ある世界を救うまで
「よし、ユウナの番も終わったぞ。朝食にするか」
「だって」
はっ!
一瞬意識が・・・
「じゃが、洗浄魔法を使うなら、食後の方が良かったんじゃないか?」
あ、確かに。
どうせキレイにするなら、より汚いときの方がいいんじゃないか?
「これだから・・・最近の者は・・・」
「いや、わしも一応50超えてるんじゃが・・・」
「最近だろう。いいか?トゥーバイグは生物の口内の食べかすや肉を食べて育つんだぞ?ということは食べかすを与えたらより成長するに決まっているだろう・・・」
はぁ・・・
色々言いたいことはあるが、今は黙って聞いておいた方がいいだろう。
全部、論破される気がするからな・・・
「よし、そろそろ出発するか」
ブレイブがそう言うと、消えた焚火の燃え残りが集まっていく。
「ねえ、それもらっていい?」
ユウナが燃え残りを指さして言う。
「いいが、何に使うんだ?」
「新しい子を作るときに使うの」
結構本格的に人形を作るんだな。
昨日少し話して知ったが、ユウナは人形を作るのが趣味らしい。
どうやら近所の人形師から教えてもらい、そこからは独学でやってきたらしい。
恐らく人形の服などを染めるときに使うのだろう。
絵の具は高価だから、自分で作る人も多い。
10歳でそれに気づくとは、将来が楽しみである。
いけないいけない。今はそんなことを考えている暇ではない。
ていうかさっきの燃え残りが集まってたのどうやったんだ?
「ブレイブさん・・・」
俺は気になってブレイブに聞いてみる。
「ああ、あれか。あれは重力魔法。この世には重力があるだろう?」
「ええ・・・」
俺は歩きながら頷く。
「重力魔法というのはその重力を自在に発生させることができるのだ。この魔法はかなり応用が利く。この地面は重力で私たちを引っ張っている。私たちが重さを感じるのもこの重力のおかげだ。無重力というのは私も味わってみたいが・・・まだ人類はその域に達していない。誠に残念だ。話に戻るが、重力魔法には結構、変えられる点が多くてな。変えられるのは重力の強さ、ちなみにこれを「重さ」というんだが・・・それは置いておいて、あとは重力の向きと同時に発生させる重力の数だな。重力は本来、1地点に同じ向きの1種類しか存在しない。だがこの魔法を使えば重力を同じ地点に複数の向きで起こすことができる。そうなるとどうなると思う?」
俺は少し考えこむ。難しいことを言っていてよくわからない・・・
「・・・戦闘で考えてみよう」
例えば、上と横からパンチが飛んで来たら、お前はどう感じる?
まあ、頭も脇腹も痛いと思いますよ。
そう、重力でも同じことが言えるのだ。
違う向きの重力が同じ地点で働いた場合、重力はものを引っ張る力だから2つの向きから同時に引っ張られることになる。
それを魔法で引き起こすと、重力2つ分の負荷がかかり、対象は2つの方向が合わさった・・・まあつまり横から重力魔法を使うと物は斜めに落ちると思ってくれ。
ただ例外があってな。
同じ力の重力が真反対で起きた場合、間の物は無重力状態になるんだ。
分かったか?
つまり、この魔法を使えば、物の落ちる方向を変えたり、引っ張ったり、より強い重力をかけて物体を潰すなどの芸当ができるのだ。
「えーっと・・・」
「考えなくてもいい。どうせ青年は重力魔法なんて使わないだろう?」
そうだけど・・・それはそれで傷つくな・・・
「私も使っていてかなり難しい。うまく向きを調整しないと物が変な方向に飛んでいくからな・・・」
「へえ・・・」
本当によくわからない。
まあ、重力魔法なんて使わないし、覚えてもしょうがないか。
「グギャギャ!」
「モンスターか・・・」
そんなことを考えていたら茂みから何か飛び出してきた。
あれは・・・アーマーリザード。
皮膚が硬く、個体によっては毒も持っている。
それほど大きくない。ササっと倒すか。
「私にやらせて」
「戦えるのか?」
「練習」
何の練習かはわからないが、その瞳にはゆるぎない闘志が感じられる。
やる気だ。
シャッ!
ユウナが持っていたバッグから人形が飛び出す。
俺を襲ったものとは違い、毛糸製ではない。
人形は背中の長剣を握る。
「グギャァ!」
アーマーリザードが人形に飛び掛かる。
人形はそれをひらりとかわし、長剣でアーマーリザードの背中を刺す。
ガキッ!
硬い皮膚で剣が止まる。
ブシュ・・・ブシャァ!
人形はそれでも剣を抜かず、さらに深く刺し、アーマーリザードの背中を貫く。
確かあの辺りは心臓である。
「ギャ・・・」
アーマーリザードが口から血を吐き、倒れる。
えええ・・・
「何もそこまでやらなくても・・・」
「駄目?」
「追い払うだけでよかったんだけどなぁ・・・」
にしてもユウナ、中々やるな。
心臓の位置を的確に人形に狙わせた。
っていうかあの長剣、切れ味あるな。
「戻っておいで」
タタタ。
人形がユウナのもとへ走ってきた。
「きれいにしようね」
シュゥゥン・・・
「吸引魔法か」
「おじさんに教えてもらったの」
「その剣は?」
「鍛冶屋さんに作ってもらった」
「手入れも自分でしてるのか?」
「うん・・・でもみんな、死んじゃった・・・」
ユウナの顔が暗くなる。
練習・・・か。
「だって」
はっ!
一瞬意識が・・・
「じゃが、洗浄魔法を使うなら、食後の方が良かったんじゃないか?」
あ、確かに。
どうせキレイにするなら、より汚いときの方がいいんじゃないか?
「これだから・・・最近の者は・・・」
「いや、わしも一応50超えてるんじゃが・・・」
「最近だろう。いいか?トゥーバイグは生物の口内の食べかすや肉を食べて育つんだぞ?ということは食べかすを与えたらより成長するに決まっているだろう・・・」
はぁ・・・
色々言いたいことはあるが、今は黙って聞いておいた方がいいだろう。
全部、論破される気がするからな・・・
「よし、そろそろ出発するか」
ブレイブがそう言うと、消えた焚火の燃え残りが集まっていく。
「ねえ、それもらっていい?」
ユウナが燃え残りを指さして言う。
「いいが、何に使うんだ?」
「新しい子を作るときに使うの」
結構本格的に人形を作るんだな。
昨日少し話して知ったが、ユウナは人形を作るのが趣味らしい。
どうやら近所の人形師から教えてもらい、そこからは独学でやってきたらしい。
恐らく人形の服などを染めるときに使うのだろう。
絵の具は高価だから、自分で作る人も多い。
10歳でそれに気づくとは、将来が楽しみである。
いけないいけない。今はそんなことを考えている暇ではない。
ていうかさっきの燃え残りが集まってたのどうやったんだ?
「ブレイブさん・・・」
俺は気になってブレイブに聞いてみる。
「ああ、あれか。あれは重力魔法。この世には重力があるだろう?」
「ええ・・・」
俺は歩きながら頷く。
「重力魔法というのはその重力を自在に発生させることができるのだ。この魔法はかなり応用が利く。この地面は重力で私たちを引っ張っている。私たちが重さを感じるのもこの重力のおかげだ。無重力というのは私も味わってみたいが・・・まだ人類はその域に達していない。誠に残念だ。話に戻るが、重力魔法には結構、変えられる点が多くてな。変えられるのは重力の強さ、ちなみにこれを「重さ」というんだが・・・それは置いておいて、あとは重力の向きと同時に発生させる重力の数だな。重力は本来、1地点に同じ向きの1種類しか存在しない。だがこの魔法を使えば重力を同じ地点に複数の向きで起こすことができる。そうなるとどうなると思う?」
俺は少し考えこむ。難しいことを言っていてよくわからない・・・
「・・・戦闘で考えてみよう」
例えば、上と横からパンチが飛んで来たら、お前はどう感じる?
まあ、頭も脇腹も痛いと思いますよ。
そう、重力でも同じことが言えるのだ。
違う向きの重力が同じ地点で働いた場合、重力はものを引っ張る力だから2つの向きから同時に引っ張られることになる。
それを魔法で引き起こすと、重力2つ分の負荷がかかり、対象は2つの方向が合わさった・・・まあつまり横から重力魔法を使うと物は斜めに落ちると思ってくれ。
ただ例外があってな。
同じ力の重力が真反対で起きた場合、間の物は無重力状態になるんだ。
分かったか?
つまり、この魔法を使えば、物の落ちる方向を変えたり、引っ張ったり、より強い重力をかけて物体を潰すなどの芸当ができるのだ。
「えーっと・・・」
「考えなくてもいい。どうせ青年は重力魔法なんて使わないだろう?」
そうだけど・・・それはそれで傷つくな・・・
「私も使っていてかなり難しい。うまく向きを調整しないと物が変な方向に飛んでいくからな・・・」
「へえ・・・」
本当によくわからない。
まあ、重力魔法なんて使わないし、覚えてもしょうがないか。
「グギャギャ!」
「モンスターか・・・」
そんなことを考えていたら茂みから何か飛び出してきた。
あれは・・・アーマーリザード。
皮膚が硬く、個体によっては毒も持っている。
それほど大きくない。ササっと倒すか。
「私にやらせて」
「戦えるのか?」
「練習」
何の練習かはわからないが、その瞳にはゆるぎない闘志が感じられる。
やる気だ。
シャッ!
ユウナが持っていたバッグから人形が飛び出す。
俺を襲ったものとは違い、毛糸製ではない。
人形は背中の長剣を握る。
「グギャァ!」
アーマーリザードが人形に飛び掛かる。
人形はそれをひらりとかわし、長剣でアーマーリザードの背中を刺す。
ガキッ!
硬い皮膚で剣が止まる。
ブシュ・・・ブシャァ!
人形はそれでも剣を抜かず、さらに深く刺し、アーマーリザードの背中を貫く。
確かあの辺りは心臓である。
「ギャ・・・」
アーマーリザードが口から血を吐き、倒れる。
えええ・・・
「何もそこまでやらなくても・・・」
「駄目?」
「追い払うだけでよかったんだけどなぁ・・・」
にしてもユウナ、中々やるな。
心臓の位置を的確に人形に狙わせた。
っていうかあの長剣、切れ味あるな。
「戻っておいで」
タタタ。
人形がユウナのもとへ走ってきた。
「きれいにしようね」
シュゥゥン・・・
「吸引魔法か」
「おじさんに教えてもらったの」
「その剣は?」
「鍛冶屋さんに作ってもらった」
「手入れも自分でしてるのか?」
「うん・・・でもみんな、死んじゃった・・・」
ユウナの顔が暗くなる。
練習・・・か。