は小さく返事をし、目を閉じた。
俺は罪悪感を感じながらも、同じように目を閉じた。
中々眠れない。
ユウナの事が引っかかっているのだろうか?
彼女は何故あんなに必死に・・・
「練習」と言っていたけど、本当にあれがそうなのだとしたら・・・
昔、このような言葉を残した偉人がいると、父さんに聞いたことがある。
[斜体]『世界は残酷だが、同じく美しい。生きるとは、この2つを感じていくことなのだ』[/斜体]
彼は有名な哲学者だったそうだ。
今、その言葉の意味が少し、分かった気がする。
むくっ。
俺はおもむろに起き上がる。
「青年・・・」
ブレイブがそれに気づき、こちらを見る。
「眠れないのか?」
「はい」
「・・・そこに座れ」
俺はブレイブと反対側の岩の上に座る。
辺りは静寂に包まれている。
「ユウナの事か?」
ブレイブがその空気を破るように口を開く。
俺は何も言わない。
「少し・・・私の昔の話をしよう」
月明かりを受けながら、ブレイブは話し出す。
「私は・・・お前の先祖と旅をしていた時、ある少女に出会ったことがある。丁度、ユウナと同じくらいの歳でな。暗い顔をしていた。まるで・・・言葉では言い表せないな。絶望しきっていたよ。冷たくて、震えていて、言葉も上手く話せていなかった。私は最初、話しかけようとしたさ。でもあいつがそれを止めたんだ。『話をしている場合じゃない。今はとにかく温めてあげないと』とな。あいつの情には負けたよ。知らない人間も、敵も、助けてしまうんだ。それで少女はすっかり安心して。故郷に帰って行った。無事に帰れたかどうかは分からんがな・・・まあそういうことだ。あまり無理に言葉を引き出そうとするな。人には人のペースがあるんだから」
ブレイブの言葉が聞こえなくなった。
少し間が開いて、1筋の涙が俺の頬を伝った。
それを合図に、涙がまた1筋、1筋と俺の頬を伝い、大地に落ちる。
「あれ?なんで俺・・・」
それは彼の意思ではなかった。
本能が彼の心を動かし、涙を流させたのだ。
それは彼の深層心理の表れでもあった。
本当は戦いたくなんてない。
本当は平和に暮らしたい。
本当はもっと父親や親友と居たかった。
ブレイブはこのことに気が付いていたが、何も言わなかった。
「うう・・・あぁ・・・」
彼は弱弱しい声で泣いた。
今だけは戦士ではなく、1人の人間でいられるから。
ギャッ!ギャッ!
今日もフライ・サーペントが飛び交っている。
もう、朝か・・・?
俺は少し湿った目をこすり、陽の眩しさに驚きながらもあくびをした。
「青年、おはよう。よく眠っていたな」
ブレイブの声には前にはなかった優しさが感じられた。
「俺、いつの間に寝て・・・?」
「覚えてない、か」
ブレイブはそんな俺の肩を刀身でポンと叩く。
「ちょっ!危ないですって!」
俺はそうブレイブに言う。
「はは。私が自分の体くらいコントロール出来ないとでも?」
ブレイブはそう前のように鼻ではなく、口で笑った。
辺りはもう真っ暗。
流石にこれ以上進むのは危険だとブレイブは判断したらしい。
まあ10歳の子供がいるわけだし・・・
おじさんもな・・・
「はあっ。疲れたわい・・・」
テッショウさんが近くの丁度いい高さの岩に腰を下ろす。
「腰がメリメリいうのぉ・・・若いころはもっと動けたんじゃが・・・年をとったのう・・・」
テッショウさんはそう言って腰をさする。
「そうか。あまり無理はするな。それじゃあもう夜も遅い。食事にしようか」
いや、無理させてんのはあなたじゃ・・・
「青年、何を見ている。手伝え?」
「は、はいっ!」
やれやれ。当分ブレイブには頭が上がらなそうだ・・・
~食事を終えて~
「では私は見張りをする。しっかり休めよ」
「はい・・・」
そう言ってブレイブは焚火を消した。
「ねえ、ユウナちゃん?」
俺は硬い地面に横たわりながら、彼女に話しかける。
「お父さん、お母さん、どんな人だったの?」
「・・・」
よほど酷いことがあったのだろうか?黙り込んでしまった。
「・・・ごめんね。無理なこと聞いて。じゃ、おやすみ」
「うん」
彼女は小さく返事をし、目を閉じた。
俺は罪悪感を感じながらも、同じように目を閉じた。
中々眠れない。
ユウナの事が引っかかっているのだろうか?
彼女は何故あんなに必死に・・・
「練習」と言っていたけど、本当にあれがそうなのだとしたら・・・
昔、このような言葉を残した偉人がいると、父さんに聞いたことがある。
[斜体]『世界は残酷だが、同じく美しい。生きるとは、この2つを感じていくことなのだ』[/斜体]
彼は有名な哲学者だったそうだ。
今、その言葉の意味が少し、分かった気がする。
むくっ。
俺はおもむろに起き上がる。
「青年・・・」
ブレイブがそれに気づき、こちらを見る。
「眠れないのか?」
「はい」
「・・・そこに座れ」
俺はブレイブと反対側の岩の上に座る。
辺りは静寂に包まれている。
「ユウナの事か?」
ブレイブがその空気を破るように口を開く。
俺は何も言わない。
「少し・・・私の昔の話をしよう」
月明かりを受けながら、ブレイブは話し出す。
「私は・・・お前の先祖と旅をしていた時、ある少女に出会ったことがある。丁度、ユウナと同じくらいの歳でな。暗い顔をしていた。まるで・・・言葉では言い表せないな。絶望しきっていたよ。冷たくて、震えていて、言葉も上手く話せていなかった。私は最初、話しかけようとしたさ。でもあいつがそれを止めたんだ。『話をしている場合じゃない。今はとにかく温めてあげないと』とな。あいつの情には負けたよ。知らない人間も、敵も、助けてしまうんだ。それで少女はすっかり安心して。故郷に帰って行った。無事に帰れたかどうかは分からんがな・・・まあそういうことだ。あまり無理に言葉を引き出そうとするな。人には人のペースがあるんだから」
ブレイブの言葉が聞こえなくなった。
少し間が開いて、1筋の涙が俺の頬を伝った。
それを合図に、涙がまた1筋、1筋と俺の頬を伝い、大地に落ちる。
「あれ?なんで俺・・・」
それは彼の意思ではなかった。
本能が彼の心を動かし、涙を流させたのだ。
それは彼の深層心理の表れでもあった。
本当は戦いたくなんてない。
本当は平和に暮らしたい。
本当はもっと父親や親友と居たかった。
ブレイブはこのことに気が付いていたが、何も言わなかった。
「うう・・・あぁ・・・」
彼は弱弱しい声で泣いた。
今だけは戦士ではなく、1人の人間でいられるから。
ギャッ!ギャッ!
今日もフライ・サーペントが飛び交っている。
もう、朝か・・・?
俺は少し湿った目をこすり、陽の眩しさに驚きながらもあくびをした。
「青年、おはよう。よく眠っていたな」
ブレイブの声には前にはなかった優しさが感じられた。
「俺、いつの間に寝て・・・?」
「覚えてない、か」
ブレイブはそんな俺の肩を刀身でポンと叩く。
「ちょっ!危ないですって!」
俺はそうブレイブに言う。
「はは。私が自分の体くらいコントロール出来ないとでも?」
ブレイブはそう前のように鼻ではなく、口で笑った。